学パロ
名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
登校して自分の席に腰を降ろした瞬間。
目の前にバジル・ホーキンスが立っていた。
「階段の上り降りに気を付けた方がいい」
「へ?」
それだけ言うと席へもどった。
カードをきっている。
......一人トランプ?
友美と友子が小さくかけ寄ってくる。
「なにー今の......こわっ」
「なんかバジルくんって何考えてるか分かんなくて不気味だよね~」
「う、うーん......」
確かに唐突だった。
しかし不思議と気を付けようと思わせる雰囲気があった。
─────────
何事もなく無事帰宅中。
改札口へ向かう上り階段で、前から来た人にぶつかって後ろへ倒れる。
手すりを掴もうとした手は空を切る。
体勢を立て直そうにも足が絡まって止まれない。
地面は3m以上下に。
このまま落ちればたんこぶでは済まないだろう。
自身の身体能力の低さを恨んだ。
目を閉じ痛みを覚悟する。
直後、ドンと硬いような柔らかいような不思議なものにぶつかった。
「気を付けろと言っただろう」
黒い......学ラン。
声の主はバジル・ホーキンス。
「ば、ばばばばばじ、ばじっ、る、くん!?」
確かに同じクラスのバジルくん。
抱き止めるのではなく、ただ壁として後ろに立っている。
「な、なんで?
バジルくんの家もこっちの方?」
「いや」
では何故ここにいるのか?
彼は何も言わない。
「えと......助けてくれて、ありがとう......?」
「ああ......じゃあな」
そう言って立ち去ろうとする彼の鞄を掴んだ。
無意識だ。
おれい......お礼を!
「あ......たい焼き!
たい焼き買うから食べない!?
一緒に!!」
彼は小さく何かを呟いた後、頷いた。
隣りに並んで歩く。
「どうしてバジルくん私の後ろにいたの?
たまたま?
まさかつけてたとか?」
「まあ......後者だ」
冗談のつもりだったが、否定されなかったので少し距離をとる。
彼は私の引いた態度など微塵も気にせず前方だけを見続けている。
「学校では気を付けていたみたいだが、下校中に忘れていただろう。
怪我をすると思った」
確かに忘れていたけれど。
改札を出る。
「でもだからってこんなところまで......」
「怪我したら痛いだろう」
そうなんですけどね。
「俺も痛い」
腕を引かれる。
また人とぶつかりそうになっていたみたい。
そんなにボーッとしてる方じゃないんだけどなぁ。
今度は周りに気をつけながら彼を見上げる。
無表情だ。
とくとくとく......いつもより早めの鼓動。
これはあれだ、緊張だ。
男の子と話す機会があまりないからドキドキしているんだ。
駅からすぐそこのたい焼き屋さんに到着。
たい焼き美味しいよね。
いつもはあんこ一択だけど、今日は冒険したい気分。
ピザチーズ、君に決めた!
バジルくんはカスタードだった。
「ピザチーズとは......邪道だな」
「カスタードだって......あんこ以外は邪道だよ」
バジルくんはたい焼きを半分に割る。
その頭側をくれた。
私も2つに割って、なんとなく大きい方をあげる。
「ピザチーズ美味しい?」
「......美味しい」
─────────
たい焼きをゆっくり食べてから家に帰った。
バジルくんはここまで来たからといって、家の近くまで送ってくれた。
帰りに渡された身代わりくんを鞄につける。
早く明日になって欲しいから、今日はもう寝よう。
「バジルくんおやすみ......」
友美、友子、バジルくんは何考えてるか分かんないし、不気味だけど......いい人そうだよ。
家まで送ってくれたし、何よりたい焼きの頭をくれる人だもん。
また食べたいな。