僕らの特別な日
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僕らの特別な日
③
カップに添えられたツグミの指に手を伸ばす。
「ありがとう、今日は」
「あ、改めて言われると照れるね……えっと、どういたしまして……」
「こういうの初めてだけど、すごく嬉しかったからさ。弁当も美味かったし、このマグカップも大事にするよ」
「……うん」
控えめに握り返してくる指
へらっと笑うツグミにつられて
僕までクラクラする。
「今度はさ、弁当持ってどこか行こう」
「うん、秋になったら紅葉狩りとかいいかも」
「紅葉狩りかぁ、いいね。僕は本気で山登りでもいいけどね」
「本気でって何か任務みたいにならない?」
「ああ、確かにそうかな?」
「ま、ヤマトが行きたいならどこでもいいけどね」
ニコッと無邪気に返されて擽ったいけど
単純にこういう時間もいいよなって思える。
と、ツグミがパッと手を離した。
「あ!そう言えばヤマトのお願い聞いてなかったよ」
「お願い?」
「誕生日のプレゼント代わり。ご飯とはまた別で私にして欲しいこと、まだ聞いてないよね?」
「あー……」
「ヤマトがしたいことでもいいよ?普段はヤマト、我儘なんて言ったりしないし誕生日くらいは我儘言ってもいいよー…なんて思ったりして」
「んー……」
「何かある?」
「そうだなぁ」
「今思い付かないなら後でもいいけどね!誕生日が終わるまでに言ってくれたら……聞いてあげるよ?」
え、最後の少し目を逸らす仕草は何なんだ。
自分で言い出したくせに
急に恥ずかしがるなんて、そんなのアリか。
「……それならさ」
「うん?」
「名前、くん付けで呼んでみてよ」
「へっ?」
「思い出したんだよね、……初めて組んだ時〝ヤマトくん〟ってツグミに呼ばれたこと」
「ええ?でもあの時は確かヤマトが止めてって言ったんだよ?嫌だったんじゃないの?結構慌ててたよね」
「ああ……あれは嫌だったんじゃないよ」
「え?そうなの?」
「単に恥ずかしかっただけで……慣れてないから変に焦っちゃってさ」
でも、それからだった
僕がツグミを意識し始めたのは。
どう見ても〝くん〟て見た目じゃないだろうに
平気な顔で言うんだもんな
正直あれは参った
って、今思えば相当チョロいよな僕も
「ふぅん……じゃあ、……ヤマトくん?」
「うん……もう一回」
「ヤマトくん……ヤマトくーん、……ヤマトくん」
徐ろに目を閉じて味わえば
うん、やっぱり悪くない
「うーん、懐かしいな……じゃ、次はさん付けで」
「………ヤマトさん?」
「んー……さん、はないかな」
「そうなの?」
「うん。次はそうだなぁ、……先輩、とか」
「はーい、……えーと、ヤマト先輩?」
ヤバい予感は薄々してたけど
「ヤマト先輩、……ヤマト先ぱーい」
これは想像以上
「……ヤマト先輩、ねぇ」
「うん、……うん」
「ねぇ……何、そんなに良かった?」
「え!いや……うん、そうだね、割と良かったかな」
「ふぅーん?……何かニヤニヤしてる」
「……いいでしょ別に」
「あはは、何かかわいい……たまにはこういうのもいいかも……ね?ヤマト隊長」
「って、待った。それはナシ!」
「えー?隊長だよ?何で?愛着あるでしょ?」
「いやいやいやいや、そーーーいうんじゃないからね?今は一番ナシのやつだよ、それ」
「……??」
「そんな呼び方されたら任務中みたいで現実感モロに出ちゃうでしょ、……せっかくいい気分だったのに」
これくらいはいいか
と正直に不貞腐れてみれば
「そっか……ごめんね?」
すぐに謝って来るツグミの態度にぐっと来る。
いくら誕生日だからっていいのかこれ
甘やかし過ぎじゃないか?
世の中じゃこの程度当たり前なのか?
僕もさすがに舞い上がって来て
いい加減本当にチョロいと思うけど
今、
ツグミを独り占めしてるこの空間は
他の誰に邪魔されることもないんだよな
④に続く☆
③
カップに添えられたツグミの指に手を伸ばす。
「ありがとう、今日は」
「あ、改めて言われると照れるね……えっと、どういたしまして……」
「こういうの初めてだけど、すごく嬉しかったからさ。弁当も美味かったし、このマグカップも大事にするよ」
「……うん」
控えめに握り返してくる指
へらっと笑うツグミにつられて
僕までクラクラする。
「今度はさ、弁当持ってどこか行こう」
「うん、秋になったら紅葉狩りとかいいかも」
「紅葉狩りかぁ、いいね。僕は本気で山登りでもいいけどね」
「本気でって何か任務みたいにならない?」
「ああ、確かにそうかな?」
「ま、ヤマトが行きたいならどこでもいいけどね」
ニコッと無邪気に返されて擽ったいけど
単純にこういう時間もいいよなって思える。
と、ツグミがパッと手を離した。
「あ!そう言えばヤマトのお願い聞いてなかったよ」
「お願い?」
「誕生日のプレゼント代わり。ご飯とはまた別で私にして欲しいこと、まだ聞いてないよね?」
「あー……」
「ヤマトがしたいことでもいいよ?普段はヤマト、我儘なんて言ったりしないし誕生日くらいは我儘言ってもいいよー…なんて思ったりして」
「んー……」
「何かある?」
「そうだなぁ」
「今思い付かないなら後でもいいけどね!誕生日が終わるまでに言ってくれたら……聞いてあげるよ?」
え、最後の少し目を逸らす仕草は何なんだ。
自分で言い出したくせに
急に恥ずかしがるなんて、そんなのアリか。
「……それならさ」
「うん?」
「名前、くん付けで呼んでみてよ」
「へっ?」
「思い出したんだよね、……初めて組んだ時〝ヤマトくん〟ってツグミに呼ばれたこと」
「ええ?でもあの時は確かヤマトが止めてって言ったんだよ?嫌だったんじゃないの?結構慌ててたよね」
「ああ……あれは嫌だったんじゃないよ」
「え?そうなの?」
「単に恥ずかしかっただけで……慣れてないから変に焦っちゃってさ」
でも、それからだった
僕がツグミを意識し始めたのは。
どう見ても〝くん〟て見た目じゃないだろうに
平気な顔で言うんだもんな
正直あれは参った
って、今思えば相当チョロいよな僕も
「ふぅん……じゃあ、……ヤマトくん?」
「うん……もう一回」
「ヤマトくん……ヤマトくーん、……ヤマトくん」
徐ろに目を閉じて味わえば
うん、やっぱり悪くない
「うーん、懐かしいな……じゃ、次はさん付けで」
「………ヤマトさん?」
「んー……さん、はないかな」
「そうなの?」
「うん。次はそうだなぁ、……先輩、とか」
「はーい、……えーと、ヤマト先輩?」
ヤバい予感は薄々してたけど
「ヤマト先輩、……ヤマト先ぱーい」
これは想像以上
「……ヤマト先輩、ねぇ」
「うん、……うん」
「ねぇ……何、そんなに良かった?」
「え!いや……うん、そうだね、割と良かったかな」
「ふぅーん?……何かニヤニヤしてる」
「……いいでしょ別に」
「あはは、何かかわいい……たまにはこういうのもいいかも……ね?ヤマト隊長」
「って、待った。それはナシ!」
「えー?隊長だよ?何で?愛着あるでしょ?」
「いやいやいやいや、そーーーいうんじゃないからね?今は一番ナシのやつだよ、それ」
「……??」
「そんな呼び方されたら任務中みたいで現実感モロに出ちゃうでしょ、……せっかくいい気分だったのに」
これくらいはいいか
と正直に不貞腐れてみれば
「そっか……ごめんね?」
すぐに謝って来るツグミの態度にぐっと来る。
いくら誕生日だからっていいのかこれ
甘やかし過ぎじゃないか?
世の中じゃこの程度当たり前なのか?
僕もさすがに舞い上がって来て
いい加減本当にチョロいと思うけど
今、
ツグミを独り占めしてるこの空間は
他の誰に邪魔されることもないんだよな
④に続く☆