ナマコ一匹分の癲狂
はじめて読んだ本は世界的に有名な児童小説であった。
幼い少女が白いウサギを追って、不思議の国へと迷いこむお話である。
言葉の分からない私は、少しずつ少しずつ言葉を覚えながらこの本を読んだ。
はじめて読み終えた時の感想は、私も私の現実が、全て「へんな夢」だったら良かったのになあ、というものであった。
お姉さんに起きるようにと声を掛けられたアリスは、目を覚まして、それまで見て体験してきた不思議の国の出来事を「へんな夢みてたの」と表すのだ。
そうしてお姉さんに沢山不思議な夢の話をしたアリスは、お姉さんからキスをしてもらい、お茶の時間になると言われて駆け出して行く……。
私も、私の味わう日常が夢であればなあと思った。
現実には、私にはキスをしてくれる優しい大人も、呼ばれるお茶会も無い。
痛くて惨めな日々が延々と、何処までも、何処までも…続いている。
ここだけの話、私は兄に何か期待をしているわけでは無い。
そもそもあの人に何か求める方が間違いなのだ………
………とか、何とか…腹の底で業を煮やし感情を荒ぶらせておりますが、その苦しみさえ燃料にして私は全力で「兄のいない自由」と「兄のいない哀しみ」を同時に味わい今を楽しんでいる!!
お兄ちゃんのバカヤローーーー!!!
私は怒りを込めた叫びを吠え散らかしながら揺られていた。否、回っていた。
「ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"!!!!」
「グルグルたのしい!」
「たのしいー!」
楽しめて良かったね!!
でも少しは手加減してくれないかな!?お姉さんこれでも生まれたてなんだ、まだ体の機能が本調子では無いんだ。
お子様パワーにやられた夏油くんが現在休息中につき、私が代打でお子様二人に付き合ってコーヒーカップ的なアリスモチーフのやつに乗っている。
真ん中の回るハンドルをこれでもかとグルグル回してキャッキャッと笑い声を挙げる二人は実に楽しそうである。
私は目を回しながらひたすら意味の無い声を出し続けていた。
た、たしゅけて………こんな時こそ私の可愛くて頼りになる後輩の出番じゃないのかな?
だがしかし、灰原くんは先程歩きながら一人で食べきってしまったポップコーンをルンタッタと補充する任務に向かってしまったため不在だ。呼んでおいてあれだが、本当に何なんだ灰原雄、子供相手にも「はじめまして!妻の灰原です!」ってお手本のような笑顔で挨拶してたのは流石にビックリしたぞ。それずっとネタだと思ってたけどガチのやつなんだね、どうかしてると思うよ。でも可愛いからOKです。
あとキッチンカーやワゴンがあると絶対見に行くのもやめて欲しい、財布へのダメージが半端ないぞ。
どれだけ食えば気が済むねんってくらい食べるんだもん、一口くれるのは嬉しいけど消化が間に合わないんだよね、だから今吐きそうです。
子供達の楽しげな笑い声を聞きながら私は吐き気と目眩に耐え続ける。
これどんな拷問?一体私が何をしたと言うのか……身に覚えがありすぎて罰であるなら受け入れる他無いんだが。神様ごめんちゃい(はぁと)
はぁ……やっぱり事情を説明して七海くんも道連れにするべきだったかもしれないな、彼なら美味いものと灰原くんの安全と笑顔をセットにすれば私の身代わりになってくれただろう。
よし、今度から困った時はアイツを身代わりにしよう。
徐々にティーパーティーも終盤らしく、速度が緩やかになっていく。
私はゼェゼェと息を乱しながら今更周りの様子を見た。
あー、うわー、めっちゃアリス。
私が好きだった児童小説の一場面、狂ったお茶会をモチーフにしたそれだ。
好きだった、というのは語弊がある。今も大好きである。
自分が編み出した技名全部アリス関係なくらいだしね、そりゃ好きよ。
ただほら、表立って「不思議の国のアリスが好き!」って言って語り出すのは恥ずかしいから……。
だから「別に?興味とかそんなにありませんけど?でも、まあ?人並みには?あるかな、みたいな?」といった雰囲気でソワソワする気持ちを隠しながら、ティーカップの乗り物の中で目を回しながらも周りをグルグル見渡していた。
「おねえさん」
「お、なんだい?」
ミミちゃんが私へ声を掛ける。
「アリスのティーパーティーってなに?」
「…………」
ミミちゃんが聞けばナナちゃんも同じく疑問の眼差しを向ける。
そうか、君達は不思議の国のアリスを知らんのか……そうか、そうか……。
ティーカップが停止する、私は二人の手を引いて何度も深く頷きながら夏油くんが待つ方へと歩いて行った。
「……やけに真面目な顔して降りてきたね」
「使命が‥生まれてしまった……」
神妙な面持ちで子供二人に目線を合わすようにしゃがみこむ。
さて、では語るとしましょうか。
私の愛について。
「えー、では…アリスのティーパーティーを語る前に前提として不思議の国のアリスについて説明させて頂きますね、まず不思議の国のアリスとはルイス・キャロルが書いた児童小説で、そもそもこのルイス・キャロルはイギリスの数学者でもあり、本名をチャールズ・ラトウィッジ・ドドソと言うんですが、彼が知人の娘さんに即興劇として紡いだ物語である地下の国のアリスを原型として後に出版したものが不思議の国のアリスであり、彼は知人の娘さん二人に即興劇を紡いだ日のことを黄金の昼下がりと称して強く思い出に残していまして。何せ当時の天気を記録している情報を遡れば彼と娘さん達が不思議な童話を楽しんでいた日は晴れてなどおらず、雨模様であったはずなので、ルイス・キャロルはこの日の出来事をそれはもう美化して記憶しており……」
「灰原!コイツの口を塞ぐんだ!!三日三晩語り続けるぞ!!」
「先輩、ごめんね!!」
モガモガモガモガァーーー!!!!!
うをおーーー!!!離せーー!!!私にアリスについて語らせろーーー!!!
ポップコーンを買って戻ってきた灰原くんは素早い動きで私の口を後ろから塞ぎ羽交い締めにしてきた。クソッ!邪魔だよ!!退け!!!私はオタクだぞ!!!
「先輩落ち着いて!」
「ンーーーーー!!!!!ンーーーーー!!!!!」
「七海にアリスのコスプレさせたいって言ってたやつ、僕も手伝うから!!」
「………ン…ン……」
まあ、それなら……。
灰原くんの提案によって私の暴走したパッションは落ち着いたが、七海くんは簡単に生け贄となった。なんて可哀想な子羊ちゃん…。
灰原くんの手をひっぺがせば、どういうつもりか知らないがそのままバックハグのような状態で固定されてしまったので、後ろに向けて「離してー」と言った。が、「ダメです!」とNOを思い切り突きつけられてしまった。なんでや。
「先輩捕まえておかないとすぐ暴走しちゃうから、ダメ!」
「そ、そんなこと無いよ、ちょっと興奮して幻覚とかは見えてるけど」
「ほらぁー!!」
白いウサギが慌てながら走って行く姿が見えたり、アイウエオの歌が聴こえていたりするけど大丈夫大丈夫、いつも通りです。(※いつも可笑しいので)
「先輩、目を覚まして!」
「なんか…ふわふわしてきたかも……」
「ちょっとオデコ触りますよ?」
私の前髪をあげて片手をペタッとオデコにあてた灰原くんは、数秒沈黙した後にむつかしい顔をしながら言った。
「全然わからない……」
「そりゃ、人間の肉体じゃないからね」
「それもそうだった…」
でも自分の身体のことは一番自分が分かる、私は現在興奮により暴走気味だ。
これ絶体あとで疲れて大変なことになるなあ……。
でもこんなに楽しい日はもしかしたら二度と来ないかもしれないから、楽しまなきゃ損だよね。
次があるなら、出来れば今度は五条くんも連れて来たい。五条くんだけじゃなくて硝子ちゃんも七海くんもね。
ああ、でも……
「お兄ちゃんは別に連れて来なくていいかな…」
「…先輩何か言いました?」
「なんでも無いよ、それよりそろそろ水分補給の時間だよ!」
灰原くんの疑問には答えず、子供達に水分補給をさせるべく声を掛けるため足を速めた。
ねえお兄ちゃん、私決めたよ。
私達やっぱり一緒に居るべきだ、私にとってお兄ちゃんと過ごした懐かしき日々の思い出こそが「黄金の昼下がり」なんだ。
私はお兄ちゃんを追い掛けてとんでも無いことになっている。
私はアリスじゃないから大きくなったり小さくなったりはしないけれど、大きく育て過ぎた感情は私という家の中で窮屈になってしまうこともあったよ。
不思議の国の住人である芋虫が蝶へと変わったように、私も新な身へと変わった。
子守りだってしたでしょう、じゃあ次は?
次は何をすべき??
私は不思議の国のアリスの目次ページを頭の中に思い浮かべた。
ウサギを追い掛けて不思議の国へ、涙の池を過ぎてイモムシが蝶へ変貌を遂げる、家族みたいに一つ屋根の下で暮らしたら、次に待つのは「め茶く茶会」だ。
永遠にお茶の時間である6時を繰り返し、キラキラこうもりを歌いながら、順番に席を変えてお茶を続けるのだ。
だとすれば、必要な物は……
私は兄とお茶会を開くため、準備を始めることを決めた。
私がめちゃくちゃになっていることに気付く者は、残念なことにここには居なかった。
だから私は幻想に蝕まれるままに、とうとう本当に可笑しくなってしまったのだった。
幼い少女が白いウサギを追って、不思議の国へと迷いこむお話である。
言葉の分からない私は、少しずつ少しずつ言葉を覚えながらこの本を読んだ。
はじめて読み終えた時の感想は、私も私の現実が、全て「へんな夢」だったら良かったのになあ、というものであった。
お姉さんに起きるようにと声を掛けられたアリスは、目を覚まして、それまで見て体験してきた不思議の国の出来事を「へんな夢みてたの」と表すのだ。
そうしてお姉さんに沢山不思議な夢の話をしたアリスは、お姉さんからキスをしてもらい、お茶の時間になると言われて駆け出して行く……。
私も、私の味わう日常が夢であればなあと思った。
現実には、私にはキスをしてくれる優しい大人も、呼ばれるお茶会も無い。
痛くて惨めな日々が延々と、何処までも、何処までも…続いている。
ここだけの話、私は兄に何か期待をしているわけでは無い。
そもそもあの人に何か求める方が間違いなのだ………
………とか、何とか…腹の底で業を煮やし感情を荒ぶらせておりますが、その苦しみさえ燃料にして私は全力で「兄のいない自由」と「兄のいない哀しみ」を同時に味わい今を楽しんでいる!!
お兄ちゃんのバカヤローーーー!!!
私は怒りを込めた叫びを吠え散らかしながら揺られていた。否、回っていた。
「ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"!!!!」
「グルグルたのしい!」
「たのしいー!」
楽しめて良かったね!!
でも少しは手加減してくれないかな!?お姉さんこれでも生まれたてなんだ、まだ体の機能が本調子では無いんだ。
お子様パワーにやられた夏油くんが現在休息中につき、私が代打でお子様二人に付き合ってコーヒーカップ的なアリスモチーフのやつに乗っている。
真ん中の回るハンドルをこれでもかとグルグル回してキャッキャッと笑い声を挙げる二人は実に楽しそうである。
私は目を回しながらひたすら意味の無い声を出し続けていた。
た、たしゅけて………こんな時こそ私の可愛くて頼りになる後輩の出番じゃないのかな?
だがしかし、灰原くんは先程歩きながら一人で食べきってしまったポップコーンをルンタッタと補充する任務に向かってしまったため不在だ。呼んでおいてあれだが、本当に何なんだ灰原雄、子供相手にも「はじめまして!妻の灰原です!」ってお手本のような笑顔で挨拶してたのは流石にビックリしたぞ。それずっとネタだと思ってたけどガチのやつなんだね、どうかしてると思うよ。でも可愛いからOKです。
あとキッチンカーやワゴンがあると絶対見に行くのもやめて欲しい、財布へのダメージが半端ないぞ。
どれだけ食えば気が済むねんってくらい食べるんだもん、一口くれるのは嬉しいけど消化が間に合わないんだよね、だから今吐きそうです。
子供達の楽しげな笑い声を聞きながら私は吐き気と目眩に耐え続ける。
これどんな拷問?一体私が何をしたと言うのか……身に覚えがありすぎて罰であるなら受け入れる他無いんだが。神様ごめんちゃい(はぁと)
はぁ……やっぱり事情を説明して七海くんも道連れにするべきだったかもしれないな、彼なら美味いものと灰原くんの安全と笑顔をセットにすれば私の身代わりになってくれただろう。
よし、今度から困った時はアイツを身代わりにしよう。
徐々にティーパーティーも終盤らしく、速度が緩やかになっていく。
私はゼェゼェと息を乱しながら今更周りの様子を見た。
あー、うわー、めっちゃアリス。
私が好きだった児童小説の一場面、狂ったお茶会をモチーフにしたそれだ。
好きだった、というのは語弊がある。今も大好きである。
自分が編み出した技名全部アリス関係なくらいだしね、そりゃ好きよ。
ただほら、表立って「不思議の国のアリスが好き!」って言って語り出すのは恥ずかしいから……。
だから「別に?興味とかそんなにありませんけど?でも、まあ?人並みには?あるかな、みたいな?」といった雰囲気でソワソワする気持ちを隠しながら、ティーカップの乗り物の中で目を回しながらも周りをグルグル見渡していた。
「おねえさん」
「お、なんだい?」
ミミちゃんが私へ声を掛ける。
「アリスのティーパーティーってなに?」
「…………」
ミミちゃんが聞けばナナちゃんも同じく疑問の眼差しを向ける。
そうか、君達は不思議の国のアリスを知らんのか……そうか、そうか……。
ティーカップが停止する、私は二人の手を引いて何度も深く頷きながら夏油くんが待つ方へと歩いて行った。
「……やけに真面目な顔して降りてきたね」
「使命が‥生まれてしまった……」
神妙な面持ちで子供二人に目線を合わすようにしゃがみこむ。
さて、では語るとしましょうか。
私の愛について。
「えー、では…アリスのティーパーティーを語る前に前提として不思議の国のアリスについて説明させて頂きますね、まず不思議の国のアリスとはルイス・キャロルが書いた児童小説で、そもそもこのルイス・キャロルはイギリスの数学者でもあり、本名をチャールズ・ラトウィッジ・ドドソと言うんですが、彼が知人の娘さんに即興劇として紡いだ物語である地下の国のアリスを原型として後に出版したものが不思議の国のアリスであり、彼は知人の娘さん二人に即興劇を紡いだ日のことを黄金の昼下がりと称して強く思い出に残していまして。何せ当時の天気を記録している情報を遡れば彼と娘さん達が不思議な童話を楽しんでいた日は晴れてなどおらず、雨模様であったはずなので、ルイス・キャロルはこの日の出来事をそれはもう美化して記憶しており……」
「灰原!コイツの口を塞ぐんだ!!三日三晩語り続けるぞ!!」
「先輩、ごめんね!!」
モガモガモガモガァーーー!!!!!
うをおーーー!!!離せーー!!!私にアリスについて語らせろーーー!!!
ポップコーンを買って戻ってきた灰原くんは素早い動きで私の口を後ろから塞ぎ羽交い締めにしてきた。クソッ!邪魔だよ!!退け!!!私はオタクだぞ!!!
「先輩落ち着いて!」
「ンーーーーー!!!!!ンーーーーー!!!!!」
「七海にアリスのコスプレさせたいって言ってたやつ、僕も手伝うから!!」
「………ン…ン……」
まあ、それなら……。
灰原くんの提案によって私の暴走したパッションは落ち着いたが、七海くんは簡単に生け贄となった。なんて可哀想な子羊ちゃん…。
灰原くんの手をひっぺがせば、どういうつもりか知らないがそのままバックハグのような状態で固定されてしまったので、後ろに向けて「離してー」と言った。が、「ダメです!」とNOを思い切り突きつけられてしまった。なんでや。
「先輩捕まえておかないとすぐ暴走しちゃうから、ダメ!」
「そ、そんなこと無いよ、ちょっと興奮して幻覚とかは見えてるけど」
「ほらぁー!!」
白いウサギが慌てながら走って行く姿が見えたり、アイウエオの歌が聴こえていたりするけど大丈夫大丈夫、いつも通りです。(※いつも可笑しいので)
「先輩、目を覚まして!」
「なんか…ふわふわしてきたかも……」
「ちょっとオデコ触りますよ?」
私の前髪をあげて片手をペタッとオデコにあてた灰原くんは、数秒沈黙した後にむつかしい顔をしながら言った。
「全然わからない……」
「そりゃ、人間の肉体じゃないからね」
「それもそうだった…」
でも自分の身体のことは一番自分が分かる、私は現在興奮により暴走気味だ。
これ絶体あとで疲れて大変なことになるなあ……。
でもこんなに楽しい日はもしかしたら二度と来ないかもしれないから、楽しまなきゃ損だよね。
次があるなら、出来れば今度は五条くんも連れて来たい。五条くんだけじゃなくて硝子ちゃんも七海くんもね。
ああ、でも……
「お兄ちゃんは別に連れて来なくていいかな…」
「…先輩何か言いました?」
「なんでも無いよ、それよりそろそろ水分補給の時間だよ!」
灰原くんの疑問には答えず、子供達に水分補給をさせるべく声を掛けるため足を速めた。
ねえお兄ちゃん、私決めたよ。
私達やっぱり一緒に居るべきだ、私にとってお兄ちゃんと過ごした懐かしき日々の思い出こそが「黄金の昼下がり」なんだ。
私はお兄ちゃんを追い掛けてとんでも無いことになっている。
私はアリスじゃないから大きくなったり小さくなったりはしないけれど、大きく育て過ぎた感情は私という家の中で窮屈になってしまうこともあったよ。
不思議の国の住人である芋虫が蝶へと変わったように、私も新な身へと変わった。
子守りだってしたでしょう、じゃあ次は?
次は何をすべき??
私は不思議の国のアリスの目次ページを頭の中に思い浮かべた。
ウサギを追い掛けて不思議の国へ、涙の池を過ぎてイモムシが蝶へ変貌を遂げる、家族みたいに一つ屋根の下で暮らしたら、次に待つのは「め茶く茶会」だ。
永遠にお茶の時間である6時を繰り返し、キラキラこうもりを歌いながら、順番に席を変えてお茶を続けるのだ。
だとすれば、必要な物は……
私は兄とお茶会を開くため、準備を始めることを決めた。
私がめちゃくちゃになっていることに気付く者は、残念なことにここには居なかった。
だから私は幻想に蝕まれるままに、とうとう本当に可笑しくなってしまったのだった。