自己中な心配性は君が好き
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「...はぁぁぁ」
頭の上で息を吐くと、木ノ葉丸は「...ホッとした」と呟いた。
「俺...本当は何かやっちゃったのかなとか思ってすげぇ心配で...だから結構、割と焦ってたかも」
心配性も自己中も、私の知らなかった木ノ葉丸。木の葉丸の気持ちがぎゅっと胸を締め付ける。
「ずっと考えてたんだコレ」
「...何を?」
「ツバメを傷付けたり嫌われたりするのはイヤだから。.....俺だって、その...拒否されたらすげぇ凹むし」
「...うん」
「だから、このまま友達みたいなのがいいのかなって思ってたんだけど」
「...うん?」
木ノ葉丸がすごくすごく大事に話してくれてるのに相槌しかできない。木の葉丸は身体を離すとそんな私の顔を覗き込んだ。
「ツバメはさ、俺の事ガキだと思ってんの?」
「ぇ...そんな事思ってる訳ないでしょ...?」
「でも、俺ならいきなりた襲ったり押し倒したりしないって思ってるだろ」
今、なんて言った?今、すごい台詞を耳にした気がする。一瞬怒ったように言った木ノ葉丸は今度はひどく申し訳なさそうに言葉を続けた。
「あーーいや、ごめん...言葉の選択間違えた、ちょっと、いやかなり、ごめん...だけど、けどさ...俺の事をもう少し男として見て欲しいって話なんだけどコレ」
何?何で?もう少しも何も、言われなくたってずっとちゃんと見てるのに。伝わってないのは、私がいつまでたっても子どもっぽいから?
「私、そんなにつまんない顔してた?...可愛げなかった?」
そうだ、私に女の子らしさや魅力がなかったからだったんだ。
「えっいや、そうじゃなくて...」
「私ってそんなに無関心に見える?.....だとしても本当は全然平気なんかじゃないっ...」
もっと素直で可愛げがあったら良かったのに。上手に恥じらって色気でも出せたら良かったのに。もう消えてなくなりたい。だけど、せっかく手を振り解いて部屋に逃げ込んだのに、閉めようとした窓に大きな手がかかって阻止される。
「ごめん...俺、やっぱり自己中だ...」
どんなに逃げても木ノ葉丸にはきっと敵う筈ない。
「今逃げられたら、たぶん一生立ち直れない」
「...本気出してもいいの?」
「何でだよ...ってか、俺も本気出すし」
「え.....」
今のはちょっとまずいかも。木ノ葉丸が発した低い声が、まるで何かのスイッチみたいに一気に顔が熱くなる。胸がジンとして身体が痺れたみたいになる。
「.....ツバメ」
名前を呼ばれて上を向いた瞬間。すぐ目の前に木ノ葉丸が居て、お互いの鼻と唇が触れる。
「〜~〜!」
慌てて離れようとしたらまた捕まって唇が押し当てられる。思わずぎゅっと瞑っていた瞼をそっと撫でられて目を開くと切ない眼差しに射抜かれて、もう一度目を閉じた。短いのに長くて温かい、何だか身体がふわふわする.......
「ちょっ...ツバメ、おい!」
ほけっとしていたら木ノ葉丸の腕からすり抜けるかと思った。ギリギリ。掬われてちゃんと木ノ葉丸の腕の中にいる。
「...びっくりした....もう...何なんだよ...」
ホント何なんだ私。顔も上げられない。呆れられてしまったかもしれない。ムードとか台無しだ、皆無だ、つまらない事この上ない。
「.....こういう事されたら帰りたくなくなるんだぞ、男って奴は」
耳元で木ノ葉丸が呟いて、思わず顔をあげてしまった。いつもよりもずっとずっと男らしくて優しい瞳。私の髪を避ける指が離れなければいいのに。
「心配とかそういうんじゃなくて。って、意味解るか」
言っている意味をじわじわと理解して、じわじわと状況を把握する。今、私は木ノ葉丸の腕の中...というか、倒れ込んでしなだれかかってる。木ノ葉丸の胸が結構な速さで鳴っているのが解る。
「わっ...あの、えっとごめん...」
パッと身体を起こすけど私の心臓もバクバク鳴って治まらない。
「.....勘違いさせたみたいだけど、むしろ逆だから悩んでたんだぞコレ」
拗ねたように木ノ葉丸は目を反らせた。
「いちいち可愛いから困ってんだよ、手ぇ出したら今まで通りとは行かないだろ」
知らなかった、気付かなかった、やっぱり子どもっぽいのは私だ。
「.....物足りないのは俺だけじゃないって思っていいのか?」
差し伸べられた掌が指が私の頬を柔らかく包む。口にできない代わりに頷くと、木ノ葉丸は視線を泳がせてから照れ臭そうに笑った。
「.....ヨシ、じゃあそろそろ帰る」
しばらくの沈黙の後、木ノ葉丸はそう呟いて立ち上がると座り込んだ私の手を引いて起こしてくれる。こうやって手を繋ぐ事だってドキドキするのに、もう手放すのが惜しい。
「.....ツバメ?何だ、喋り方忘れたのか?」
笑いながら大きな掌で頭を撫でてくれる。ああ、もう、もっと名残り惜しくなっちゃうよ。
「.....ごめんね...後、ありがとう」
「ってそれいつのだよ、アハハ」
「いつって.....全部かな」
「ツバメの、そういうちょっとズレた所が可愛くて.....放っておけなくて、俺だけは解ってやりたいって思っちゃうんだよな」
「私ってズレてるの?」
「うーん...て言うか、俺にとってはそこら辺がツボで面白いって言うか。まあ、俺にしか解んないかもしれないけど。だから、ツバメがそうじゃないと困る...かな」
「何で...?」
「何でって...お前にいいトコ見せられなくなるだろ」
そういうと照れ隠しなのか、偉そうにフッフッフと笑ってる。
「ふぅん?」
「ま、ツバメは解んなくていいぞコレ」
「うん、木ノ葉丸だけが解っててくれればいいか」
もっと一緒に居たいとかもっと触れたいとか、好きの先に色んな気持ちが溢れる。少し怖いのに。きっと木ノ葉丸となら幸せだっていうのは解るから。安心してあなたについて行く。
互いに照れ臭いまま手を振って別れる。すぐには寝付けないかもなんて思いながら、熱い頬を冷たい枕に預けて目を閉じた。
終
2/2ページ