事務所代表の幼馴染みはプロデューサー
暴言吹き荒ぶES首脳会議"サミット"は、あんずちゃんと僕の優秀な幼馴染みのおかげで今回もなんとか無事に治まった。勿論、時間通りとまではいかなかったけれど。
多少押してしまった事もあり、多忙を極めるあんずちゃんをはじめ各自、次のスケジュールへと足早に解散していき、ほとんどの代表と補佐役が退出した頃合いだった。
「敬人さん、英智さん」と。
彼女は僕らにだけ見せる人懐こい笑顔を浮かべて"そうだ、すっかり言いそびれていた"のだと
言わんばかりに、あまりに自然に振り返る。
切り揃えられた淡い色の髪が空を舞い、隙間から覗いた瞳が嫌に綺麗で驚いたけれど、彼女は今も昔も何ら変わりなく余すことなく綺麗なのだと思い出す。
僕と敬人はそれに見惚れるようにして足を止めた。
「父から今朝連絡がありました。私の婚約者が決まったそうなので、お二人に今お伝えしてもよろしいでしょうか?」
「…そぅ?それは是非、幼馴染みとして一番に聞かせて欲しいな」
嗚呼、あぶないあぶない。
僕はいま、きちんと時差なく返事をしてあげられただろうか?
会議終わりの立ち話から始まる、
あまりに突飛な婚約者発表に
脳が正しく着いていけなかったようで、
心なしか心拍数がおかしい。
隣で立ち惚けている敬人を盗み見れば、僕と大差ない様子でほんの少し胸が落ち着いた。
きっと今敬人の頭の中では、彼が描く漫画のように大小様々な擬音が所狭しと乱立しているか、台詞もない手抜きとも言える白いコマが、数ページに渡って続いている最中なのだろう。
彼女は仕事用のスマホを確認しながら、なんでもないような表情で続ける。
「敬人さんの次のスケジュールは夜からなので、まだ余裕がありますが…英智さんはお急ぎではありませんか?」
「僕なら大丈夫だよ。体力と精神が削り取られる会議後は、できるだけ予定を入れないようにしているんだ」
「今日は長引きましたものね。お疲れでしょうから、手早く済ませます」
「気遣ってくれてありがとう。それで?その婚約者は僕の知る人なのかな?」
「それが…」
「おぃ!ちょっと待て貴様ら………何をちゃっかり人生の重大発表を始めようとしている!ここはまだES内だぞ。 もう少し時と場所を選んでから発言してみせろ」
「すみません敬人さん。早く言わなくちゃと思っていたので、つい」
「つい、で婚約者を明かそうとするな。お前はもう少しTPOを弁えろ。普段できている分余計に度し難いぞ」
「ごめんなさい、敬人さん」
「こらこら敬人。菫をこんなに小さくさせてどうするの?ほら笑ってみせてよ、リズリン代表」
敬人の頬に指をあてがい、無理やり笑わせようと試みたけどペチッと軽い音を立てて払われてしまった。
小心者の敬人にも困ったものだ。
心の準備ができていなかったからって、
可愛い菫にお説教しないであげてほしい。
この日が訪れるイメージトレーニングなら、
それこそ10歳になる前からお互いしてきただろうに。
TPOを弁えなくてもいいと判断するくらい、
彼女にとっては心動かされない些末な出来事なのか。
はたまた弁えられなくなるくらい、
心の中では動揺しているのか。
敬人よりも付き合いの長い僕でも、
その辺りは彼女特有の調子に撒かれて
はっきりとは解らない。
僕は扉の向こうで待ってくれていた弓弦に声をかけ、朔間くんを連れて先に帰ってもらうよう伝える。
たいへん物分かりのいい補佐役達は
二つ返事で扉を閉めた。
まぁ、単に早く帰りたかっただけだろうけど。
僕は敬人と菫をもう一度席につかせ、
やいやい喧しい敬人をなだめる為と
僕自身が落ち着く為に、
自慢のティーセットを広げ話の片手間に
紅茶を煎れる事にした。
この後の話の流れによっては、
忘れられない味になるかもしれないな。
その間は菫のお相手が一体どこの誰なのかと問い詰める様な、性急で無粋かつ不様な真似は死んでもしない。
きっと敬人も同じ気持ちだ。
腕を組み依然として不機嫌な敬人は、会議中より数段気が立っていていよいよ笑えてくる。
当の菫は敬人と目が合わない事が気になるのか、紅茶を注ぐ僕に視線だけで助けを求めてくる。
"幼馴染み三人揃っての久しぶりのティータイムすら愉しめない敬人なんて放っておけばいいのに"という意味を込めて、僕は眉を上げる仕草だけで返事した。
それを見て、菫はちいさく微笑む。
僕と菫のアイコンタクトが繰り広げられるこの空間に居心地が悪くなったのか、敬人はひときわ大きな咳払いをした後一言、彼女の名前を呼んだ。
途端に菫は花が綻ぶように笑って、敬人に膝を向ける。
そんなに可愛い顔をしなくたって…と、
地味に妬いてしまったのは内緒にしておこう。
「今朝…連絡があったのか?」
「はい、国際電話で。二言三言お話ししたらすぐに切れてしまいましたけど」
「全く気づけなかった俺も悪いが……お前ももう少し顔に出せ。事務所から一緒だったが普段通りにこにこされていてはわからん」
「私、にこにこしていましたか?」
「ああ、あの煩い会議中は眠そうだったがな」
「会議前に知っていたら、敬人は朔間君におんぶに抱っこになっていたんじゃない?」
「うるさい。そういう貴様はどうなんだ」
「僕はそうだな。サミット自体を中止させていたか、違うサミットを開いていたかな」
「よかった、会議終わりにお話しして」
「ふむ。タイミングは悪くはなかったらしい。さっきは俺が言いすぎたな」
「いいえ、私の方こそごめんなさい」
君たち二人の仲直りは
昔から砂糖が溶けるよりも早いよね。
敬人は眉間の皺が減り、
ようやく僕の煎れた紅茶に口をつけてくれた。
菫は猫舌にはまだ熱いばかりのティーカップを
両の手でそっと握りしめている。
僕の心音も紅茶の香りに絆されて、
だんだんと落ち着きを取り戻してきた。
「ねぇ、菫?勝手に決められた婚約者を一方的に告げられた今は一体どんな気分なんだい?」
「もぅそんなに生きたのだなぁと、少し驚きました」
「ああ、わかるよ。僕もよくここまで生きられたものだなぁと時々感慨深くなるから」
「一瞬でも真面目に会話ができんのか貴様らは。それが婚約者を親の独断で決められた人間のいう台詞か?」
「二十歳になったら親の決めた相手と婚約だなんて。こんな時代錯誤甚だしい生い立ち、今時探してもいやしないからね。言葉の正否も何もないよ」
「強いていうなら、天然記念物に指定された気分になれますよ」
「おぃこら、嬉しそうにするな」
「ふふ ごめんなさい」
「僕だって君と同じく財閥の一人息子なのに、おかしな話だよね。病弱である事を憂いてか、アイドルであることを尊重してか…許婚を立てなかった"良識ある親"に僕は感謝しないといけないのかな?」
「回りくどい嫌味を俺達にぶつけるのはやめろ。純粋に反応に困る」
「人事とは思えないって言いたいだけだよ。親からの掌握され具合なら完全に僕の惨敗だけどね」
「お気遣いありがとうございます英智さん。でも、財閥貫地谷の血どうこうというより、父は単にお母様の血を絶やしたくないだけです。幼い頃はちっともわかりませんでしたが、あの人はお母様を…愛してらしたから」
"私も今でもお母様が大好きです"と、
瞳を閉じ唄うように告げる彼女とは相反して、
なんて胸の悪い話だろうといつも思う。
海運王とまで謳われた貫地谷の長は、
今も亡くなった妻の面影を娘の中に…そして
娘が繋ぐ血筋にまで見出そうとしている。
財閥の名声と菫自身に見合う
"優秀で健康で美麗な遺伝子"を探す為
世界中を闊歩する片手間、
花婿探しに躍起になっていただなんて。
とんだ茶番だ、笑えもしない。
菫のお母上とお会いした事はないけれど、
彼女をこの世に産んでくれた恩こそ感じても
彼女を縛り付ける一端である事には、
軽い憎しみすら覚える。
渉なら、こんな狂劇すら愛してしまえるんだろうか?
僕には到底できそうもないな。
静かに琥珀色の水面を見つめる彼女の面差しは、哀しいくらいに優しい。
その表情に堪らなくなったのか、今度は敬人が眉間に深い皺を刻んだまま彼女に問う。
「菫。お前は本当にそれでいいのか?」
「はい、あくまで婚約ですから」
「答えになっていない。お前の心はどうかと聞いているんだ」
「私の一番の夢は、今も昔も英智さんと敬人さんとずっと一緒にいることです。婚約者の方の意向もあるかと思いますが、今と変わりなくプロデューサーのお仕事ができるのであれば今回の婚約は何の問題にもなりませんよ」
「………度し難い。お前自身が問題提起しなければ何も変わらんのだぞ。人のことばかり考える癖にこちらの気持ちまでは考えない…俺はお前のそういう所が昔から解せんのだ。俺達がアイドルとして夢を実現していく最中、望まない婚約をさせられたプロデューサーの側でそれでも笑えと。そう言えるのか?お前が何を諦めようと、俺は断じて認めんからな」
「敬人さん…」
「いつになく今日は熱いんだね、敬人。泣いてしまいやしないか僕は気が気でなかったよ」
「………いや、すまん。そこまで強く言ったつもりはなかったんだが…」
「あ、ううん。敬人がね」
「誰が泣くか!」
「敬人さんはお優しいですからね」
「俺は今、貴様の話をしていたんだがな…?」
怒りで震える敬人の横で、菫は瞳を細めて慎重に。そろりそろりとティーカップに口付けている。
あぁ、堪らないなこの温度差。
ずっと眺めていたいくらいだよ。
勿論、敬人の言いたい事はわかる。
僕がわかるんだから、菫だってわかっているに決まっているのに敬人はどうしてそう実直でいられるんだろう。
そこが敬人の良さだけどね。
僕はというと、敬人を反面教師にできたおかげか随分と落ち着いたものだった。
それに彼女のいうとおり。
たかが婚約だと僕も重々理解している。
もしも菫の婚約者が僕以外だったとして、
外部から解消させる手数は今思いつく限りでも
40はくだらない。
あのいけすかない男が決めた相手に、
この僕が劣るとは到底思えないのもあるけれど。
僕はやっと自分のターンだと言わんばかりに努めて優しく、柔らかな表情で菫に言い聞かせる。
「お熱い敬人の後で気が引けるけど、僕は菫の意思を尊重するよ。君が例えどこの馬の骨と婚約させられようとも、敏腕プロデューサーとして今後も変わらずアイドル達を導いてくれるのであれば、ES運営委員会長としても何ら提言する必要はないしね」
「余裕ぶるのも大概にしろよ、英智。日々樹や巴が婚約者候補にいると聞いて人知れず小汚い工作をしていたのはどこの誰だ?」
「さぁ?存じ上げないな。それは一体何祥院さんだろうね?」
「貴様という奴は……」
「ふふ 本当にありがとう英智さん。私のお相手が英智さんで良かったです」
「………」
「………」
「?」
「…………は?」
「……いま、なんて?」
「私の婚約者は、英智さんでした」
"ごめんなさい、話が前後してしまいましたね"と。
彼女はオチのない話をしてしまって
申し訳ないとでも言わんばかりにはにかむ。
可愛らしく笑っていないで、
どうかこの場でもう一度。
その愛らしい声で僕の為に聞かせてほしい。
僕が…僕こそが菫の婚約者だって。
だけど嗚呼、どうしたものかな。
5歳の子どものように両手をあげて、やったー!とでも叫べばいいのかな?
心拍数は勿論のこと、鳥肌や手汗もすごいんだけど。英智くんゲージはこれ、上がってるの下がってるの?
振り切れてしまってはいないかな?
僕はなんだかどうしようもなく喉が乾いて、
味のわからない紅茶を飲み干した。
カップの底が見えた頃に、薄目で敬人を確認したけれど、何とも言えない表情で固まっていて思わず紅茶を吹き出しそうになる。
僕は音は発さず、唇の動きだけで
敬人に"やったー!"と笑ってみせた。
ダブルピースも添えたかったんだけど、
菫の手前そこはなんとか自重する。
敬人も僕にオフレコで返事してくれたけど、おなじみの"度し難い"だったから読唇術を使うまでもない。
その隣でやっと言えたと満足そうに胸を撫で下ろしている菫の頬は、暖房のせいか赤く上気して見えた。
こればっかりは僕の自惚れではないと願いたい。
ああ、可愛いな。本当に愛おしい。
僕のフィアンセはまだ指輪のない白い手を差し出して女神のように微笑んだ。
僕は迷わずその手を取る。
「これからも、どうぞよろしくお願いします英智さん」
「こちらこそ。末長くよろしくね、菫」
「……散々貴様らをたしなめてきた手前、多少はばかられるがそれでも言わせてくれ。未だ、所詮、たかが、婚約者だからな?その点を肝に銘じて何事も早まるなよ英智」
「あれ、敬人いたの?」
「おい菫。お前の婚約者に灸を据えさせてくれ」
「程々にはできませんか?」
「善処の仕様はこいつ次第だな」
「不思議だなぁ、僕は今敬人に胸ぐらを掴まれそうな勢いだっていうのに微塵も怖くないんだ。君と婚約しただけでここまで人は変われるものなのかな?」
「大丈夫ですよ。英智さんは以前から敬人さんのこと全然怖がっていませんでしたから」
今すぐここで追いかけっこを始めてもよかったけど、無駄な体力を使う気は更々ない。
僕と敬人じゃ、トムとジェリーとはいかないだろう?
だってあまりに役不足だもの。
僕はべーと敬人に舌を見せ、
敬人はいーと歯を覗かせる。
無言の牽制の最中、菫はすっかり冷めきったあまいあまい紅茶を美味しそうに飲み干していた。僕の婚約者のマイペースなこと。
「それにしても意外だったな。僕は幼少期からあからさまにあの人を嫌ってきたから、てっきり婚約者候補からとうに弾かれているとばかり思っていたよ」
「父は英智さんのこと、お好きですよ?英智さんは父自身にとてもよく似ているのだそうです。ナルシストで困ってしまいますね」
「喜べ英智、義理の父になるかもしれん相手と話が合うんじゃないか?」
「ああ、うんそうだね。家族付き合いがすこぶる捗りそうだ」
「とは、言ってもです」
「とは、言っても?」
「どうぞご自由に婚約破棄なさって下さいね英智さん。この誓約は形ばかりでなんら意味を為しません。英智さんのご両親にも連絡が入っているとは思いますが、アイドルとして大事な時期を迎えるご子息をみすみすスキャンダルに投じるような真似は天祥院の方々もしないでしょう。私のことは、そうですね…芸能活動を続ける上での風除けかカムフラージュとでも思って下さい。貫地谷の名声なんて、父そのものですので、どうぞお気軽に地に落として踏んでくださいね」
また何を言い出すのか、この子は。
僕は頬杖をつき、ため息をつきたいのを抑えて
わざと大袈裟に足を組みなおした。
敬人もなんだか頭が痛そうだ。
すっかりプロデューサーの顔になってしまった菫の放つ"聖論"はいつも毒があって仕方ない。
この僕がスキャンダルや婚約ごときで堕ちるアイドルだとでも?
確かに茨くんあたりが吹聴すれば、小賢しい真似をしてきそうだと容易に想像はつくけどね。
でも僕はこの喜ばしい事実を
他人に言いふらさない自信がない。
僕の権限で、君をスタプロ付きにしてfine専属にまで祭り上げ四六時中スケジュールを合わせ続ける事だってできるのに、それをしない僕を褒めてほしいくらいだ。
「自分を卑下するのはいただけないな。菫は菫が思っている以上に天祥院家からもESからも愛されているんだけどね。婚約破棄を突きつけて、君のお父上の面目を潰すのは最高に気分がいいけれど、このどうしようもない優越感を自らの手で潰やすなんて願い下げかな」
「優越感、ですか?」
「僕は今この上なく最高に気分がいいってことだよ」
「…………だろうな」
今度は敬人が頬杖に合わせてため息まで吐いた。
菫は長い睫毛を震わせ、数回瞬きしながら
何もわかっていないような微笑みを僕に向ける。
クエスチョンマークを浮かべる彼女のために
"今は婚約解消する気は毛頭ないよ"と、
幼い子供に言い聞かせるようにゆっくりと耳元で囁いた。
花のような君の笑顔がこんなにも近くにある。
口付けてしまいたい衝動を我慢するのも大変だ。
「何はともあれようこそ、天祥院家へ。心から歓迎するよ。"Welcome to tenshoin"だね」
「ふふ RAINBOW CIRCUSみたいですね」
「今から慣れておいてもいいんじゃない?ほら、言ってごらん菫」
「天祥院、菫…ですか?なんだか名前負けしていて気恥ずかしいですね」
「そう?天空と野花が一つになっているんだよ。この上なく平和で安寧の続く、美しい綴りだと僕は思うけどね」
「おい、"仮婚約者"。何を早速改姓させている。早まるなと言っているだろう」
「わざわざ仮なんて付けなくても、婚約はたかが前約束だよ?これくらいの言葉遊び許しなよ。ほら、敬人にも想像くらいはさせてあげるから」
「誰が貴様の許可などいるか」
「敬人さんとだったら、蓮巳菫ですよね。名前にお花が二つも入っているなんて…とても素敵だと思いませんか?」
「…だ、そうだぞ英智?確かに、戒名を付ける際の字面も含めて完全にこちらの方が美しいと思うが?」
「名字の話だけでお墓に入る所まで想像するなんて、家柄だけでは片付けられない重さが滲み出ているよ敬人。なんだか既に縁起が悪いから却下かなぁ」
「たかが遊びで人の名字を棄却するな」
「ああ、でもきっと蓮巳菫でしたらスバルさんからすみりん改め"すみすみ"と、新しいあだ名を付けられてしまうのでしょうね」
"どうしましょう、とってもかわいい"と呟きながら彼女はひとりクスクスとあまりにも楽しそうに微笑む。
見た?敬人のまんざらでもない顔。
親公認の婚約者がいる目の前で、蓮巳姓人気だけで勝ち誇られても痛くも痒くもない。
だけど、でも。
うん、そうだね。
賢い菫のいうとおりだ。
この婚約には未だ、
なんの価値も未来への拘束力もない。
恋愛結婚に夢見てはいないけれど恋愛のれの字さえ履修中な君の気持ちを手に入れるまでは、ああ死ねないな、このまま死ねない。
それまではこの肩書も虫除けくらいにはなるだろう。
君に恋して愛してもらえるその日まで、
僕は大人しく婚約者に甘んじてあげる。
「英智さん?」
「ううん、君のことを考えていただけだよ」
「これからもずっと一緒にいられますね」
「ああ、勿論」
*『婚約者が決定した時の幼馴染みズ』のお話でした。リクエストありがとうございました!