『君は戦友、なのかもしれない』
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⒏
「!」
「っ……ツグミ」
ああ、うっかりしてた
任務だけは何とかこなして
わずかな気力で帰宅したんだ
だから、感知なんかできなくて
「あのっ、あの……ごめん、待ち伏せするみたいなことして」
「………ホント、どん引き」
「本当にごめん。すぐ帰るから、少しだけ話を聞いてくれるかな」
「まず、この間はごめん、言い過ぎた。……もう許してくれないかもしれないけど」
「言い訳はしないよ、悪いのは全部僕だから」
「あ!あと、最近ツグミの調子が悪いって聞いて、それで。何かできないかと思って……お節介、だって解ってるけど、……でも話くらいは聞ける……」
「うっ」
「え、」
「ううっ」
「え?」
「…うっ、うわあああああぁぁぁん」
「わ、わ、え!ど、どどどどーしたの!?」
久しぶりに会ったヤマトは
この間が嘘みたいにおろおろしてて
ホントに申し訳なさそーにへこへこしてて
あんなことくらいで
わざわざこんなとこまで来ることない
私なんか、どーでもいいんじゃなかったの?
なんで、会いに来たの?
なんで、そんなにやさしくするの?
なんで、私のこと引き寄せてんの……?
あんまりにも弱ってて
あったかいのとか、匂いとか、
ちょっぴり苦しいのも、
ぎゅんって一気に染み込んで
代わりに涙が止まんない
「……私のこと嫌いにならないで」
「な、ならないよ」
「……もう、置いてかないで」
「……うん」
恥ずかしい悔しいホッとする、なんだこれ?
わかんない
でも、来てくれた
置いてかないって、約束してくれた
「ヤマトが応援してくれないとダメなの」
「ヤマトが見ててくれないとがんばれないの」
こーゆーのが良くないんだって思ってんのに
ダメじゃん、これじゃ子どもじゃん
でもね、どーしたらいーのか
自分でもわかんないんだよ
「……それは、困ったね」
「ホントだよ、ヤマトのせいじゃん、どーしてくれんの?……これからずっと」
「それなら、僕のそばにずっと居ればいい」
えって声が、声にならなくて
代わりに掴んだ目の前のベスト
「それで、ずっと僕の目の届くとこに居て」
「……それ、本気?」
「……引いた?やっぱり」
「ううん、引かない。……引かない、ぜんぜん」
「……それは、良かった」
〝居て〟って言葉に胸がギュッてなって
ベストにおデコを押し当てる
もしかして、ヤマトも少しは寂しかった?
私のおデコはヤマトにくっ付いてて
ヤマトの掌はずっと私の肩で止まったままで
私のからだは、ヤマトに支えられてる
ただ、そんな感じで
ホントはね、抱きしめられるのかと思ったの
だってさ、こういう時って普通そうじゃん
目の前で女の子が泣いたらさ
とりあえず的な感じで
深い意味なんかなくてもさ
されたとしても、ぜんぜん平気だったし
でも
ヤマトがそんなことするわけなくて
気が抜けてあんな子どもみたいになっちゃって
ヤマトには子どもが甘えてるみたいにしか
見えなかったと思うけどね
ホントはね、違うんだよ
あんな状態でもよくごまかせたなって思う
私なりに必死だったんだよ
だって、気付いちゃったんだよ
あーやっぱりヤマトだなって、
すごくすごくホッとしてるはずなのに
それよりもっと、がっかりしちゃってるとか
ホントは抱きしめて欲しかったとか
もー最悪じゃん
それなのにヤマトってば
泣き止ませなきゃって必死になって
あんなこと言ってくれるんだもん
もーやんなるよ
なんでこんな気持ちになんなきゃいけないの
なんでヤマトなの
なんでこんなに甘やかすの
なんでこんなに嬉しいの
なんて、
ぼんやりそんなこと考えてる間に
とっくに涙が引っ込んでで
ヤマトがどんな顔してるのかなって見上げたら
そっと身体が離されて視線がぶつかった
逸らされるかなって思ったヤマトの視線は
すとんと真っ直ぐ落ちて来て
その深刻な表情にドキッとした
真っ直ぐ過ぎる目に
見透かされちゃいそうで黙り込んでたら
涙を拭われて息が止まるかと思った……
「……少しは落ち着いた?」
「う、うん」
やれやれって呟いて
ヤマトが背筋を伸ばすと
さっきより顔がよく見える
「あのね?……私も、私もごめんね」
「もういいんだ、僕が悪かったんだから」
「……」
「……ん?」
「あのさ、この間の事はもーなにも言わないけど」
「うん」
「それはどーしたの?」
「!」
尋ねると即、ヤバい!みたいな顔をして
慌てて隠す口元の傷
そんなの見ればわかるし
任務で作るような傷とは違う
て、目が泳いでますけど
え、なんなの?ホントにヤバい話?
「ええと、何でもありません、これは」
「は?んなわけないじゃん、任務でじゃないよねソレ。誰にやられたの?てか、ヤマトがそんな簡単にやられるとかおかしくない?」
「や、あの、別に、お気に為さらずに……」
「もしかしてケンカしたとか?」
「……うー…ん、まあ」
「うわ、マジか」
「……」
「ケンカ、ヤマトが、ケンカ……」
「魔が差したって言うか、一時の気の迷いって言うかね、兎に角ほんとにアレだから!……もうこれ以上掘り下げないでくれるかな」
「…………」
「…………」
「なにを必死に隠してるのか知らないけどさ。たまにはケンカくらいいーんじゃない?自分のためなら」
「んー…」
「男の勲章的な?よく見ればなかなか男前じゃん。カッコ良さ2割増、みたいな」
「ツグミまでそういう事言う……」
「謎の傷って危険な男って感じでさ、色気あるよね」
「兎に角、もうこの件は終わりで」
「なんでよ、せっかく褒めてんのに」
「全く要らないから」
「……」
「……」
「うーーーん」
「今度は何?」
「やっぱ3割増かな」
「はぁ……頼むから話を聞いてくれよ、もう……」
私が笑ったら、ヤマトも笑った
さっきまでヤマトの手が乗ってた肩が熱くて
別れたあとも、まだ、ずっと熱くて
もったいない
そう言ってくれた時と同じはず
あの時頭に触れた手と同じはず
あ、そうか場所が違うからかな
ヤマトの手がものすごく熱かった気がした
そう言えば、マニキュアの時だって触ったじゃん
あの時は?あの時は、普通だった気がする
で、私だけテンパって顔が熱かったっけ
私、ホントにそばに居ていーのかな?
ヤマトみたいなマジメな人には
マジメな人が合うんだってわかってるのに
ヤマトみたいなやさしい人には
おだやかで大人しい人が合うんだって思うのに
もったいない
そんなの自分が一番わかってるのに
ホントにそばに居ていーのかなんて
そんなの怖くて
誰にも聞いたりできない
私だってさ、ズルいとこもあるから
やさしさにつけ込んで
とか、できないわけじゃないけど
でもねヤマトって、ほら
すぐほだされちゃいそうだし
そんなの、困らせるだけだから
だからきっと、このままじゃダメなんだ
もっと素直になりたい
もっとやさしくなりたい
もっといい人になりたい
いきなり女の顔したらさ
今度こそ、ホントに逃げちゃうかもしれない
口元の傷だって
ほんとはめちゃくちゃ気になるけど
しつこくして嫌がられたくなんてない
上手くやれるかなんてわかんないけど
今の自分は嫌いじゃないから
たぶん、けっこう好きだから
ヤマトにもいつか
ちゃんと、気付いてもらいたい
それくらいなら、願ったっていいよね?
「!」
「っ……ツグミ」
ああ、うっかりしてた
任務だけは何とかこなして
わずかな気力で帰宅したんだ
だから、感知なんかできなくて
「あのっ、あの……ごめん、待ち伏せするみたいなことして」
「………ホント、どん引き」
「本当にごめん。すぐ帰るから、少しだけ話を聞いてくれるかな」
「まず、この間はごめん、言い過ぎた。……もう許してくれないかもしれないけど」
「言い訳はしないよ、悪いのは全部僕だから」
「あ!あと、最近ツグミの調子が悪いって聞いて、それで。何かできないかと思って……お節介、だって解ってるけど、……でも話くらいは聞ける……」
「うっ」
「え、」
「ううっ」
「え?」
「…うっ、うわあああああぁぁぁん」
「わ、わ、え!ど、どどどどーしたの!?」
久しぶりに会ったヤマトは
この間が嘘みたいにおろおろしてて
ホントに申し訳なさそーにへこへこしてて
あんなことくらいで
わざわざこんなとこまで来ることない
私なんか、どーでもいいんじゃなかったの?
なんで、会いに来たの?
なんで、そんなにやさしくするの?
なんで、私のこと引き寄せてんの……?
あんまりにも弱ってて
あったかいのとか、匂いとか、
ちょっぴり苦しいのも、
ぎゅんって一気に染み込んで
代わりに涙が止まんない
「……私のこと嫌いにならないで」
「な、ならないよ」
「……もう、置いてかないで」
「……うん」
恥ずかしい悔しいホッとする、なんだこれ?
わかんない
でも、来てくれた
置いてかないって、約束してくれた
「ヤマトが応援してくれないとダメなの」
「ヤマトが見ててくれないとがんばれないの」
こーゆーのが良くないんだって思ってんのに
ダメじゃん、これじゃ子どもじゃん
でもね、どーしたらいーのか
自分でもわかんないんだよ
「……それは、困ったね」
「ホントだよ、ヤマトのせいじゃん、どーしてくれんの?……これからずっと」
「それなら、僕のそばにずっと居ればいい」
えって声が、声にならなくて
代わりに掴んだ目の前のベスト
「それで、ずっと僕の目の届くとこに居て」
「……それ、本気?」
「……引いた?やっぱり」
「ううん、引かない。……引かない、ぜんぜん」
「……それは、良かった」
〝居て〟って言葉に胸がギュッてなって
ベストにおデコを押し当てる
もしかして、ヤマトも少しは寂しかった?
私のおデコはヤマトにくっ付いてて
ヤマトの掌はずっと私の肩で止まったままで
私のからだは、ヤマトに支えられてる
ただ、そんな感じで
ホントはね、抱きしめられるのかと思ったの
だってさ、こういう時って普通そうじゃん
目の前で女の子が泣いたらさ
とりあえず的な感じで
深い意味なんかなくてもさ
されたとしても、ぜんぜん平気だったし
でも
ヤマトがそんなことするわけなくて
気が抜けてあんな子どもみたいになっちゃって
ヤマトには子どもが甘えてるみたいにしか
見えなかったと思うけどね
ホントはね、違うんだよ
あんな状態でもよくごまかせたなって思う
私なりに必死だったんだよ
だって、気付いちゃったんだよ
あーやっぱりヤマトだなって、
すごくすごくホッとしてるはずなのに
それよりもっと、がっかりしちゃってるとか
ホントは抱きしめて欲しかったとか
もー最悪じゃん
それなのにヤマトってば
泣き止ませなきゃって必死になって
あんなこと言ってくれるんだもん
もーやんなるよ
なんでこんな気持ちになんなきゃいけないの
なんでヤマトなの
なんでこんなに甘やかすの
なんでこんなに嬉しいの
なんて、
ぼんやりそんなこと考えてる間に
とっくに涙が引っ込んでで
ヤマトがどんな顔してるのかなって見上げたら
そっと身体が離されて視線がぶつかった
逸らされるかなって思ったヤマトの視線は
すとんと真っ直ぐ落ちて来て
その深刻な表情にドキッとした
真っ直ぐ過ぎる目に
見透かされちゃいそうで黙り込んでたら
涙を拭われて息が止まるかと思った……
「……少しは落ち着いた?」
「う、うん」
やれやれって呟いて
ヤマトが背筋を伸ばすと
さっきより顔がよく見える
「あのね?……私も、私もごめんね」
「もういいんだ、僕が悪かったんだから」
「……」
「……ん?」
「あのさ、この間の事はもーなにも言わないけど」
「うん」
「それはどーしたの?」
「!」
尋ねると即、ヤバい!みたいな顔をして
慌てて隠す口元の傷
そんなの見ればわかるし
任務で作るような傷とは違う
て、目が泳いでますけど
え、なんなの?ホントにヤバい話?
「ええと、何でもありません、これは」
「は?んなわけないじゃん、任務でじゃないよねソレ。誰にやられたの?てか、ヤマトがそんな簡単にやられるとかおかしくない?」
「や、あの、別に、お気に為さらずに……」
「もしかしてケンカしたとか?」
「……うー…ん、まあ」
「うわ、マジか」
「……」
「ケンカ、ヤマトが、ケンカ……」
「魔が差したって言うか、一時の気の迷いって言うかね、兎に角ほんとにアレだから!……もうこれ以上掘り下げないでくれるかな」
「…………」
「…………」
「なにを必死に隠してるのか知らないけどさ。たまにはケンカくらいいーんじゃない?自分のためなら」
「んー…」
「男の勲章的な?よく見ればなかなか男前じゃん。カッコ良さ2割増、みたいな」
「ツグミまでそういう事言う……」
「謎の傷って危険な男って感じでさ、色気あるよね」
「兎に角、もうこの件は終わりで」
「なんでよ、せっかく褒めてんのに」
「全く要らないから」
「……」
「……」
「うーーーん」
「今度は何?」
「やっぱ3割増かな」
「はぁ……頼むから話を聞いてくれよ、もう……」
私が笑ったら、ヤマトも笑った
さっきまでヤマトの手が乗ってた肩が熱くて
別れたあとも、まだ、ずっと熱くて
もったいない
そう言ってくれた時と同じはず
あの時頭に触れた手と同じはず
あ、そうか場所が違うからかな
ヤマトの手がものすごく熱かった気がした
そう言えば、マニキュアの時だって触ったじゃん
あの時は?あの時は、普通だった気がする
で、私だけテンパって顔が熱かったっけ
私、ホントにそばに居ていーのかな?
ヤマトみたいなマジメな人には
マジメな人が合うんだってわかってるのに
ヤマトみたいなやさしい人には
おだやかで大人しい人が合うんだって思うのに
もったいない
そんなの自分が一番わかってるのに
ホントにそばに居ていーのかなんて
そんなの怖くて
誰にも聞いたりできない
私だってさ、ズルいとこもあるから
やさしさにつけ込んで
とか、できないわけじゃないけど
でもねヤマトって、ほら
すぐほだされちゃいそうだし
そんなの、困らせるだけだから
だからきっと、このままじゃダメなんだ
もっと素直になりたい
もっとやさしくなりたい
もっといい人になりたい
いきなり女の顔したらさ
今度こそ、ホントに逃げちゃうかもしれない
口元の傷だって
ほんとはめちゃくちゃ気になるけど
しつこくして嫌がられたくなんてない
上手くやれるかなんてわかんないけど
今の自分は嫌いじゃないから
たぶん、けっこう好きだから
ヤマトにもいつか
ちゃんと、気付いてもらいたい
それくらいなら、願ったっていいよね?