僕らの特別な日
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僕らの特別な日
④
「して欲しいこと、まだあるんだけど。いい?」
「あっ、うん!もちろん」
健気過ぎて困る
困るけど嬉しい
困るのに嬉しくて止められなくなる煩悩
「……膝枕、とか」
「膝枕……うん!いいよ」
言うや否や、ぱっと正座を差し出すツグミに
いそいそと横になってその膝に頭を乗せる
洋服の生地越しに感じる
抱き締める時とは違う柔らかな感触
ふわふわと落ち着かない何とも言えない感覚に
早くも酔いそうになる
「他には?まだ何かありますか」
「そうだね、頭でも撫でてもらおうかな」
「はい……ぅわあ!ヤマトの髪の毛わさわさだ」
そう言って
体勢の割に恥ずかしげもなく
僕の髪をわしゃわしゃと掻き回すツグミ
えっと あれ?何か違うぞ?
何だかこれじゃ犬コロかなんかだ
いやでも、これはこれで気持ちいい、かも……
「洗い立てだからかな?わさわさのふわふわで気持ちいいね、しかも何かいい匂いする……あ!シャンプー、…の匂い、か……」
えらい上機嫌で頭を撫で繰り回し
僕も僕で変に気分が良くなり始めて
一体これは何だったっけなんて、
ぼーっとし始めた辺りで、
はたとツグミの手が止まる。
え?まさか、今更照れてる?
「……まあ、風呂上がりだからね。ツグミだってそうでしょ?」
「……まあね、任務終わった後だし?そりゃあ私だってシャワーくらい浴びてから来ますよ」
そんなの玄関で迎えた時から解ってた
もちろんツグミだって解ってたはずだ。
お互いが纏ってる風呂上がり特有の香り
それぞれから漂う異なる石鹸の香り
見逃せるのなら見逃したかったけど
口にしてしまったのはツグミだ。
しばらくの間があって、頭を軽くポンとされる。
「それより次は?……まだ何かある?」
今のはちょっと狡い
僕の前だと割と抜けてる癖に狡い
そんな所も嫌いじゃないけど
雰囲気を仕切り直された気がするのは悔しい
「キス」
「っえ!?」
「……そんなに驚かなくても。……嫌なの?」
「そっそうじゃないけど、急にハードルが」
「とか言って本当は面倒臭くなって来たんじゃ「そうじゃないよ!」
初めてでもないのに動揺するツグミが可愛くて
思わず意地悪をした。
「ただちょっと恥ずかしくなっただけ」
それにもめげず
そうじゃないと真上から力むツグミがまた可愛くて
可愛くて堪らなく苦しい
こんな邪な僕を
ツグミは真っ直ぐに受け止めて
ゆらゆら瞳を揺らしながら見下ろして来る。
「それなら僕からしてもいい?」
待ち切れなくて頬に手を伸ばしたら
「ダメ、今日は私からするの」
伸ばした手をすり抜けるみたいにして
目を伏せたツグミが降りて来た。
何なんだ?
この夢みたいな現実は
「……もう、満足した?」
ぼんやり余韻に浸ってたら
今度はやんわりと髪を撫でながら尋ねられる
ケーキなんかより甘い
もう充分過ぎるくらいじゃないか
それなのに
まだこんなこと思うなんて間違ってるのかもしれない
だけどまだ
欲しいものがあるんだ
「……帰したくない」
ツグミの身体が微かに揺れる
「今日は帰らないで欲しい……とか、そういう我儘も聞いて貰えるのかな」
頭に乗せられたままの手に触れるとピクリと震えて
「え、と、そっそれは」と焦る声
違うんだ
そうじゃなくて
ツグミを追い込むつもりだったんじゃなくて
「ごめん、違うんだ。……誕生日とか関係なくて」
これじゃいけないと慌てて身体を起こして
だけど、諦め切れない僕の手は
俯いたツグミの手を離せずに繋ぎ止めたままで
「あ……いや、全く関係なくもないんだけど」
我儘かもしれないけど
我儘で済まされたくない
ただ、今日がそうだったらいいって
今日がもっと特別な日になったらいいって
今日初めて
誕生日を突然こんな風に思うなんて
神様ってのが居るのなら罰が当たるかもしれないけど
今までツグミをうちに呼ばなかったのは
うちに何にもないってのも本当だけど
帰したくないって欲求を
止められなくなる気がしたからなんだ
だけど今日は
それでも今日は
「やっぱり帰したくない」
告げた瞬間
繋ぎ止めてた手が強く握られてこちらへ押される。
訳も解らずツグミの顔を見ようとしたら
「誕生日に悩み過ぎだよ」
って小さな声と共にツグミが胸に飛び込んで来た。
「もう、帰らないからね」
僕の精一杯に
真正面から精一杯応えてくれたツグミを
力いっぱい抱きしめる。
うん、もう帰さないよ
今日ここにツグミが居てくれて良かった。
ツグミを好きになって良かった。
誕生日って、
こんなにいいものだったんだな……
「明日の朝は僕がコーヒーいれるよ。……インスタントで悪いけどね」
と僕が言えば
「明日も特別な日になりそうだね」
って、腕の中で笑ってくれるツグミ。
これは
悩み過ぎてハゲるよ、だとか言われる前に
しっかり僕のものにしておかないとな……
なんて結構本気で思ったのは
僕だけの誕生日の秘密って事で。
お終い☆
④
「して欲しいこと、まだあるんだけど。いい?」
「あっ、うん!もちろん」
健気過ぎて困る
困るけど嬉しい
困るのに嬉しくて止められなくなる煩悩
「……膝枕、とか」
「膝枕……うん!いいよ」
言うや否や、ぱっと正座を差し出すツグミに
いそいそと横になってその膝に頭を乗せる
洋服の生地越しに感じる
抱き締める時とは違う柔らかな感触
ふわふわと落ち着かない何とも言えない感覚に
早くも酔いそうになる
「他には?まだ何かありますか」
「そうだね、頭でも撫でてもらおうかな」
「はい……ぅわあ!ヤマトの髪の毛わさわさだ」
そう言って
体勢の割に恥ずかしげもなく
僕の髪をわしゃわしゃと掻き回すツグミ
えっと あれ?何か違うぞ?
何だかこれじゃ犬コロかなんかだ
いやでも、これはこれで気持ちいい、かも……
「洗い立てだからかな?わさわさのふわふわで気持ちいいね、しかも何かいい匂いする……あ!シャンプー、…の匂い、か……」
えらい上機嫌で頭を撫で繰り回し
僕も僕で変に気分が良くなり始めて
一体これは何だったっけなんて、
ぼーっとし始めた辺りで、
はたとツグミの手が止まる。
え?まさか、今更照れてる?
「……まあ、風呂上がりだからね。ツグミだってそうでしょ?」
「……まあね、任務終わった後だし?そりゃあ私だってシャワーくらい浴びてから来ますよ」
そんなの玄関で迎えた時から解ってた
もちろんツグミだって解ってたはずだ。
お互いが纏ってる風呂上がり特有の香り
それぞれから漂う異なる石鹸の香り
見逃せるのなら見逃したかったけど
口にしてしまったのはツグミだ。
しばらくの間があって、頭を軽くポンとされる。
「それより次は?……まだ何かある?」
今のはちょっと狡い
僕の前だと割と抜けてる癖に狡い
そんな所も嫌いじゃないけど
雰囲気を仕切り直された気がするのは悔しい
「キス」
「っえ!?」
「……そんなに驚かなくても。……嫌なの?」
「そっそうじゃないけど、急にハードルが」
「とか言って本当は面倒臭くなって来たんじゃ「そうじゃないよ!」
初めてでもないのに動揺するツグミが可愛くて
思わず意地悪をした。
「ただちょっと恥ずかしくなっただけ」
それにもめげず
そうじゃないと真上から力むツグミがまた可愛くて
可愛くて堪らなく苦しい
こんな邪な僕を
ツグミは真っ直ぐに受け止めて
ゆらゆら瞳を揺らしながら見下ろして来る。
「それなら僕からしてもいい?」
待ち切れなくて頬に手を伸ばしたら
「ダメ、今日は私からするの」
伸ばした手をすり抜けるみたいにして
目を伏せたツグミが降りて来た。
何なんだ?
この夢みたいな現実は
「……もう、満足した?」
ぼんやり余韻に浸ってたら
今度はやんわりと髪を撫でながら尋ねられる
ケーキなんかより甘い
もう充分過ぎるくらいじゃないか
それなのに
まだこんなこと思うなんて間違ってるのかもしれない
だけどまだ
欲しいものがあるんだ
「……帰したくない」
ツグミの身体が微かに揺れる
「今日は帰らないで欲しい……とか、そういう我儘も聞いて貰えるのかな」
頭に乗せられたままの手に触れるとピクリと震えて
「え、と、そっそれは」と焦る声
違うんだ
そうじゃなくて
ツグミを追い込むつもりだったんじゃなくて
「ごめん、違うんだ。……誕生日とか関係なくて」
これじゃいけないと慌てて身体を起こして
だけど、諦め切れない僕の手は
俯いたツグミの手を離せずに繋ぎ止めたままで
「あ……いや、全く関係なくもないんだけど」
我儘かもしれないけど
我儘で済まされたくない
ただ、今日がそうだったらいいって
今日がもっと特別な日になったらいいって
今日初めて
誕生日を突然こんな風に思うなんて
神様ってのが居るのなら罰が当たるかもしれないけど
今までツグミをうちに呼ばなかったのは
うちに何にもないってのも本当だけど
帰したくないって欲求を
止められなくなる気がしたからなんだ
だけど今日は
それでも今日は
「やっぱり帰したくない」
告げた瞬間
繋ぎ止めてた手が強く握られてこちらへ押される。
訳も解らずツグミの顔を見ようとしたら
「誕生日に悩み過ぎだよ」
って小さな声と共にツグミが胸に飛び込んで来た。
「もう、帰らないからね」
僕の精一杯に
真正面から精一杯応えてくれたツグミを
力いっぱい抱きしめる。
うん、もう帰さないよ
今日ここにツグミが居てくれて良かった。
ツグミを好きになって良かった。
誕生日って、
こんなにいいものだったんだな……
「明日の朝は僕がコーヒーいれるよ。……インスタントで悪いけどね」
と僕が言えば
「明日も特別な日になりそうだね」
って、腕の中で笑ってくれるツグミ。
これは
悩み過ぎてハゲるよ、だとか言われる前に
しっかり僕のものにしておかないとな……
なんて結構本気で思ったのは
僕だけの誕生日の秘密って事で。
お終い☆
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