短編
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わたくしリオは光月家に縁のある者です。
といっても遠い遠~い親戚程度なのですが、町の方たちには本当に親切にして頂いておりました。
オロチが将軍になるまでは。
あの時に家は焼かれ一家散り散りになってしまいました。
身分を隠しなんとか28年生き抜いて参りましたが、遂にオロチの手下に捕らえられ、反逆者として大勢のなかに放り込まれてしまいました。
このままカイドウに引き渡され、この世の地獄をみるのだと脅されます。
さめざめと泣くわたくしたちに見張りの手下は不思議な模様の果実を勧めてきます。
空腹のわたくし達は手下の顔を伺いながらも一つ、また一つと手に取ります。
端のほうに誰にも齧られていない果実があったので、それを口にしました。
幸か不幸か“当たり”を引いたようで、みるみるうちに姿が変わっていきます。
まさか能力者になるとは思っていなかったのでしょう。
慌てた手下は私を牢に閉じ込めます。
牢の中で自分の状態を落ち着いて確認しましょう。
まだちゃんと自分の顔は見れてませんが、指が──4本しかないのです。
鮮やかな緑色で、皮膚が細かくふつふつしてます。
腰の辺りからにょろりとした尻尾もはえております。
泣きそうになりながらペタペタと顔を触っていると、視界の端が揺れました。
カイドウの部下が上司を連れてやって来たようですね。
見ると、アイマスクにマントの殿方。
この方は、編笠村を滅ぼした、真打ちの......。
「ドレークさん、こいつです!
手違いでウェイターズにいくはずだったSMILEが紛れていたらしく......。
どうしますか?」
「......なるほど。
わかった。俺のほうで引き取ろう。
カイドウさんには俺から上手く言っておく」
部下は面倒事が片付いたと、早足で去っていきました。
牢の鍵を開けて、着いてくるように指示されます。
「名前はなんだ?」
「リオと申します、ドレーク様」
「リオか......そうか。
その、リオはヒルヤモリのSMILEなんだな。
いいと思うぞ」
移動しながらSMILEという人造悪魔の実のことを聞きました。
その実の力でヒルヤモリという動物になってしまったようです。
「お世辞は結構です......」
「いや、本心だ。
なあ、このまま俺の下で働かないか?
カイドウさんにはどうにか誤魔化しておく。
悪いようにはしない」
この人の下で働くということは、結局のところカイドウの下で働くことと同じではないのでしょうか。
カイドウとオロチは、いわばわたくしの仇。
親切にしてくれた町の方々を裏切ることになります。
しかしこのまま町へ降りても、また捕らえられてしまうでしょうね。
「お仕事の内容を、お聞きしても?」
「俺の身の回りの世話だ。
掃除や洗濯......書類の整理なんかだな。
合間に茶でも入れてくれたら助かるが」
あまりに何ともない仕事内容に拍子抜けしました。
この話が本当なら、下手に逃げ隠れするよりも都合がいいかもしれません。
今は悪いようにはしないというこの殿方の案に乗りましょう。
わたくしは恭しく頭を垂れる。
「そのお話、お受けいたします。
是非、貴方様の下で働かせて下さいませ」
チラッと見上げれば、何故か少し離れたところでガッツポーズしているドレーク様がいます。
片手で目頭を押さえていらっしゃいます。
「ドレーク様......?」
「あ、ああ、すまない......!
早速仕事を任せよう。
着いてきてくれ」
こうしてドレーク様との共同生活が始まった。
(一緒のお家に住むのは聞いてません......。
わたくし嫁入り前ですのに......ホロリ)
(遂に念願の大型爬虫類が......!
大切にしなくては!)