これからは僕ら次第
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「随分と熱心だったね?」
参拝を済ませて
人混みに飲まれながら
僕の腕に引っ付いて歩くツグミを振り返る。
「うん、だって去年一年無事だった御礼とか色々と報告したい事もあったし」
「報告って神様に?ツグミって案外信心深いんだな」
「まあ、去年は特にお世話になりましたからね」
「ふぅん、そうなんだ。何かあったっけ?」
「……」
「……ん?」
「ヤマトと付き合えるようになった事」
「あ、ああ……それか」
「ああ、それかーじゃないでしょ!去年の私がどれだけ切実だったか……」
「え?……へぇ、ツグミさんはそんなに必死に僕の事をお願いしてたのかぁ、それは知らなかったなぁ」
「あ、う、う……だだって、あの頃はそんなに仲良くもなかったし」
「……まあね」
確かに。去年の今頃は、二人でこうしているなんて思いもしなかった。
ツグミが思うより前から僕はツグミを思ってた……のは事実だけど、それだけじゃ僕らがくっつく事は叶わなかったのかもしれない。
今まで神様なんて特に頼りにもしてなかったけど、どうやらこれは、その力を認めざるを得ない時が来たのかもしれない、なんてね。
「付き合いたいなんて滅相もないって感じだったもん、だからね、ヤマトともっと話してみたいとか知りたいとかそんな程度で……ちょっとでも勇気が出ますようにってお願いしてたの」
「……なるほど。それじゃあ、僕もちゃんと御礼しないとな」
「えっ、あ、うん……って、まさかまた並ぶの?」
「もちろん」
「でもこの列……」
「だって去年は知らぬ間にかなりお世話になってたみたいだし」
「わ、私がその分もきっちり挨拶したから大丈夫だよ」
「……そう?」
「そうだよ、だってね、今年からはワンセットだし!」
「え?」
「ヤマトと私、セットで一緒にお参りしてるからきっと大丈夫」
「……そういうもん?」
「いいの、そういうもんにしちゃおう」
恋人はワンセットで参拝OKなんて聞いた事ないよと突っ込みながら、はしゃぐツグミを見てたら、まあいいかとあっさり思えるから僕も僕でしょうもない。
「……あぁーはいはい、わかったよ。で、ツグミは、次はどこを見たいの?」
「えへへ、さすがヤマト、次はねー」
「わかった、御守りだな」
「あはは、正解。ね、行こう」
「はいはい、どこでも着いてくよ」
はぐれないように僕の掌の中にツグミの掌をすっぽり入れてしまったら、歩きにくいと言って、結局いつもの恋人繋ぎに直されてしまった。ま、確かにこっちの方が距離が狭まってバランスがいいな。
「そう言えばツグミ、今年は?」
「ん?」
「願い事」
「ああ、ええとね」
「うん?」
「去年と変わらずにヤマトと仲良くやっていけますように」
頬染めて照れ臭そうに、だけどはっきりと口にするツグミは、なかなかどうして誇らしげで。その純粋さが眩しくて。
「へぇ、去年と変わらずに?」
「うん、変わらずに……仲良くしていただけたら……」
「はあ……やっぱりもう一回行って来なきゃまずいかな、お参り」
「え……何で?」
「……僕は嫌なんだけど、その〝去年と変わらずに〟ってのが」
「へ??」
戸惑うツグミを、嫌でも意味がわかるようにぐいと強めに引き寄せる。
「どうせなら〝去年よりもっと〟じゃないと」
低い声で囁けば、縮こまった身体が小さくびくんと揺れた。
「こう見えても、案外僕自身も頑張ったんだけど……それを褒めてはくれないのかな」
君にも神に縋るほど勇気が必要だったように
僕だってそれなりにもがいて
へこたれながらも勇気を出してきた訳で
「いつまでも神頼みってのはアレだし、これからは僕ら次第……なんじゃないかな」
新年早々こんな所で、ちょっとこれは攻め過ぎたかなと、今さら反省しながら俯いたままのツグミを見下ろす。
「……す」
「え?」
「……でお願いします」
「今なんて」
「去年よりもっと、でお願いしますっ」
ぱっと顔を上げて言い放ったツグミの、今にも死にそうな照れ顔が可愛過ぎて吹き出した。そんな僕を、ツグミが意地悪って拗ねて困らせる。
さて、御守りを買っておみくじをひいたらさ
あとは僕んちか君んちでまったりしようか
ちょっと小腹が空いたのにも今は目を瞑るから
よそ見しないでツグミの方へ突き進むから
だから、受止めてくれよ。
神頼みより確実に、僕らはもっと仲良くなれるって、今年からはこの僕がちゃんと保証してあげるから。
終
ヤマトさん、急に重☆
参拝を済ませて
人混みに飲まれながら
僕の腕に引っ付いて歩くツグミを振り返る。
「うん、だって去年一年無事だった御礼とか色々と報告したい事もあったし」
「報告って神様に?ツグミって案外信心深いんだな」
「まあ、去年は特にお世話になりましたからね」
「ふぅん、そうなんだ。何かあったっけ?」
「……」
「……ん?」
「ヤマトと付き合えるようになった事」
「あ、ああ……それか」
「ああ、それかーじゃないでしょ!去年の私がどれだけ切実だったか……」
「え?……へぇ、ツグミさんはそんなに必死に僕の事をお願いしてたのかぁ、それは知らなかったなぁ」
「あ、う、う……だだって、あの頃はそんなに仲良くもなかったし」
「……まあね」
確かに。去年の今頃は、二人でこうしているなんて思いもしなかった。
ツグミが思うより前から僕はツグミを思ってた……のは事実だけど、それだけじゃ僕らがくっつく事は叶わなかったのかもしれない。
今まで神様なんて特に頼りにもしてなかったけど、どうやらこれは、その力を認めざるを得ない時が来たのかもしれない、なんてね。
「付き合いたいなんて滅相もないって感じだったもん、だからね、ヤマトともっと話してみたいとか知りたいとかそんな程度で……ちょっとでも勇気が出ますようにってお願いしてたの」
「……なるほど。それじゃあ、僕もちゃんと御礼しないとな」
「えっ、あ、うん……って、まさかまた並ぶの?」
「もちろん」
「でもこの列……」
「だって去年は知らぬ間にかなりお世話になってたみたいだし」
「わ、私がその分もきっちり挨拶したから大丈夫だよ」
「……そう?」
「そうだよ、だってね、今年からはワンセットだし!」
「え?」
「ヤマトと私、セットで一緒にお参りしてるからきっと大丈夫」
「……そういうもん?」
「いいの、そういうもんにしちゃおう」
恋人はワンセットで参拝OKなんて聞いた事ないよと突っ込みながら、はしゃぐツグミを見てたら、まあいいかとあっさり思えるから僕も僕でしょうもない。
「……あぁーはいはい、わかったよ。で、ツグミは、次はどこを見たいの?」
「えへへ、さすがヤマト、次はねー」
「わかった、御守りだな」
「あはは、正解。ね、行こう」
「はいはい、どこでも着いてくよ」
はぐれないように僕の掌の中にツグミの掌をすっぽり入れてしまったら、歩きにくいと言って、結局いつもの恋人繋ぎに直されてしまった。ま、確かにこっちの方が距離が狭まってバランスがいいな。
「そう言えばツグミ、今年は?」
「ん?」
「願い事」
「ああ、ええとね」
「うん?」
「去年と変わらずにヤマトと仲良くやっていけますように」
頬染めて照れ臭そうに、だけどはっきりと口にするツグミは、なかなかどうして誇らしげで。その純粋さが眩しくて。
「へぇ、去年と変わらずに?」
「うん、変わらずに……仲良くしていただけたら……」
「はあ……やっぱりもう一回行って来なきゃまずいかな、お参り」
「え……何で?」
「……僕は嫌なんだけど、その〝去年と変わらずに〟ってのが」
「へ??」
戸惑うツグミを、嫌でも意味がわかるようにぐいと強めに引き寄せる。
「どうせなら〝去年よりもっと〟じゃないと」
低い声で囁けば、縮こまった身体が小さくびくんと揺れた。
「こう見えても、案外僕自身も頑張ったんだけど……それを褒めてはくれないのかな」
君にも神に縋るほど勇気が必要だったように
僕だってそれなりにもがいて
へこたれながらも勇気を出してきた訳で
「いつまでも神頼みってのはアレだし、これからは僕ら次第……なんじゃないかな」
新年早々こんな所で、ちょっとこれは攻め過ぎたかなと、今さら反省しながら俯いたままのツグミを見下ろす。
「……す」
「え?」
「……でお願いします」
「今なんて」
「去年よりもっと、でお願いしますっ」
ぱっと顔を上げて言い放ったツグミの、今にも死にそうな照れ顔が可愛過ぎて吹き出した。そんな僕を、ツグミが意地悪って拗ねて困らせる。
さて、御守りを買っておみくじをひいたらさ
あとは僕んちか君んちでまったりしようか
ちょっと小腹が空いたのにも今は目を瞑るから
よそ見しないでツグミの方へ突き進むから
だから、受止めてくれよ。
神頼みより確実に、僕らはもっと仲良くなれるって、今年からはこの僕がちゃんと保証してあげるから。
終
ヤマトさん、急に重☆
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