おれの名前を呼んでくれ/④億泰
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扉の方から物音がして、焦って身を固くした私の前に現れたのはーーーーーー億泰くんだった。
「雛子・・・・・・!!!???」
「おっ・・・・・・」
と、一声出たものの、さっきがさっきだ。
いくら神様にお願いしていたって、それはそれ。
上手く喋れるはずもない。
目を見開いた億泰くんの顔。
きっと、会ってしまったのは偶然。
どうしよう・・・
うん、ひとまず謝ろう・・・さっきのこと全部・・・
「ごめんなさい!」「悪かった!」
長閑な屋上に二人の声が重なる。
「・・・・・・」「・・・・・・」
気まずさと恥ずかしさで言葉が出ない
もじもじ・・・・・・っていう感覚はきっとこんな感覚だ
「あの、あのね・・・さっき・・・階段で・・・下駄箱の・・・で、ひどいこと言ってごめんなさい・・・」
〝大嫌い〟
嘘でも言ってしまった言葉は取り消せない
本当は違うとか言いたいことは溢れるけど、今はこれが精一杯
何とか告げると、億泰くんは俯いた私から思い切り視線を逸らせて、フラリと身体を翻すようにしながら歩き出した。
「ああーーー・・・階段で?・・・下駄箱の?・・・って、何かあったよぉーな気もするけど・・・何だったかなぁー??おれは記憶力も足りねぇからなぁ、もう忘れちまったな・・・」
遊ぶように身体を翻して惚けたようにそう言うと、億泰くんは少しイタズラな笑顔で、イシシと歯を見せて笑った。
「おれもなーんか約束をブッチしちまったよーな気もするしなぁ・・・・・・だから、雛子は何も気にする必要はねぇーんじゃあねぇか?」
優しくて繊細で可愛い笑顔が、どこか真面目な色を帯びていて、もうこの話は終わりだと言ってくれているのがわかる。
「それよりよぉ・・・雛子は大丈夫かよ?」
笑顔から一転、眉間に皺を寄せた心配顔が、急に私を覗き込む。
「わっ・・・」
戸惑う私の顔をまじまじとしばらく見つめると、億泰くんはすぐ目の前でホッとしたように笑った。
「泣いてないなら良かったぜ・・・」
こんなイケメン知らない、なんて言ったら意地悪かな?
私を心配してくれていたのがわかって嬉しい
嬉しくてキュンとしてるはずが、どこかズキンと痛い
私、何だか寂しい・・・?
「おれこそよぉ、この前は悪かったな・・・おれ、調子に乗ってちょっと変なこと言った気がするけどよぉー・・・ありゃあ何かの間違いだからさ・・・・・・早く忘れちまってくれよな・・・?」
またフラフラ歩き出すと私に背を向けて、億泰くんは本当に冗談だって示すみたいに飄々と呟く。
どうして億泰くんの背中はそんなに寂しいの?
何かを誤魔化しているせい?
無理して私に優しくしてるせい?
それとも、もっと違う何かがあるのかな?
一緒に居るのに寂しいよ。
優しくされてるのに寂しいよ。
「忘れなきゃダメかな・・・・・・」
「えっ・・・・・・」
自分の口から思ったよりか細い声が出て
億泰くんも驚いたように振り返る。
怪訝な表情が私をじっと見つめてる。
「あっ・・・いや、えっと・・・・・・嘘ですっ、なんでもないです・・・」
「・・・・・・」
めちゃくちゃ恥ずかしくなって思わず身体を縮こめる。
すると、また億泰くんがズイと距離を詰めて私を覗き込んだ。
これは・・・疑いの目という奴・・・?
「雛子・・・・・・嘘付くなよ?お前・・・」
「えっ・・・」
「えっ・・・じゃあねぇよ、本当の本当にだぜ?絶対ぇの絶対ぇにっっ忘れてくれよ?」
「う、うん・・・」
ごめんねって、心の中で謝った。
だって私、バカみたいだけど、億泰くんのことになると記憶力が驚異的で。
全然忘れられる気がしないんだ・・・
今は億泰くんのために忘れたフリをするけれど
私はきっと、ずうっと忘れない
胸の中に大切にしまい込んで一番幸せな思い出として一生一緒に生きてくの
例えそれが嘘だったとしても・・・
あんなの、忘れられる訳ないじゃない?
きっとお婆さんになっても忘れられない
そんな自信がある
目を逸らせてバレてしまうわないように、億泰くんの圧力に必死に耐えながら
私はできない約束を一つする・・・
しばらく見つめ合って、やっと信用できたのか億泰くんの目の色が変わる。
ずうっと、色々な意味でドキドキの止まらなかった私にも気付かない億泰くんは
今さら私達の距離が近いことに気が付いたらしい。
「わっ・・・悪ぃっ!!!!!!!!」
ずささささーーーーーっっっっっっ!!!!!!
漫画みたいな効果音がぴったりな素早い動作で後退する
何それ、変なポーズに変な顔
そして、態勢を整えると何事もなかったかのように口笛なんて吹いている
もう、可愛いなこんにゃろう
そんな億泰くんを微笑ましく見つめながら思い出す
そう言えば、私も人のこと言えなかった
私ってば、さっき、とんでもないことしちゃったよね?
私、何であんなことしたんだっけ??
あそこまでして話したかったことって何だっけ???
思い出すために、ぼんやりと億泰くんの足元を目で追うと、億泰くんは、ちょっと離れた手摺の方まで行って伸びをした。
「あっ何か美味そーな匂いがすんぞっっっ!」なんて、呑気に笑ってる。
「そーいや、今日は何作ってんだろな?お前のーーー生活部、だっけか・・・・・・あああのよ、家庭科室ってのはぁ、あんなトコにあったんだなぁーーーおれってば全然知らなかったからよぉーーー凄ぇ苦労しちまったぜ・・・・・・」
もう、億泰くんの言うことが頭に入らなかった。
億泰くんがずっとここに居ればいいのに
これ以上近付きたいなんて思わないから
ずうっとこれくらいの距離で構わないから
本当は嫌われなくなんてない
ずうっと名前を呼べる存在でいたい
もうこれ以上遠い存在になりたくない
神様、ありがとう・・・・・・だけどごめんなさい
「億泰くんがいつも通りになってくれて良かっ・・・・・・」
ダメ、いけない、止まれーーーーーーーーーー
そう思ってるのに、止めるのは無理だった。
「雛子・・・・・・!!!???」
「おっ・・・・・・」
と、一声出たものの、さっきがさっきだ。
いくら神様にお願いしていたって、それはそれ。
上手く喋れるはずもない。
目を見開いた億泰くんの顔。
きっと、会ってしまったのは偶然。
どうしよう・・・
うん、ひとまず謝ろう・・・さっきのこと全部・・・
「ごめんなさい!」「悪かった!」
長閑な屋上に二人の声が重なる。
「・・・・・・」「・・・・・・」
気まずさと恥ずかしさで言葉が出ない
もじもじ・・・・・・っていう感覚はきっとこんな感覚だ
「あの、あのね・・・さっき・・・階段で・・・下駄箱の・・・で、ひどいこと言ってごめんなさい・・・」
〝大嫌い〟
嘘でも言ってしまった言葉は取り消せない
本当は違うとか言いたいことは溢れるけど、今はこれが精一杯
何とか告げると、億泰くんは俯いた私から思い切り視線を逸らせて、フラリと身体を翻すようにしながら歩き出した。
「ああーーー・・・階段で?・・・下駄箱の?・・・って、何かあったよぉーな気もするけど・・・何だったかなぁー??おれは記憶力も足りねぇからなぁ、もう忘れちまったな・・・」
遊ぶように身体を翻して惚けたようにそう言うと、億泰くんは少しイタズラな笑顔で、イシシと歯を見せて笑った。
「おれもなーんか約束をブッチしちまったよーな気もするしなぁ・・・・・・だから、雛子は何も気にする必要はねぇーんじゃあねぇか?」
優しくて繊細で可愛い笑顔が、どこか真面目な色を帯びていて、もうこの話は終わりだと言ってくれているのがわかる。
「それよりよぉ・・・雛子は大丈夫かよ?」
笑顔から一転、眉間に皺を寄せた心配顔が、急に私を覗き込む。
「わっ・・・」
戸惑う私の顔をまじまじとしばらく見つめると、億泰くんはすぐ目の前でホッとしたように笑った。
「泣いてないなら良かったぜ・・・」
こんなイケメン知らない、なんて言ったら意地悪かな?
私を心配してくれていたのがわかって嬉しい
嬉しくてキュンとしてるはずが、どこかズキンと痛い
私、何だか寂しい・・・?
「おれこそよぉ、この前は悪かったな・・・おれ、調子に乗ってちょっと変なこと言った気がするけどよぉー・・・ありゃあ何かの間違いだからさ・・・・・・早く忘れちまってくれよな・・・?」
またフラフラ歩き出すと私に背を向けて、億泰くんは本当に冗談だって示すみたいに飄々と呟く。
どうして億泰くんの背中はそんなに寂しいの?
何かを誤魔化しているせい?
無理して私に優しくしてるせい?
それとも、もっと違う何かがあるのかな?
一緒に居るのに寂しいよ。
優しくされてるのに寂しいよ。
「忘れなきゃダメかな・・・・・・」
「えっ・・・・・・」
自分の口から思ったよりか細い声が出て
億泰くんも驚いたように振り返る。
怪訝な表情が私をじっと見つめてる。
「あっ・・・いや、えっと・・・・・・嘘ですっ、なんでもないです・・・」
「・・・・・・」
めちゃくちゃ恥ずかしくなって思わず身体を縮こめる。
すると、また億泰くんがズイと距離を詰めて私を覗き込んだ。
これは・・・疑いの目という奴・・・?
「雛子・・・・・・嘘付くなよ?お前・・・」
「えっ・・・」
「えっ・・・じゃあねぇよ、本当の本当にだぜ?絶対ぇの絶対ぇにっっ忘れてくれよ?」
「う、うん・・・」
ごめんねって、心の中で謝った。
だって私、バカみたいだけど、億泰くんのことになると記憶力が驚異的で。
全然忘れられる気がしないんだ・・・
今は億泰くんのために忘れたフリをするけれど
私はきっと、ずうっと忘れない
胸の中に大切にしまい込んで一番幸せな思い出として一生一緒に生きてくの
例えそれが嘘だったとしても・・・
あんなの、忘れられる訳ないじゃない?
きっとお婆さんになっても忘れられない
そんな自信がある
目を逸らせてバレてしまうわないように、億泰くんの圧力に必死に耐えながら
私はできない約束を一つする・・・
しばらく見つめ合って、やっと信用できたのか億泰くんの目の色が変わる。
ずうっと、色々な意味でドキドキの止まらなかった私にも気付かない億泰くんは
今さら私達の距離が近いことに気が付いたらしい。
「わっ・・・悪ぃっ!!!!!!!!」
ずささささーーーーーっっっっっっ!!!!!!
漫画みたいな効果音がぴったりな素早い動作で後退する
何それ、変なポーズに変な顔
そして、態勢を整えると何事もなかったかのように口笛なんて吹いている
もう、可愛いなこんにゃろう
そんな億泰くんを微笑ましく見つめながら思い出す
そう言えば、私も人のこと言えなかった
私ってば、さっき、とんでもないことしちゃったよね?
私、何であんなことしたんだっけ??
あそこまでして話したかったことって何だっけ???
思い出すために、ぼんやりと億泰くんの足元を目で追うと、億泰くんは、ちょっと離れた手摺の方まで行って伸びをした。
「あっ何か美味そーな匂いがすんぞっっっ!」なんて、呑気に笑ってる。
「そーいや、今日は何作ってんだろな?お前のーーー生活部、だっけか・・・・・・あああのよ、家庭科室ってのはぁ、あんなトコにあったんだなぁーーーおれってば全然知らなかったからよぉーーー凄ぇ苦労しちまったぜ・・・・・・」
もう、億泰くんの言うことが頭に入らなかった。
億泰くんがずっとここに居ればいいのに
これ以上近付きたいなんて思わないから
ずうっとこれくらいの距離で構わないから
本当は嫌われなくなんてない
ずうっと名前を呼べる存在でいたい
もうこれ以上遠い存在になりたくない
神様、ありがとう・・・・・・だけどごめんなさい
「億泰くんがいつも通りになってくれて良かっ・・・・・・」
ダメ、いけない、止まれーーーーーーーーーー
そう思ってるのに、止めるのは無理だった。