千二百五十カラットの愛慕
この世で一番好きな乳、お兄ちゃんの乳。
お兄ちゃんの身体で一番好きな部分、乳。
私……おっぱいが好きだ…。
こんな所で似てる部分があるとは自覚したくなかったが、私の性癖は多分直哉くんに似ている。
おっぱい好き、ケツも好き、可愛い子好き。
うわあ!似てる所があると自覚すると途端に自分のこと嫌いになりそう!!私はいじめッ子じゃないし、女の子を大事にするタイプだけど、でも……!お兄ちゃんに執着してたり、胸とケツが好きだったり、ウッッッ!!な、直哉くんと性癖が同じだという事実に耐えられないから直哉くんをこの世から消しても許されますか…?
「アウトだろ」
「じゃあもう一体どうしたら…!」
悩みが解決すると次の悩みが生まれるのが人間という生き物だ、私は新しく「直哉くんと同じものを好きだという事実」に悩んでいる。
おのれ禪院直哉~!お前何お兄ちゃんに執着してんだ、私のやぞ、私の兄だからな、私のおっぱいだから、お前のじゃねぇ、いいか分かったか。
もし分からないと言った日には私が全力で「分からせ」をするぞ。
「分からせって何すんだよ」
「直哉くんが昔書いて私に見せてくれた恥ずかしいポエムを禪院の家中に張り出したり」
「やめてやれよ」
いかにも「アタシって天の邪鬼だから…」とか言いそうな中学生が書いたようなポエム、私まだ持ってるからね、もしもの時は使わせて頂くよ、覚悟しな。
ってなことで、やっぱり悩んで足掻いてみても私の日常はサッパリ何も変わりはしないのだった。
おっかしーな……わざわざ甚壱お兄ちゃんに八つ当たりまでしに行ったのにな…日本に帰国してからやったことと言えば…
・ナマコの診察
・夏油くんとメイド喫茶に行った
・恵くんを見に行った
・甚壱お兄ちゃんに八つ当たりした
・灰原くんを魔改造した
以上、終わり。
も、もしかして……ろくなことをしていない!?あ…気付いてしまったな…私、日本に帰って来てからあまり真面目に頑張って無いのではなかろうか、海外に居た時は頑張って呪詛師追いかけっこを毎日真剣にしていたんだが……いつからこんなことに…ちょっと来月から本気出します…。
一切皆苦、人生は思い通りにならないことばかりだ。
諸行無常であり諸法無我、全ては移り変わり、繋がりの中で多様な形に変化していく。
私の気持ちも環境も、あらゆる物が形を変えつつ存在していく。
物事は影響を及ぼし合う因果関係によって成り立っており、他と関係なしに独立して存在するものなどないのだ。多分、私の言動もきっと誰かに影響を及ぼしている、あんまりろくなことしてないけどね。
私にとって一番影響力があるのはお兄ちゃんだ、お兄ちゃんが生きると言えば生きるし、死ぬと言えば共に死ぬ。
だけどそれだけじゃ辛いから、やっぱり大切にされたいし大事にされたい。未来の約束はいらないから、時々は私の我が儘の一つくらい聞いて欲しい。
「我が儘言っていい?」
「おう」
「恵くんの子育てに参加させてくれませんか」
「………」
「やっぱ、ダメかなぁ…」
私、結構面倒見はいいと思うんだけどな、実家の思想に染まりきって無いし、上層部に傾倒もしてないし、悪影響そんなにあるかな?
沈黙が室内を支配する。
ベッドに寝っ転がって雑誌を読んでいたお兄ちゃんは、雑誌から視線を外さぬままに言葉を考えていた。
「駄目っつーか」
「うん…」
「なんつーか」
言葉を濁し、口を閉ざす。
そうして、やや悩んだ後に、雑誌のページをペラリと捲りながらこう言った。
「多分、会わせたらアイツ お前に懐いちまうから」
「うん」
「それが嫌」
………………………ん?
………え?……なんて?
兄から発された言葉に思考が停止する、理解出来ない情報が耳から入って脳内を駆け巡るが、我が偉大なる優秀な頭脳を持ってしても意味を理解出来なかった。
ど、どゆこと?お兄さんは私を息子に会わせるのが嫌で、理由が?懐くかもしれないから?懐くのが嫌?懐かれると嫌ってのは、悪影響的な意味で?それとも、もしかしてあの…
「ほへ……」
「お前を取られんのが嫌なんだよ、分かったか?」
「…………はひぃ」
取られるのが嫌…って、これが巷に聞く、ど、独占欲ってやつですか!?いきなりの大きな感情にあわあわと慌てていれば、兄が伸ばした片手が私の頬に到達し、むにっと摘まんでみょんみょん揺らす。
「いひゃい、いひゃい」
「お前も子供嫌いじゃねぇし、仲良くされんの嫌なんだよ」
「うぅ…ははふぃふぇ…」
離してー!頬っぺた伸びちゃうよー!
うわーん!オーバーキルです!私のライフはもうゼロよ、何ならマイナス……回復出来ません、ここまでだ…。チンッ。
頬を離れていく手に変わり、自分の手で顔を覆って表情を隠す。勘弁してくれ、 何で兄妹揃って息子を通じて嫉妬を露にしているのか、何してんだ、滑稽極まる。
妹と息子が仲良くしてるだけで嫌なんですか、そうですか…仲間外れになんてしないのにね。そもそも私は言うまでも無いけどお兄ちゃんの物だよ、今も昔も変わり無く、貴方しか見てないの。
貴方のための私であって、他の誰かの私では無いのだから。
生きるも死ぬも兄次第、私はお兄ちゃんが一番だよ。
「やっぱり一度くらいは会わせてよ、恵くんが何かあった時に頼れる大人は多い方がいいだろうからさ」
「頼れる大人?お前が…?」
「そこ悩まないでよ~!」
私以上に頼れる味方なんて居ないと思うんですが?多少クレイジーなとこはありますが、面倒見が良くて頭が良くて優しくて頼りになると自負してるんですが、どうでしょうか?
え?自分本位で頭が可笑しくて容赦が無くて面倒臭い?
……はい、仰る通りです。
気が向いたらでいいから会わせてよ、ちゃんと距離感を保って接するから。
研究はしたかったけど、こうなりゃ一旦諦めてもいい。私の煮込みすぎたドロドロの思いとは比べ物にはならないような、お兄ちゃんの可愛らしい嫉妬に付き合ってあげようではないか。何せ私は優しくて可愛い妹なので。
貴方が私を思ってくれるなら、私も同じように貴方を想い恨む。
全うに死ぬよりも、兄に呪われ続ける方を選んだのだから、私は貴方を見つめて生きていく。
愛と言う名の呪いに取り憑かれ、満たされないと知って尚、私はやはり終わりを選べなかった。
幸せになるためには、幸せになる努力をしなければならない。
私は死ぬ努力は出来たけど、幸福になるための努力はしていない、幸福になるために差し伸べられた他人の手をどうしたって掴めない。
揺るぎ無き信仰を捧げる神は無く、自己の抱える思いに囚われ過ぎている。
あるのは、知への飽くなき探求心のみ。
幸福論を成し得ることは、私にも不可能だ。
より良い人生ってなんだろ、しかし、たかだか自分の人生のために頭を悩ますのも馬鹿らしい。
私はもっと他のことで頭を使うべきだ、友情のためにも自分のためにも。
「んも~~!お兄ちゃんったら嫉妬するなんて~!私はお兄ちゃんがナイス巨乳な限り他の乳には目をやらないから大丈夫だよ」
「やっぱお前直哉と似てるな」
「素直に傷付いた」
「慰めてやるよ、こっち来い」
わーい!おっぱいぽいんぽいーん!!
お兄ちゃん、釣った魚にはちゃんと餌をやるんだよ、私は自力で餌を探しに行けるけど、たまには貴方からの餌が欲しいと口を開けて待ってるからね。
だからちゃんと、私を呪い続けて。
私も貴方を想い呪うから。
お兄ちゃんの身体で一番好きな部分、乳。
私……おっぱいが好きだ…。
こんな所で似てる部分があるとは自覚したくなかったが、私の性癖は多分直哉くんに似ている。
おっぱい好き、ケツも好き、可愛い子好き。
うわあ!似てる所があると自覚すると途端に自分のこと嫌いになりそう!!私はいじめッ子じゃないし、女の子を大事にするタイプだけど、でも……!お兄ちゃんに執着してたり、胸とケツが好きだったり、ウッッッ!!な、直哉くんと性癖が同じだという事実に耐えられないから直哉くんをこの世から消しても許されますか…?
「アウトだろ」
「じゃあもう一体どうしたら…!」
悩みが解決すると次の悩みが生まれるのが人間という生き物だ、私は新しく「直哉くんと同じものを好きだという事実」に悩んでいる。
おのれ禪院直哉~!お前何お兄ちゃんに執着してんだ、私のやぞ、私の兄だからな、私のおっぱいだから、お前のじゃねぇ、いいか分かったか。
もし分からないと言った日には私が全力で「分からせ」をするぞ。
「分からせって何すんだよ」
「直哉くんが昔書いて私に見せてくれた恥ずかしいポエムを禪院の家中に張り出したり」
「やめてやれよ」
いかにも「アタシって天の邪鬼だから…」とか言いそうな中学生が書いたようなポエム、私まだ持ってるからね、もしもの時は使わせて頂くよ、覚悟しな。
ってなことで、やっぱり悩んで足掻いてみても私の日常はサッパリ何も変わりはしないのだった。
おっかしーな……わざわざ甚壱お兄ちゃんに八つ当たりまでしに行ったのにな…日本に帰国してからやったことと言えば…
・ナマコの診察
・夏油くんとメイド喫茶に行った
・恵くんを見に行った
・甚壱お兄ちゃんに八つ当たりした
・灰原くんを魔改造した
以上、終わり。
も、もしかして……ろくなことをしていない!?あ…気付いてしまったな…私、日本に帰って来てからあまり真面目に頑張って無いのではなかろうか、海外に居た時は頑張って呪詛師追いかけっこを毎日真剣にしていたんだが……いつからこんなことに…ちょっと来月から本気出します…。
一切皆苦、人生は思い通りにならないことばかりだ。
諸行無常であり諸法無我、全ては移り変わり、繋がりの中で多様な形に変化していく。
私の気持ちも環境も、あらゆる物が形を変えつつ存在していく。
物事は影響を及ぼし合う因果関係によって成り立っており、他と関係なしに独立して存在するものなどないのだ。多分、私の言動もきっと誰かに影響を及ぼしている、あんまりろくなことしてないけどね。
私にとって一番影響力があるのはお兄ちゃんだ、お兄ちゃんが生きると言えば生きるし、死ぬと言えば共に死ぬ。
だけどそれだけじゃ辛いから、やっぱり大切にされたいし大事にされたい。未来の約束はいらないから、時々は私の我が儘の一つくらい聞いて欲しい。
「我が儘言っていい?」
「おう」
「恵くんの子育てに参加させてくれませんか」
「………」
「やっぱ、ダメかなぁ…」
私、結構面倒見はいいと思うんだけどな、実家の思想に染まりきって無いし、上層部に傾倒もしてないし、悪影響そんなにあるかな?
沈黙が室内を支配する。
ベッドに寝っ転がって雑誌を読んでいたお兄ちゃんは、雑誌から視線を外さぬままに言葉を考えていた。
「駄目っつーか」
「うん…」
「なんつーか」
言葉を濁し、口を閉ざす。
そうして、やや悩んだ後に、雑誌のページをペラリと捲りながらこう言った。
「多分、会わせたらアイツ お前に懐いちまうから」
「うん」
「それが嫌」
………………………ん?
………え?……なんて?
兄から発された言葉に思考が停止する、理解出来ない情報が耳から入って脳内を駆け巡るが、我が偉大なる優秀な頭脳を持ってしても意味を理解出来なかった。
ど、どゆこと?お兄さんは私を息子に会わせるのが嫌で、理由が?懐くかもしれないから?懐くのが嫌?懐かれると嫌ってのは、悪影響的な意味で?それとも、もしかしてあの…
「ほへ……」
「お前を取られんのが嫌なんだよ、分かったか?」
「…………はひぃ」
取られるのが嫌…って、これが巷に聞く、ど、独占欲ってやつですか!?いきなりの大きな感情にあわあわと慌てていれば、兄が伸ばした片手が私の頬に到達し、むにっと摘まんでみょんみょん揺らす。
「いひゃい、いひゃい」
「お前も子供嫌いじゃねぇし、仲良くされんの嫌なんだよ」
「うぅ…ははふぃふぇ…」
離してー!頬っぺた伸びちゃうよー!
うわーん!オーバーキルです!私のライフはもうゼロよ、何ならマイナス……回復出来ません、ここまでだ…。チンッ。
頬を離れていく手に変わり、自分の手で顔を覆って表情を隠す。勘弁してくれ、 何で兄妹揃って息子を通じて嫉妬を露にしているのか、何してんだ、滑稽極まる。
妹と息子が仲良くしてるだけで嫌なんですか、そうですか…仲間外れになんてしないのにね。そもそも私は言うまでも無いけどお兄ちゃんの物だよ、今も昔も変わり無く、貴方しか見てないの。
貴方のための私であって、他の誰かの私では無いのだから。
生きるも死ぬも兄次第、私はお兄ちゃんが一番だよ。
「やっぱり一度くらいは会わせてよ、恵くんが何かあった時に頼れる大人は多い方がいいだろうからさ」
「頼れる大人?お前が…?」
「そこ悩まないでよ~!」
私以上に頼れる味方なんて居ないと思うんですが?多少クレイジーなとこはありますが、面倒見が良くて頭が良くて優しくて頼りになると自負してるんですが、どうでしょうか?
え?自分本位で頭が可笑しくて容赦が無くて面倒臭い?
……はい、仰る通りです。
気が向いたらでいいから会わせてよ、ちゃんと距離感を保って接するから。
研究はしたかったけど、こうなりゃ一旦諦めてもいい。私の煮込みすぎたドロドロの思いとは比べ物にはならないような、お兄ちゃんの可愛らしい嫉妬に付き合ってあげようではないか。何せ私は優しくて可愛い妹なので。
貴方が私を思ってくれるなら、私も同じように貴方を想い恨む。
全うに死ぬよりも、兄に呪われ続ける方を選んだのだから、私は貴方を見つめて生きていく。
愛と言う名の呪いに取り憑かれ、満たされないと知って尚、私はやはり終わりを選べなかった。
幸せになるためには、幸せになる努力をしなければならない。
私は死ぬ努力は出来たけど、幸福になるための努力はしていない、幸福になるために差し伸べられた他人の手をどうしたって掴めない。
揺るぎ無き信仰を捧げる神は無く、自己の抱える思いに囚われ過ぎている。
あるのは、知への飽くなき探求心のみ。
幸福論を成し得ることは、私にも不可能だ。
より良い人生ってなんだろ、しかし、たかだか自分の人生のために頭を悩ますのも馬鹿らしい。
私はもっと他のことで頭を使うべきだ、友情のためにも自分のためにも。
「んも~~!お兄ちゃんったら嫉妬するなんて~!私はお兄ちゃんがナイス巨乳な限り他の乳には目をやらないから大丈夫だよ」
「やっぱお前直哉と似てるな」
「素直に傷付いた」
「慰めてやるよ、こっち来い」
わーい!おっぱいぽいんぽいーん!!
お兄ちゃん、釣った魚にはちゃんと餌をやるんだよ、私は自力で餌を探しに行けるけど、たまには貴方からの餌が欲しいと口を開けて待ってるからね。
だからちゃんと、私を呪い続けて。
私も貴方を想い呪うから。