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『それは知ってる』
◇◇◇
冷蔵庫に買って来たものをしまうと
ヤマトのいるリビングに向き直る
リビングには
私の部屋で過ごすのに少し慣れて来たヤマトがいて
もちろん私もその光景に慣れて来てて
ヤマトが買って来た雑誌を開いたのを確認すると
そろりそろりと近付いて
だけど、それほど近くもないところに座って
声をかけた
「ねぇヤマト」
「……何?」
呼べば
読み始めたばっかりのお気に入りの建築雑誌から
ちゃんと顔を上げてくれる
「急なんだけどね、明日の夜 皆とご飯食べに行くことになった」
「あ、そうなんだ。久しぶりなんじゃない?良かったね」
「うん、……でね、その集まりなんだけどね、Aに付いて来てって頼まれてね、断れなくってね……」
「……うん?」
「実はね、合コン、なんだよね!?」
「えっ」
一瞬ヤマトの目が見開いた
そりゃあ、びっくりするよね
「Aがね、気になってる人が来るんだって」
「……へぇ、そうなんだ。それじゃあ応援してあげないとね」
「うん、そうなの。まあ、私じゃあんま役に立たないかもだけど」
「そんなことないよ、頼りにされてるってことでしょ?……ふ、珍しく弱気だな」
びっくりしたように見えたのは一瞬で
理由を言ったら
笑って許してくれるヤマトにズキンとした
ほら、ヤマトはやっぱり余裕だ
「終わるのは何時頃?」
「……わかんない。すぐ終わるかもだし、盛り上がれば長くなるかも」
「そっか……時間解れば迎えに行こうと思ったんだけど。解らないか……ま、そうだよね」
「……迎え?」
「うん、心配だし一応ね」
心配してくれる
過保護でちょっと保護者みたいなそれ
付き合う前から大事にしてくれてた
好きだって告白してくれたのもヤマト
それなのに、
もっと焦らせてみたい
もっと困らせてみたい
もっともっと女の子として見て欲しい
こんな気持ち、しょうもないってわかってるけど
日に日に好きになってく私と違って
いつも余裕そうなヤマトを見てたら
そんな気持ちがどんどん出てきて止まらない
「もし言い寄られちゃったらどうしよっかなー、私これでも結構モテるからね?」
もう雑誌に目が向いてしまったヤマトに言えば
「……そうだね、あるかもね。ツグミはモテるから」
目は雑誌に向いたままだったけど、
かろうじて返事は返って来る
ヤマトは私が心変わりするかもとか
不安になったりしないのかな?
めったに怒んないし弱音とか想像もつかない
もはやハガネのメンタル?
私、飛んでもない人を彼氏にしちゃった?
もう、こんなことしても意味ないのかもしれない
「うーん、やっぱり迎えに行ったりしたら時間気になって楽しめないよね」
迎えだなんて、優しいじゃん
ヤマトは私に勿体ない優しい彼氏
正直に言ったらさすがに呆れるよね
もう迎えにだって来てくれなくなるかもしれない
「ねぇ、」
「ん?」
「もしもの時は何て言って断ればいい?上手く、断れるかな私」
知らなかった
私にもこんなに低い声出るんだ
「……どうした?急に…… ツグミなら大丈夫でしょ?僕は邪魔したくないから迎えも止めとくよ。だからさ、下らない心配してないで明日は目一杯楽しんでおいでよ」
少しだけ間があった
でも、相変わらずな大人対応
その上、なんでだか励まされてるし
大丈夫だよなんて言われたいんじゃない
どうしてこんな時に背中押して来たりするの?
ダメだ、大人ヤマトには全然かなわない
一人でイライラしたりガッカリしたりバカみたい
なにより全然かわいくない
でもね、たまには
いつもと違うヤマトが見たかった
いつまでもこんなんじゃ
愛想つかされちゃうかもしれないのに
「くだらないの?……私、合コンに行きたいって言ったのに」
「……え、」
「私、行ってもいいんだね」
「……うん、まあ」
「けど、彼女に笑って合コン行って来いなんて言う彼氏、聞いたことない」
「……そうかもね」
そうかもね、って言ったのはアナタですけど?
アナタは彼氏じゃないんですか?
「でも、ツグミは行きたいんでしょ?迷ってるんじゃなく、報告なんだよね」
「……そうだけど」
「友達の為なんだから胸張って行けばいいんじゃない?……別に」
別に
そう言われたら
もしかしたらなんて思えて来る
「僕が引き止めたって、どうせツグミは行くでしょ」
どうせ
雑誌のページを捲るヤマトは
顔を上げてもくれないけど
今のはちょっと、
勘違いしても許して欲しい……
「い、行かない……私、」
「……え?」
「ヤマトが嫌なら行かない!」
ゆっくりと頭を持ち上げたヤマトはポカンとしてる
「……は?どういうこと?」
「あ、あのね!違うの、実は……合コンなんてないの、最初から誘われてもない、全部……ウソ」
「ウソ?」
まだまだポカンとしたままのヤマトに向かって
今度は必死で頭をこくこく縦に振る
「あ、……そうなの?なんだ……そっか嘘か」
そう言って脱力したみたいに身体を揺らすと
ヤマトは一時停止してからチラリと私を見た
「……けど、何でまた嘘なんか」
「……」
何も言えなくて俯いた私から一旦目を逸らすと
ヤマトはもう一度私を見てから
言いにくそうにポツリと言った
「……もしかして僕に行くなって言って欲しかった、とか?」
バレたーそりゃバレるよねー
あまりにあっさりバレてもう顔を上げられない
正座で拳をぎゅっと握り締める
どうしよう
理由がバレた時のことまで考えてなかった
「……マジか」
マジか
マジか?
ヤマトがマジかって言った
「はああ……今更そういう事するかね」
そうだよね?そうだよね
呆れるよね、ごめん、ごめん、
ごめんなさい、私
「これでも充分重いって自覚はあるんだけど……君って人は一体いつまで僕を試すつもりなのかね」
すっかり顔を覆って縮こまる
だけど、戒める声があんまりにも優しくて
感じる視線がとびきり甘い気がして
指をゆっくり解いて隙間から覗いた
「全く……煽るのも大概にしなさいよ」
おでこに手を当てて困り顔で
めちゃくちゃ照れ臭そうに目を逸らすヤマト
あんなに困らせたかったのに
いざ困った顔を見せられたら
私の方が参るんだなんてこと
やっとわかった
「……」
「……」
何て言っていいかわかんない
わかんないけど嬉しくて
すごく近くに行きたくなって
ちょこちょこと四つん這いでヤマトに近付いた
「……ヤマト」
「……ん?」
「あの、……ぎゅってして欲しい」
口にするのはめちゃくちゃ恥ずかしい
だけど今は自分で伝えなきゃと思った
ヤマトは目を丸くしたけど
雑誌を閉じて脇へ避けると
四つん這いだか土下座だかわからない
マヌケな格好で甘える私の腕を引いて
軽々と引き寄せた
思ったより力いっぱい抱き締められて
安心して頭を預ける
「……珍しいね、いつもは何も言わずに引っ付いて来るのに」
今はどうしてもヤマトにして欲しかったから
頭でわかってても
たまにはこうやってしっかり捕まえて欲しいんだ
「本、いいの?」
「そんなのいいよ、端から殆ど頭に入ってなかったし」
「そうなの!?」
「君が合コンだ何だって言い出すからでしょ」
「あー…そっか」
肩を竦めたら、肩の上でクツクツと笑われて
身体も心も擽ったくなった
「……ツグミ」
名前を呼ばれて
キスをして
またキスをして
耳とか顔とか首とか背中とか
触ってくれるヤマトの手が気持ちいい
好きな人に触られるのって
こんなに気持ちよかったっけ
捕られた手に指を絡められて、ぎゅってされたら
もう離さないって言われた気がする
そばに居てって言われた時と同じくらい
満たされる
「さっき……僕が嫌がってるの、バレてた?」
「ううん、わかんなかった全然」
「あ……でも、それじゃ意味なかったんだよね?」
「もういいよ、そんなの」
「いや、……全然良くないでしょ」
そう言うと、
息をすうっと吸い込む気配がして
「さっきは友達の為だからと思って百歩譲ったけど、僕は本当は嫌だから」
そうはっきり言ってくれた
「……僕がいるのに合コン行くとか意味不明だし、誘ってくる友達って阿呆なのかと思ったし、言い寄られちゃったら〜とか何とかそんなのもう危なっかしくてほんっと冗談でも無理だから」
「……うん、」
「だからさ、ほんとにもう勘弁してください……」
最後、ほんの少し弱々しくなって
覗き込むようにしてくるヤマトのおでこに
私のおでこがぶつかった
愛しくてたまらないってこういうのだ
ごめん、ってヤマトの背中に両腕回してしがみつく
いい歳して頭を撫でられて
何にもしてないくせに
褒められた気分になる不思議
「ヤマトってさ、私の好きなタイプ知ってるの?」
「あー、落ち着いてて包容力のある優しい人、じゃないの?」
「即答?てか、そんなこと言ったことないし!……ふぅーん、……もしかしてヤマト、……自分そのものだなとか思ってる?」
「いや、まさか」
え?そうなの?
てっきり、だから自信満々で余裕なのかと……
「でも、そうなろうとは努力してる」
優しい笑顔でそう付け足されて、完敗した
私も努力しよう
言葉にするのは苦手だから
せめて、行動から変わらなきゃ
「……て言うかさ、君もいい加減に自覚してよね」
「なにを?」
「僕がツグミにベタ惚れだってこと」
びっくりするような激甘な台詞に
空耳かと思って見上げたら
湯気が出そうなくらいヤマトが顔を赤くしてて
私までつられて真っ赤になる
悔しくなって
「私だってそうだよ」って言ってみたら
「それは知ってる」って、
満面の笑みで返されてしまうのだった。
☆
◇◇◇
冷蔵庫に買って来たものをしまうと
ヤマトのいるリビングに向き直る
リビングには
私の部屋で過ごすのに少し慣れて来たヤマトがいて
もちろん私もその光景に慣れて来てて
ヤマトが買って来た雑誌を開いたのを確認すると
そろりそろりと近付いて
だけど、それほど近くもないところに座って
声をかけた
「ねぇヤマト」
「……何?」
呼べば
読み始めたばっかりのお気に入りの建築雑誌から
ちゃんと顔を上げてくれる
「急なんだけどね、明日の夜 皆とご飯食べに行くことになった」
「あ、そうなんだ。久しぶりなんじゃない?良かったね」
「うん、……でね、その集まりなんだけどね、Aに付いて来てって頼まれてね、断れなくってね……」
「……うん?」
「実はね、合コン、なんだよね!?」
「えっ」
一瞬ヤマトの目が見開いた
そりゃあ、びっくりするよね
「Aがね、気になってる人が来るんだって」
「……へぇ、そうなんだ。それじゃあ応援してあげないとね」
「うん、そうなの。まあ、私じゃあんま役に立たないかもだけど」
「そんなことないよ、頼りにされてるってことでしょ?……ふ、珍しく弱気だな」
びっくりしたように見えたのは一瞬で
理由を言ったら
笑って許してくれるヤマトにズキンとした
ほら、ヤマトはやっぱり余裕だ
「終わるのは何時頃?」
「……わかんない。すぐ終わるかもだし、盛り上がれば長くなるかも」
「そっか……時間解れば迎えに行こうと思ったんだけど。解らないか……ま、そうだよね」
「……迎え?」
「うん、心配だし一応ね」
心配してくれる
過保護でちょっと保護者みたいなそれ
付き合う前から大事にしてくれてた
好きだって告白してくれたのもヤマト
それなのに、
もっと焦らせてみたい
もっと困らせてみたい
もっともっと女の子として見て欲しい
こんな気持ち、しょうもないってわかってるけど
日に日に好きになってく私と違って
いつも余裕そうなヤマトを見てたら
そんな気持ちがどんどん出てきて止まらない
「もし言い寄られちゃったらどうしよっかなー、私これでも結構モテるからね?」
もう雑誌に目が向いてしまったヤマトに言えば
「……そうだね、あるかもね。ツグミはモテるから」
目は雑誌に向いたままだったけど、
かろうじて返事は返って来る
ヤマトは私が心変わりするかもとか
不安になったりしないのかな?
めったに怒んないし弱音とか想像もつかない
もはやハガネのメンタル?
私、飛んでもない人を彼氏にしちゃった?
もう、こんなことしても意味ないのかもしれない
「うーん、やっぱり迎えに行ったりしたら時間気になって楽しめないよね」
迎えだなんて、優しいじゃん
ヤマトは私に勿体ない優しい彼氏
正直に言ったらさすがに呆れるよね
もう迎えにだって来てくれなくなるかもしれない
「ねぇ、」
「ん?」
「もしもの時は何て言って断ればいい?上手く、断れるかな私」
知らなかった
私にもこんなに低い声出るんだ
「……どうした?急に…… ツグミなら大丈夫でしょ?僕は邪魔したくないから迎えも止めとくよ。だからさ、下らない心配してないで明日は目一杯楽しんでおいでよ」
少しだけ間があった
でも、相変わらずな大人対応
その上、なんでだか励まされてるし
大丈夫だよなんて言われたいんじゃない
どうしてこんな時に背中押して来たりするの?
ダメだ、大人ヤマトには全然かなわない
一人でイライラしたりガッカリしたりバカみたい
なにより全然かわいくない
でもね、たまには
いつもと違うヤマトが見たかった
いつまでもこんなんじゃ
愛想つかされちゃうかもしれないのに
「くだらないの?……私、合コンに行きたいって言ったのに」
「……え、」
「私、行ってもいいんだね」
「……うん、まあ」
「けど、彼女に笑って合コン行って来いなんて言う彼氏、聞いたことない」
「……そうかもね」
そうかもね、って言ったのはアナタですけど?
アナタは彼氏じゃないんですか?
「でも、ツグミは行きたいんでしょ?迷ってるんじゃなく、報告なんだよね」
「……そうだけど」
「友達の為なんだから胸張って行けばいいんじゃない?……別に」
別に
そう言われたら
もしかしたらなんて思えて来る
「僕が引き止めたって、どうせツグミは行くでしょ」
どうせ
雑誌のページを捲るヤマトは
顔を上げてもくれないけど
今のはちょっと、
勘違いしても許して欲しい……
「い、行かない……私、」
「……え?」
「ヤマトが嫌なら行かない!」
ゆっくりと頭を持ち上げたヤマトはポカンとしてる
「……は?どういうこと?」
「あ、あのね!違うの、実は……合コンなんてないの、最初から誘われてもない、全部……ウソ」
「ウソ?」
まだまだポカンとしたままのヤマトに向かって
今度は必死で頭をこくこく縦に振る
「あ、……そうなの?なんだ……そっか嘘か」
そう言って脱力したみたいに身体を揺らすと
ヤマトは一時停止してからチラリと私を見た
「……けど、何でまた嘘なんか」
「……」
何も言えなくて俯いた私から一旦目を逸らすと
ヤマトはもう一度私を見てから
言いにくそうにポツリと言った
「……もしかして僕に行くなって言って欲しかった、とか?」
バレたーそりゃバレるよねー
あまりにあっさりバレてもう顔を上げられない
正座で拳をぎゅっと握り締める
どうしよう
理由がバレた時のことまで考えてなかった
「……マジか」
マジか
マジか?
ヤマトがマジかって言った
「はああ……今更そういう事するかね」
そうだよね?そうだよね
呆れるよね、ごめん、ごめん、
ごめんなさい、私
「これでも充分重いって自覚はあるんだけど……君って人は一体いつまで僕を試すつもりなのかね」
すっかり顔を覆って縮こまる
だけど、戒める声があんまりにも優しくて
感じる視線がとびきり甘い気がして
指をゆっくり解いて隙間から覗いた
「全く……煽るのも大概にしなさいよ」
おでこに手を当てて困り顔で
めちゃくちゃ照れ臭そうに目を逸らすヤマト
あんなに困らせたかったのに
いざ困った顔を見せられたら
私の方が参るんだなんてこと
やっとわかった
「……」
「……」
何て言っていいかわかんない
わかんないけど嬉しくて
すごく近くに行きたくなって
ちょこちょこと四つん這いでヤマトに近付いた
「……ヤマト」
「……ん?」
「あの、……ぎゅってして欲しい」
口にするのはめちゃくちゃ恥ずかしい
だけど今は自分で伝えなきゃと思った
ヤマトは目を丸くしたけど
雑誌を閉じて脇へ避けると
四つん這いだか土下座だかわからない
マヌケな格好で甘える私の腕を引いて
軽々と引き寄せた
思ったより力いっぱい抱き締められて
安心して頭を預ける
「……珍しいね、いつもは何も言わずに引っ付いて来るのに」
今はどうしてもヤマトにして欲しかったから
頭でわかってても
たまにはこうやってしっかり捕まえて欲しいんだ
「本、いいの?」
「そんなのいいよ、端から殆ど頭に入ってなかったし」
「そうなの!?」
「君が合コンだ何だって言い出すからでしょ」
「あー…そっか」
肩を竦めたら、肩の上でクツクツと笑われて
身体も心も擽ったくなった
「……ツグミ」
名前を呼ばれて
キスをして
またキスをして
耳とか顔とか首とか背中とか
触ってくれるヤマトの手が気持ちいい
好きな人に触られるのって
こんなに気持ちよかったっけ
捕られた手に指を絡められて、ぎゅってされたら
もう離さないって言われた気がする
そばに居てって言われた時と同じくらい
満たされる
「さっき……僕が嫌がってるの、バレてた?」
「ううん、わかんなかった全然」
「あ……でも、それじゃ意味なかったんだよね?」
「もういいよ、そんなの」
「いや、……全然良くないでしょ」
そう言うと、
息をすうっと吸い込む気配がして
「さっきは友達の為だからと思って百歩譲ったけど、僕は本当は嫌だから」
そうはっきり言ってくれた
「……僕がいるのに合コン行くとか意味不明だし、誘ってくる友達って阿呆なのかと思ったし、言い寄られちゃったら〜とか何とかそんなのもう危なっかしくてほんっと冗談でも無理だから」
「……うん、」
「だからさ、ほんとにもう勘弁してください……」
最後、ほんの少し弱々しくなって
覗き込むようにしてくるヤマトのおでこに
私のおでこがぶつかった
愛しくてたまらないってこういうのだ
ごめん、ってヤマトの背中に両腕回してしがみつく
いい歳して頭を撫でられて
何にもしてないくせに
褒められた気分になる不思議
「ヤマトってさ、私の好きなタイプ知ってるの?」
「あー、落ち着いてて包容力のある優しい人、じゃないの?」
「即答?てか、そんなこと言ったことないし!……ふぅーん、……もしかしてヤマト、……自分そのものだなとか思ってる?」
「いや、まさか」
え?そうなの?
てっきり、だから自信満々で余裕なのかと……
「でも、そうなろうとは努力してる」
優しい笑顔でそう付け足されて、完敗した
私も努力しよう
言葉にするのは苦手だから
せめて、行動から変わらなきゃ
「……て言うかさ、君もいい加減に自覚してよね」
「なにを?」
「僕がツグミにベタ惚れだってこと」
びっくりするような激甘な台詞に
空耳かと思って見上げたら
湯気が出そうなくらいヤマトが顔を赤くしてて
私までつられて真っ赤になる
悔しくなって
「私だってそうだよ」って言ってみたら
「それは知ってる」って、
満面の笑みで返されてしまうのだった。
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