小話(いろいろ)
■ぺこり ないと(合体ザマス+ザマス+ブラック+ゴワス+ベジット)
「ほぉ、これは地球の踊りか?」
木々を優しく揺らす、色なき風が吹く昼下がり。ゴワスとベジットは、中庭で一緒にお茶をしていた。ゴワスが覗き込んでいるのは、ベジットが所有しているタブレット。そのタブレットの中では、とある動画が再生されていた。
「ああ。今、地球で人気のあるアイドルらしいぜ。歌って踊れるとかで」
「さぞかし練習を重ねたのだろうな。踊りの上手さもさることながら、振り付けが息ぴったりだ」
「ザマス達だったら、踊れそうじゃねぇか?」
「確かに。同じ存在というだけあって、あの三人の連携は見事なものだからな。きっと見事な踊りを踊ることだろう」
「ゴワス様から踊るように言ってみてくれよ。未来で散々ゴワス様に迷惑をかけたんだ。ゴワス様から頼めば、あの三人は踊ってくれると思うぜ」
ザマス達三人は、未来での一件で散々ゴワスに反抗した反動なのか、改心してからはとことんゴワスに甘くなっていた。
ゴワスは困ったように、
「ザマス達も反省しているんだ。昔のことを盾に要求するのは可哀想だ」
「確かにそうだけどよ。でも、やらせるやらせないは置いておいて、あの三人の踊りは見てみたくないか?」
「ザマス達の踊りか。まあ、本音を言うなら、確かにザマス達が踊る姿を見てみたいな」
『……確かにザマス達が踊る姿を見てみたいな』
「――だってよ」
「聞いてない。我は何も聞いていない」
昼間の会話の一部をタブレットで録音していたベジット。その録音を聞かされた合体ザマスは、頑なに耳を押さえて聞かなかった振りをしたのだった。
合体ザマス、ザマス、ゴクウブラックの三人で、緊急会議が開かれた。
場所はザマスの部屋である。
ソファに座った合体ザマスは、ベジットから借り受けたタブレットを使って、動画と録音した会話を向かいの二人がけのソファに座るザマスとブラックに聞かせた後、事の事情を説明した。タブレットで例のダンス動画を見たブラックが、重々しく口を開く。
「このような踊り、踊れる訳ないだろ……。技術とかではなく、見た目的な意味で」
「しかし、ゴワス様が見たいと仰っているのだ……」
腕を組んだ合体ザマスは、難しい表情で呻くように言うが、ブラックの隣で動画を見ていたザマスは呆れた顔をしている。
「私には、ベジットに会話を誘導されたようにしか聞こえないのだが……」
その後も会議は続いた。
『ベジットに誘導された結果の言葉だから、無視してもいい』
『だが、踊りを見たいというのはゴワス様の本心なのは間違いない』
夕食後の自由時間を使って議論した結果、やはり自分達にあの踊りは(色々な意味で)無理があるから、別の事をしてゴワス様を喜ばせようという結論に達した。
取り敢えず三人は落としどころを見つけることができたので、安心して会議を解散し、おのおの自分の部屋に戻っていったのだった。
が。
「聞いたぞ、皆であの踊りを踊ってくれるのか。ありがとう、楽しみにしてるぞ」
「は? え?」
翌日の朝。執務室で顔を合わせた瞬間、ゴワスが嬉しそうにそう語りかけてきたので、合体ザマスはあっけにとられて言葉を失った。
「それはどういう意味……」
ゴワスの言葉が理解できず、混乱した合体ザマスが事情を求めるように口を開いたが、突如現れたベジットが、背後から合体ザマスの肩を抱きながら大きめの声でその言葉を遮った。
「昨日、ゴワス様の為に頑張って踊るって言ってたもんな! オレも応援してるからな!」
「!?」
勢いよく肩を抱かれた勢いでよろけていた合体ザマスだったが、ベジットの言葉を聞いて驚愕に目を見開いた。
「貴様、まさかゴワス様に嘘をぐふ!?」
ベジットは、何やら余計な事を言い出した合体ザマスの鳩尾に、神速の膝蹴りを入れて黙らせる。
「どうかしたか?」
目にも止めらぬ速さだった為、ゴワスは何が起こったのか気がついていない。ベジットは気絶した合体ザマスを肩に担ぎつつ、にこやかな笑顔を浮かべながら、
「なんか、昨日は夜遅くまで練習してたから、眠くて足がもつれるってよ。ちょっと医務室に運んでくる」
「なんということだ。ポタラのザマスが気がついたら、あまり無理をしなくていいと伝えておいてくれ」
「……と言う訳で踊ることになった。腹を括れ」
「括れるか!」
「何をやっているんだお前は!?」
その夜、再びザマス達の間で会議が開かれたのだが、その会議は最初から紛糾した。ちなみに場所はブラックの部屋である。持ち回りで行われているらしい。
納得がいかないザマスは、ソファに座ったまま目の前のローテーブルを拳でだんっと叩きながら、向かいに座る合体ザマスに食ってかかった。薔薇の花が生けられた花瓶が衝撃で浮き上がり、がちゃんと危険な音を立てて着地する。
「ベジットにしてやられたのはこの際置いておくとして、何故ゴワス様に真実を伝えないのだ!?」
「そうは言うがな……」
合体ザマスは重苦しい溜め息をひとつ吐くと、
「ゴワス様は、我ら三人が踊ることを非常に楽しみにしていてな。正直、あの方に対してしでかしたことを思えば、その願いは叶えるべきではないのかと考えてしまうのだ」
何より、合体ザマスは意識が回復した後、何度かゴワスに踊るつもりはないことを説明しようとしたのだが、『踊ってくれるのは嬉しいが、決して無理はしないでくれ』『いつまでも私は待っているから』と言われて、逆に何も言えなくなってしまったのだ。
ちなみに諸悪の根源であるベジットは、どこかに逃亡している。
「何を弱気になってるんだ!? 確かに、ゴワス様の願いを反故にするのは心苦しいが、ならば別のことで喜んで貰えば良いと、昨日話し合ったばかりではないか! お前ができないというなら、今から私がゴワス様の元へ行って誤解を解いてくる!」
ザマスは勢いよく立ち上がると、そのまま部屋をあとにする。ブラックもまた、そのあとに続いた。
早速、ゴワスの私室へ向かったザマスとブラックは、夜分に訪れたことを詫びつつ事の事情を説明した。
「――と言う訳で、あれはベジットの勘違いです」
「私達に踊る予定はありません」
応接室に通されたザマスとブラックは、ソファに座ったまま、向かいに座るゴワスに交互に説明した。
説明を聞き終えたゴワスは、寂しそうに肩を落として、
「……そうか。それなら仕方がないな」
『やっぱり踊ります』
ゴワスがしょんぼり呟いた瞬間、ザマスとブラックは反射的にそう言ったのだった。
「……我に何か言う事があるのではないか?」
「ゴワス様の落胆された姿を見た瞬間、気がついたら口が勝手に言葉を発したのだ」
「不可抗力だ」
「一言でいいから、我に馬鹿だのなんだの言ったことを謝れ」
そして、後日。
嬉しそうなゴワスと、ニヤニヤ顔でタブレットを構えて動画を撮っているベジットの前で、合体ザマス達は踊る羽目になったのだった。
■一卵双生児?(黒ザマ)
戦いの時は覇気の纏った面持ちをする孫悟空ではあるが、日常生活の中ではまるで別人のような間抜け顔を晒すことがある。
談話室のソファに座ったザマスは、隣に座ったゴクウブラックの頬をぐにぐにと手でこねくり回していた。
「ザ、ザマス?さっきからなんなんだ……?」
ブラックは、ザマスの好きなようにさせているものの、あまりに長時間、頬をぐにぐにしてくるので戸惑い気味に声を上げる。
真剣な表情をしたザマスは、
「なかなか同じにはならないな」
「いや、だから何がだ……?」
孫悟空と同じ間抜け顔をしたブラックが見たいザマスは、さらにブラックの頬をむにっと摘まんだのだった。
■いつもの(黒ザマ)
三日前にザマス相手に、またなんかやらかしたけども、すっかりその事を忘れてるゴクウブラックが「ザマス、その赤い実は何だ?」と、問いかけると、 まだ三日前の事を根に持っているザマスは、「これは孫悟空が持ってきた地球の植物の実だ。そのままで食べられるらしい」と言って唐辛子を差し出したのだった。
「ほぉ、これは地球の踊りか?」
木々を優しく揺らす、色なき風が吹く昼下がり。ゴワスとベジットは、中庭で一緒にお茶をしていた。ゴワスが覗き込んでいるのは、ベジットが所有しているタブレット。そのタブレットの中では、とある動画が再生されていた。
「ああ。今、地球で人気のあるアイドルらしいぜ。歌って踊れるとかで」
「さぞかし練習を重ねたのだろうな。踊りの上手さもさることながら、振り付けが息ぴったりだ」
「ザマス達だったら、踊れそうじゃねぇか?」
「確かに。同じ存在というだけあって、あの三人の連携は見事なものだからな。きっと見事な踊りを踊ることだろう」
「ゴワス様から踊るように言ってみてくれよ。未来で散々ゴワス様に迷惑をかけたんだ。ゴワス様から頼めば、あの三人は踊ってくれると思うぜ」
ザマス達三人は、未来での一件で散々ゴワスに反抗した反動なのか、改心してからはとことんゴワスに甘くなっていた。
ゴワスは困ったように、
「ザマス達も反省しているんだ。昔のことを盾に要求するのは可哀想だ」
「確かにそうだけどよ。でも、やらせるやらせないは置いておいて、あの三人の踊りは見てみたくないか?」
「ザマス達の踊りか。まあ、本音を言うなら、確かにザマス達が踊る姿を見てみたいな」
『……確かにザマス達が踊る姿を見てみたいな』
「――だってよ」
「聞いてない。我は何も聞いていない」
昼間の会話の一部をタブレットで録音していたベジット。その録音を聞かされた合体ザマスは、頑なに耳を押さえて聞かなかった振りをしたのだった。
合体ザマス、ザマス、ゴクウブラックの三人で、緊急会議が開かれた。
場所はザマスの部屋である。
ソファに座った合体ザマスは、ベジットから借り受けたタブレットを使って、動画と録音した会話を向かいの二人がけのソファに座るザマスとブラックに聞かせた後、事の事情を説明した。タブレットで例のダンス動画を見たブラックが、重々しく口を開く。
「このような踊り、踊れる訳ないだろ……。技術とかではなく、見た目的な意味で」
「しかし、ゴワス様が見たいと仰っているのだ……」
腕を組んだ合体ザマスは、難しい表情で呻くように言うが、ブラックの隣で動画を見ていたザマスは呆れた顔をしている。
「私には、ベジットに会話を誘導されたようにしか聞こえないのだが……」
その後も会議は続いた。
『ベジットに誘導された結果の言葉だから、無視してもいい』
『だが、踊りを見たいというのはゴワス様の本心なのは間違いない』
夕食後の自由時間を使って議論した結果、やはり自分達にあの踊りは(色々な意味で)無理があるから、別の事をしてゴワス様を喜ばせようという結論に達した。
取り敢えず三人は落としどころを見つけることができたので、安心して会議を解散し、おのおの自分の部屋に戻っていったのだった。
が。
「聞いたぞ、皆であの踊りを踊ってくれるのか。ありがとう、楽しみにしてるぞ」
「は? え?」
翌日の朝。執務室で顔を合わせた瞬間、ゴワスが嬉しそうにそう語りかけてきたので、合体ザマスはあっけにとられて言葉を失った。
「それはどういう意味……」
ゴワスの言葉が理解できず、混乱した合体ザマスが事情を求めるように口を開いたが、突如現れたベジットが、背後から合体ザマスの肩を抱きながら大きめの声でその言葉を遮った。
「昨日、ゴワス様の為に頑張って踊るって言ってたもんな! オレも応援してるからな!」
「!?」
勢いよく肩を抱かれた勢いでよろけていた合体ザマスだったが、ベジットの言葉を聞いて驚愕に目を見開いた。
「貴様、まさかゴワス様に嘘をぐふ!?」
ベジットは、何やら余計な事を言い出した合体ザマスの鳩尾に、神速の膝蹴りを入れて黙らせる。
「どうかしたか?」
目にも止めらぬ速さだった為、ゴワスは何が起こったのか気がついていない。ベジットは気絶した合体ザマスを肩に担ぎつつ、にこやかな笑顔を浮かべながら、
「なんか、昨日は夜遅くまで練習してたから、眠くて足がもつれるってよ。ちょっと医務室に運んでくる」
「なんということだ。ポタラのザマスが気がついたら、あまり無理をしなくていいと伝えておいてくれ」
「……と言う訳で踊ることになった。腹を括れ」
「括れるか!」
「何をやっているんだお前は!?」
その夜、再びザマス達の間で会議が開かれたのだが、その会議は最初から紛糾した。ちなみに場所はブラックの部屋である。持ち回りで行われているらしい。
納得がいかないザマスは、ソファに座ったまま目の前のローテーブルを拳でだんっと叩きながら、向かいに座る合体ザマスに食ってかかった。薔薇の花が生けられた花瓶が衝撃で浮き上がり、がちゃんと危険な音を立てて着地する。
「ベジットにしてやられたのはこの際置いておくとして、何故ゴワス様に真実を伝えないのだ!?」
「そうは言うがな……」
合体ザマスは重苦しい溜め息をひとつ吐くと、
「ゴワス様は、我ら三人が踊ることを非常に楽しみにしていてな。正直、あの方に対してしでかしたことを思えば、その願いは叶えるべきではないのかと考えてしまうのだ」
何より、合体ザマスは意識が回復した後、何度かゴワスに踊るつもりはないことを説明しようとしたのだが、『踊ってくれるのは嬉しいが、決して無理はしないでくれ』『いつまでも私は待っているから』と言われて、逆に何も言えなくなってしまったのだ。
ちなみに諸悪の根源であるベジットは、どこかに逃亡している。
「何を弱気になってるんだ!? 確かに、ゴワス様の願いを反故にするのは心苦しいが、ならば別のことで喜んで貰えば良いと、昨日話し合ったばかりではないか! お前ができないというなら、今から私がゴワス様の元へ行って誤解を解いてくる!」
ザマスは勢いよく立ち上がると、そのまま部屋をあとにする。ブラックもまた、そのあとに続いた。
早速、ゴワスの私室へ向かったザマスとブラックは、夜分に訪れたことを詫びつつ事の事情を説明した。
「――と言う訳で、あれはベジットの勘違いです」
「私達に踊る予定はありません」
応接室に通されたザマスとブラックは、ソファに座ったまま、向かいに座るゴワスに交互に説明した。
説明を聞き終えたゴワスは、寂しそうに肩を落として、
「……そうか。それなら仕方がないな」
『やっぱり踊ります』
ゴワスがしょんぼり呟いた瞬間、ザマスとブラックは反射的にそう言ったのだった。
「……我に何か言う事があるのではないか?」
「ゴワス様の落胆された姿を見た瞬間、気がついたら口が勝手に言葉を発したのだ」
「不可抗力だ」
「一言でいいから、我に馬鹿だのなんだの言ったことを謝れ」
そして、後日。
嬉しそうなゴワスと、ニヤニヤ顔でタブレットを構えて動画を撮っているベジットの前で、合体ザマス達は踊る羽目になったのだった。
■一卵双生児?(黒ザマ)
戦いの時は覇気の纏った面持ちをする孫悟空ではあるが、日常生活の中ではまるで別人のような間抜け顔を晒すことがある。
談話室のソファに座ったザマスは、隣に座ったゴクウブラックの頬をぐにぐにと手でこねくり回していた。
「ザ、ザマス?さっきからなんなんだ……?」
ブラックは、ザマスの好きなようにさせているものの、あまりに長時間、頬をぐにぐにしてくるので戸惑い気味に声を上げる。
真剣な表情をしたザマスは、
「なかなか同じにはならないな」
「いや、だから何がだ……?」
孫悟空と同じ間抜け顔をしたブラックが見たいザマスは、さらにブラックの頬をむにっと摘まんだのだった。
■いつもの(黒ザマ)
三日前にザマス相手に、またなんかやらかしたけども、すっかりその事を忘れてるゴクウブラックが「ザマス、その赤い実は何だ?」と、問いかけると、 まだ三日前の事を根に持っているザマスは、「これは孫悟空が持ってきた地球の植物の実だ。そのままで食べられるらしい」と言って唐辛子を差し出したのだった。
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