テンゾウの秘めた恋
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何だ・・・
想いが伝染するってあるのかな
「もう会えなくなっちゃう」
「・・・な、に言ってんの」
「もう一緒には居られないんだよ・・・・・・?」
向き合って座る目の前で
上擦る水無月の声が僕の心を掻き乱す
もういい、もう負けだ
君が弱って甘えたって何が悪い
君を可愛いと思って何が悪い
惚れたら負けて当然だ
こんなものに頼ってる場合じゃない
「大丈夫だ、そんなことにはならない。・・・君が望むなら、僕は何度でも会いに来る」
「・・・本当?」と尋ねる涙声にしっかり頷けば
「・・・テンゾ・・・」なんてますます泣きそうになる
水無月にもっともっと近付きたい
抑え切れない衝動に
僕の手はもう止まらなかった
「・・・・・・水無月、今までごめん」
面を外した僕に驚いたのか
はたまた僕の台詞に驚いたのか
「え?」と言いながらじっと目を見張るその瞳には
ちゃんと本物の僕が映っていて
きっと君は謝罪の意味なんて解ってなくて
僕だけが面をすることで
距離をとってたつもりになって
勝手な思い込みほど意味も価値もないのに
今まで、本音を表情を、ずっと隠してた
「僕は面とったくらいで
どーにかなるようなレベルじゃないから
ご心配なく」
戸惑いに満ちた顔の水無月に笑ってみせる
体裁を盾に素顔が晒せなかっただけなんだ
全てが僕のせいで構わない
むしろ全て僕のせいにしたらいい
震える君を救えるのは僕だけがいい
きっと水無月の遠い記憶の中の素顔の僕は
堅物のポーカーフェイスだったはずで
だけど、本当はまるで違うんだ
こんなにそばで
水無月に触れて、声を聞いて、
面がなけりゃ、もう何も隠し通せやしないんだ
「テッ・・・ん」
名を呼ばれる前に水無月の唇を塞ぐのは
予想以上に容易くて
甘過ぎる全てに狂いそうになる
お喋りな水無月が大人しくしおらしい
僕を受け入れてくれた
それが激しく僕を昂らせて
どこまでも酔いしれて留まることなんてない
流れの中で息をついて
目に入った水無月が真っ赤な顔で
眼をぎゅっと瞑ってる
それが熱くなり過ぎた僕を少しだけ治めた
もっと優しく、もっと大切に
何もかも全て
僕はこの手で与えたい
「僕は水無月が好きだ、
それは君が何処で何をしていようと
僕が何処で何をしていようと変わらない」
僕を見上げて揺れる瞳
もっと本物の僕を映して欲しい
もっと本物の僕を求めて欲しい
そして君にも同じように想っていて欲しいんだ
「・・・・・・テンゾウ」
「ずっと一緒だよなんて約束はできないし、
気の利いたことも言えない。
不安や心配が尽きなくて
この先どれだけ君を悩ませるかわからない。
だけどそれでも、
水無月が許してくれるのなら
・・・僕は君を一番近くで感じたい」
溢れて止まらないバカな想いを
水無月を困らせないように言葉を選んで
だけど、本音だけを詰め込んで吐き出す
泣きそうな顔を僕の胸に隠した水無月に
ハラハラとドキドキが入り混じる
しばらくの間があって
背中に回された腕の感触
「・・・テン、今のちょっと回りくどい」
胸に向かって拗ねたように言われて
全身が熱くなって幸福に目眩がする
「・・・僕の彼女になってくれないの?」
痺れを切らせて直球で言ってみれば
一瞬固まる腕の中の身体
「な、なななります、なりますから・・・
末永くよろしくお願いします・・・」
ああ、本当に可愛いなと頭に唇を押し当てる
些細な愛撫に「わ」とか「ひゃ」とか
言ってる水無月がさっきまでと違い過ぎて
僕の顔は、きっと今
飛んでもなくデレデレだろう
水無月に見られたくなくて
夜で本当に助かったなんて思いながら、
水無月に布団に入るよう言い付けて
眠るまで僕はその手をずっと握っていた
願うのは
素顔のままで、いつまでも君と
これからの未来を君と
全てを僕の手で君に
終
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