おれの名前を呼んでくれ/④億泰
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「・・・・・・億泰くん」
窓の外をぼーっと眺めている彼に声をかけた。
一人なのは珍しい。
いつも東方くんと一緒だから。
「ん?えっ、おっ、なななんだよ、雛子じゃあねーか」
ああ、その反応、何だかやっぱり微妙だな・・・
女子が苦手みたいだから、どんな子が話しかけたってだいたいそんな調子なのは知ってるけれど、
私との距離も一向に縮まらない
「・・・まだ居たんだね?」
「あ、ああ・・・」
ああ・・・目が泳いでる・・・
せっかく珍しく一人でいるからラッキー
なんて浮かれて声かけちゃったけど
私、もしや嫌われてる?
または、空気読めてない、とか?
「えーと・・・珍しいね一人で・・・東方くんは?」
とりあえず当たり障りのない話って事で、億泰くんの仲良しの名前を出してみる
「は?」
「え?」
目の前の億泰くんはキョトンとした顔で私を見つめる。
ん?何?聞き取れなかったのかな?
「えっと、だから・・・」
「ああっ!おおっ!そうかぁー!東方!!なーんだよー仗助のことかよ!一瞬何言ってんのかわかんなくって焦ったぜぇ」
そう言って、とってもスッキリしたようにニコニコ笑う億泰くん。
もう、焦ったのはこっちだよ!
ていうか、相変わらずちょっと抜けてて可愛いなもう!
ついでに、普通に話してくれた、良かった!
「そうそう、その東方仗助くんとは今日は一緒じゃないんだなぁ・・・と思って」
「・・・・・・」
ん?あれ?また微妙?
「あーーーだからよぉ、その仗助を待ってんだよ。先公に呼び出されちまったらしくてな・・・」
「へ、へえ・・・そう、なんだ」
どうしよう、せっかく和んだのも束の間
何故かまた機嫌を損ねたような態度
気が気じゃない
「雛子こそ・・・何してんだ?こんな時間に」
「あ、ああ!私はね、部活で残ってて・・・ちょっと通りかかったら教室に億泰くんが見えたから」
不機嫌そうな彼にビクビクしながらそう話すと
「あーーーーー!なんだ部活かぁ・・・って、雛子、お前部活なんてやってたのかよ、知らなかったぜ」
〝知らなかった〟か・・・
そーだよね、やっぱり興味ないよね
「うん・・・」
「・・・で、何やってんだ?その、部活はよ」
「へ?」
「へって何だよ、だから聞いてんだよ、何部なんだって」
まさか聞いてくれると思わなかった
「生活部」
「へぇぇぇぇぇぇぇ!」
多分わかんないんだろうなーと思いながら
呟けば、物凄ーく関心したような反応
えっ、でも、名前だけでどんな部活かわかるの!?
誰に話しても、ほぼ〝何やってるの?〟って聞き返されるのに
「生活?って、何か立派だな、すげーな・・・で結局何やってんだ?」
「ぶっ」
何だ、そういう事か、可愛いなもう
「は?何笑ってんだ?」
「ううん、笑ってない!って、言うか、興味持ってくれたから嬉しくて」
凄いものを凄い、知らないものを知らない・・・
知りたいって、正直に言えてしまう
見た目は少し怖いのに、本当は素直で真っ直ぐな億泰くんが・・・
「・・・そ、そーかよっ」
ほら、今だって照れてるの
「うんとね、家庭科部って感じでね?お菓子作ったり、手芸したり、割と自由で・・・自分の好きな事のできる部活なの」
「へーっ!知らなかったぜーそんな部活があるとは・・・・・・」
「そうだね、男子なら余計に興味ないよね」
本当に、私にってのもだけど、普通に男子なんてそんなもんだよね
「ふーん、そうかぁ生活部かよ、へぇーふーん、ほうほう・・・」
少しばかり拗ねてる間に億泰くんは一人でブツブツ言っている。
ねぇ、億泰くんて、甘いもの好き?
「あの、億泰くん・・・」
お菓子、持って来たら食べてくれる?
「いやー何かすげぇスッキリしたわ」
「え?」
「前々から思ってたんだよなぁー!雛子って何かたまにイイ匂いするし、女子力すげぇってよ」
「え!!」
いい匂い!?って、女子力!?
億泰くんが・・・言うと・・・・・・物凄い違和感
「あれってよぉー食いもんの匂いだったんだな!」
「あっ、そう?自分じゃ全然わかんないけど、匂い・・・これからは気を付けた方がいいよね」
「別にいいんじゃあねぇーの?イイ匂いなんだからよ」
「いやぁ、ちょっと恥ずかしいかも・・・ていうか・・・その・・・億泰くんが〝女子力〟なんて言うからびっくりしちゃったよ」
「いっ・・・・・・やぁ、何だホラ、ゆっ由花子がよーそう言ってたんだよ!そういう風に言うんだろっ?おっおれは何もっ・・・知らねぇよ」
「ああ、そうか、なるほど・・・」
そうだよね、変に焦ったのは何でだろう
褒められてドキドキしたから?
ううん、何か違う、そうじゃなくて
そんな言い方を億泰くんがしたからだ
今時の女の子がよく使う様な言葉
誰に聞いたの?誰に教わったの?
凄く不似合いな言葉にそんな事まで考えた
何だろう変なの
だけど、広瀬くんに夢中の由花子さんが言ったのならセーフ、かな
「女子力なんてよくわからないけど、そんなもの、あってもあんまり意味ないんじゃあないかな・・・」
「・・・え?」
「どれだけ女子力があったって、好きな人に気付いて貰えないと大して意味ないかも・・・なんてね」
「・・・・・・」
あ・・・・・・変な空気
まずい、そろそろ退散しようかな・・・
「仗助かよ」
「・・・は?」
「だからよー・・・そのっ、雛子のすっすっ好きな奴、だよ」
「ヒ・・・ガシカタくん?・・・何で?」
「探してたんじゃあねぇーのかよ、アイツのこと」
「え?いや・・・」
「あの野郎、女子力とかワケわかんねぇーみたいなこと言ってたし・・・それで凹んでんのか?」
「ち!」
「ち?」
「違うからっ!全然っ違うから!!もう、もう、もう!何なのそれ・・・」
「えっ、お?アッ・・・やっ・・・えと・・・勝手に・・・すまねぇ・・・」
つい怒っちゃった
八つ当たりしたみたいで最悪だ
「手助けでもしてやれりゃあと思ったんだけどよぉー・・・悪かったぜ、マジで」
「ううんっ、私こそ何かごめんね、心配してくれたのにね」
本当、何でそんな感じで優しいの?
やっぱり親友の事が絡むと変に責任感じちゃうのかな
それは誰への優しさって事になるんだろう
「あーあー・・・おれみたいなバカは心配しかしてやれねぇってのになぁ、クソっ」
そう言って、億泰くんは軽く机を蹴った
態度の変わった姿に心臓が跳ねる
怒ってる?苛立ってる・・・というか、落ち込んでる?
「普通わかるだろ・・・惚れた女が誰に惚れてんのかくらいよぉ・・・おれはバカだからそれもわかんねぇんだよな、クソだせぇ」
そう言って、額を机にガツン!とぶつける億泰くん
ちょっと待って、今の・・・
言葉にならなくて動揺してる間に
ガンガンと額を打ち付ける億泰くんが目に入り我に返る
「ちょっ!ヤダ、億泰くんっ やめて!」
慌てて止めたのに、億泰くんは全然止めてくれない
引いても押しても私の力じゃ足りなくて、
もうどうにもならなくて必死で身体を抑え込んだ
・・・・・・やっと億泰くんの動きが止まる
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「ヤべぇ、すげぇいい匂い」
「・・・・・・・・・」
「ってぇ、そうじゃあねぇ!そうじゃあなくって・・・よぉ・・・おい雛子、いつまで引っ付いてんだ・・・?」
うん、わかってるんだけど
身体がちっとも動かないの
「その、悪かったな・・・おれみたいなバカ、心配してくれたんだろ?・・・ありがとよ」
ついでに声も出なくって、何とか少しだけ頭を振る
「・・・・・・・・・」
「雛子、あの・・・えっと・・・??????」
億泰くんの身体が、どんどん硬直してくのがわかる
私が退かないから、明らかに億泰くんが戸惑って、困ってる
「・・・雛子よぉ、お前もしかしておれよりバカなのか?こーいうのはよぉー本当に惚れた奴にしかしちゃあいけねぇーって知らねぇーのかよ?おれでも知ってるっつーのに・・・」
戸惑いながらも、何とか言葉を繋いで
そうやって私を傷付けないように言い聞かせてくれる
私に、間違っていると優しく教えようとしてくれる
自分だって、きっとめちゃくちゃ戸惑ってるくせに
ごめんね?私・・・・・・
――――――パッタパッタパッタ・・・
「!!!!!」
廊下から足音がして慌てて離れる
「あっ、あのっ・・・・・・ごめんなさい!」
「おーーー億泰ぅ、待たせたなぁ・・・」
東方くんの入ってくるタイミングで私は教室を飛び出した
窓の外をぼーっと眺めている彼に声をかけた。
一人なのは珍しい。
いつも東方くんと一緒だから。
「ん?えっ、おっ、なななんだよ、雛子じゃあねーか」
ああ、その反応、何だかやっぱり微妙だな・・・
女子が苦手みたいだから、どんな子が話しかけたってだいたいそんな調子なのは知ってるけれど、
私との距離も一向に縮まらない
「・・・まだ居たんだね?」
「あ、ああ・・・」
ああ・・・目が泳いでる・・・
せっかく珍しく一人でいるからラッキー
なんて浮かれて声かけちゃったけど
私、もしや嫌われてる?
または、空気読めてない、とか?
「えーと・・・珍しいね一人で・・・東方くんは?」
とりあえず当たり障りのない話って事で、億泰くんの仲良しの名前を出してみる
「は?」
「え?」
目の前の億泰くんはキョトンとした顔で私を見つめる。
ん?何?聞き取れなかったのかな?
「えっと、だから・・・」
「ああっ!おおっ!そうかぁー!東方!!なーんだよー仗助のことかよ!一瞬何言ってんのかわかんなくって焦ったぜぇ」
そう言って、とってもスッキリしたようにニコニコ笑う億泰くん。
もう、焦ったのはこっちだよ!
ていうか、相変わらずちょっと抜けてて可愛いなもう!
ついでに、普通に話してくれた、良かった!
「そうそう、その東方仗助くんとは今日は一緒じゃないんだなぁ・・・と思って」
「・・・・・・」
ん?あれ?また微妙?
「あーーーだからよぉ、その仗助を待ってんだよ。先公に呼び出されちまったらしくてな・・・」
「へ、へえ・・・そう、なんだ」
どうしよう、せっかく和んだのも束の間
何故かまた機嫌を損ねたような態度
気が気じゃない
「雛子こそ・・・何してんだ?こんな時間に」
「あ、ああ!私はね、部活で残ってて・・・ちょっと通りかかったら教室に億泰くんが見えたから」
不機嫌そうな彼にビクビクしながらそう話すと
「あーーーーー!なんだ部活かぁ・・・って、雛子、お前部活なんてやってたのかよ、知らなかったぜ」
〝知らなかった〟か・・・
そーだよね、やっぱり興味ないよね
「うん・・・」
「・・・で、何やってんだ?その、部活はよ」
「へ?」
「へって何だよ、だから聞いてんだよ、何部なんだって」
まさか聞いてくれると思わなかった
「生活部」
「へぇぇぇぇぇぇぇ!」
多分わかんないんだろうなーと思いながら
呟けば、物凄ーく関心したような反応
えっ、でも、名前だけでどんな部活かわかるの!?
誰に話しても、ほぼ〝何やってるの?〟って聞き返されるのに
「生活?って、何か立派だな、すげーな・・・で結局何やってんだ?」
「ぶっ」
何だ、そういう事か、可愛いなもう
「は?何笑ってんだ?」
「ううん、笑ってない!って、言うか、興味持ってくれたから嬉しくて」
凄いものを凄い、知らないものを知らない・・・
知りたいって、正直に言えてしまう
見た目は少し怖いのに、本当は素直で真っ直ぐな億泰くんが・・・
「・・・そ、そーかよっ」
ほら、今だって照れてるの
「うんとね、家庭科部って感じでね?お菓子作ったり、手芸したり、割と自由で・・・自分の好きな事のできる部活なの」
「へーっ!知らなかったぜーそんな部活があるとは・・・・・・」
「そうだね、男子なら余計に興味ないよね」
本当に、私にってのもだけど、普通に男子なんてそんなもんだよね
「ふーん、そうかぁ生活部かよ、へぇーふーん、ほうほう・・・」
少しばかり拗ねてる間に億泰くんは一人でブツブツ言っている。
ねぇ、億泰くんて、甘いもの好き?
「あの、億泰くん・・・」
お菓子、持って来たら食べてくれる?
「いやー何かすげぇスッキリしたわ」
「え?」
「前々から思ってたんだよなぁー!雛子って何かたまにイイ匂いするし、女子力すげぇってよ」
「え!!」
いい匂い!?って、女子力!?
億泰くんが・・・言うと・・・・・・物凄い違和感
「あれってよぉー食いもんの匂いだったんだな!」
「あっ、そう?自分じゃ全然わかんないけど、匂い・・・これからは気を付けた方がいいよね」
「別にいいんじゃあねぇーの?イイ匂いなんだからよ」
「いやぁ、ちょっと恥ずかしいかも・・・ていうか・・・その・・・億泰くんが〝女子力〟なんて言うからびっくりしちゃったよ」
「いっ・・・・・・やぁ、何だホラ、ゆっ由花子がよーそう言ってたんだよ!そういう風に言うんだろっ?おっおれは何もっ・・・知らねぇよ」
「ああ、そうか、なるほど・・・」
そうだよね、変に焦ったのは何でだろう
褒められてドキドキしたから?
ううん、何か違う、そうじゃなくて
そんな言い方を億泰くんがしたからだ
今時の女の子がよく使う様な言葉
誰に聞いたの?誰に教わったの?
凄く不似合いな言葉にそんな事まで考えた
何だろう変なの
だけど、広瀬くんに夢中の由花子さんが言ったのならセーフ、かな
「女子力なんてよくわからないけど、そんなもの、あってもあんまり意味ないんじゃあないかな・・・」
「・・・え?」
「どれだけ女子力があったって、好きな人に気付いて貰えないと大して意味ないかも・・・なんてね」
「・・・・・・」
あ・・・・・・変な空気
まずい、そろそろ退散しようかな・・・
「仗助かよ」
「・・・は?」
「だからよー・・・そのっ、雛子のすっすっ好きな奴、だよ」
「ヒ・・・ガシカタくん?・・・何で?」
「探してたんじゃあねぇーのかよ、アイツのこと」
「え?いや・・・」
「あの野郎、女子力とかワケわかんねぇーみたいなこと言ってたし・・・それで凹んでんのか?」
「ち!」
「ち?」
「違うからっ!全然っ違うから!!もう、もう、もう!何なのそれ・・・」
「えっ、お?アッ・・・やっ・・・えと・・・勝手に・・・すまねぇ・・・」
つい怒っちゃった
八つ当たりしたみたいで最悪だ
「手助けでもしてやれりゃあと思ったんだけどよぉー・・・悪かったぜ、マジで」
「ううんっ、私こそ何かごめんね、心配してくれたのにね」
本当、何でそんな感じで優しいの?
やっぱり親友の事が絡むと変に責任感じちゃうのかな
それは誰への優しさって事になるんだろう
「あーあー・・・おれみたいなバカは心配しかしてやれねぇってのになぁ、クソっ」
そう言って、億泰くんは軽く机を蹴った
態度の変わった姿に心臓が跳ねる
怒ってる?苛立ってる・・・というか、落ち込んでる?
「普通わかるだろ・・・惚れた女が誰に惚れてんのかくらいよぉ・・・おれはバカだからそれもわかんねぇんだよな、クソだせぇ」
そう言って、額を机にガツン!とぶつける億泰くん
ちょっと待って、今の・・・
言葉にならなくて動揺してる間に
ガンガンと額を打ち付ける億泰くんが目に入り我に返る
「ちょっ!ヤダ、億泰くんっ やめて!」
慌てて止めたのに、億泰くんは全然止めてくれない
引いても押しても私の力じゃ足りなくて、
もうどうにもならなくて必死で身体を抑え込んだ
・・・・・・やっと億泰くんの動きが止まる
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「ヤべぇ、すげぇいい匂い」
「・・・・・・・・・」
「ってぇ、そうじゃあねぇ!そうじゃあなくって・・・よぉ・・・おい雛子、いつまで引っ付いてんだ・・・?」
うん、わかってるんだけど
身体がちっとも動かないの
「その、悪かったな・・・おれみたいなバカ、心配してくれたんだろ?・・・ありがとよ」
ついでに声も出なくって、何とか少しだけ頭を振る
「・・・・・・・・・」
「雛子、あの・・・えっと・・・??????」
億泰くんの身体が、どんどん硬直してくのがわかる
私が退かないから、明らかに億泰くんが戸惑って、困ってる
「・・・雛子よぉ、お前もしかしておれよりバカなのか?こーいうのはよぉー本当に惚れた奴にしかしちゃあいけねぇーって知らねぇーのかよ?おれでも知ってるっつーのに・・・」
戸惑いながらも、何とか言葉を繋いで
そうやって私を傷付けないように言い聞かせてくれる
私に、間違っていると優しく教えようとしてくれる
自分だって、きっとめちゃくちゃ戸惑ってるくせに
ごめんね?私・・・・・・
――――――パッタパッタパッタ・・・
「!!!!!」
廊下から足音がして慌てて離れる
「あっ、あのっ・・・・・・ごめんなさい!」
「おーーー億泰ぅ、待たせたなぁ・・・」
東方くんの入ってくるタイミングで私は教室を飛び出した
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