三十にして立つ
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息切れして酸欠をおこしそうなほど走った。
明日は筋肉痛ね!
夜になり客足が引くころ、マダムに呼び出された。
「エリカ、あんたを探してるって言う男の人が来てるんだけど......」
「え、誰かしら」
まさかキラーさんじゃないよねドキドキ。
はーいとカウンターから顔をだす。
「見つけたぞ女ぁ!!」
「ひぇ......っ!
え!?なになに??
どちら様ぁ!?」
「ずいぶん手間ぁとらせてくれたなぁ......。
ちょっと面貸せよ」
あれよあれよという間にす巻きにされ、強面の男に担がれる。
マダムは何も言わずに連れ去られる私を眺めている。
どうして!!
「マダムたすけてぇぁあああ!!」
ドアを乱暴に足で蹴り開けて、どこかへ向かう男。
上下に大きく揺れるのでお腹に肩が食い込んでくるしい!
舌噛んじゃうじゃない!!
もーー!!
「マダム......リーベラちゃん連れていかれちゃったけど、良かったの?」
「ああ......。
リーベラには、良い未来をみせてもらったよ」
煙草を燻らす彼女の横顔はどこかスッキリしていて、リーベラが連れ去られたあとをしばらく動かずに見ていた。
(あれ、ホントに動けないわ!
ピンチじゃない!?
この人どこに向かってるの!?)
マダムに見捨てられたことに涙がでるわ!
舌を噛まないように歯を食い縛っていると、どうやら目的地に着いたようだ。
頭上にはジェリーロジャーの掲げられた大きな船。
(か、海賊船......!
う、ううう売られる!?
私売られてしまうの!?)
落ち着くのよわたし。
海に落ちれば大丈夫......。
このす巻きをとってもらって、すぐに逃げればいいのよ!
「お頭、連れてきましたぜ!!」
「おうよくやった。
下がってろ」
お頭......赤い髪を逆立てて口紅引いたこの人がこの船の船長。
「お前がリーベラか?」
「そ、うです......」
「キラーを知ってるか?」
「キラーって......金髪ストライプマスクの水玉シャツのキラーさんですか?」
「そうだ。着いてこい」
(え......やだ怖い。
何かしら)
拘束はすぐに解かれたが、キラーの名前が出たことによって海へ向けられていた足が固まる。
逃げるか、着いていくか......動けずにいると船長さんが不機嫌さを隠すことなくゆらりと振り返る。
「逃げたら殺す」
......あーはいはいそうですよね。
わかりましたよ着いていけばいいんでしょう。
理解不能なことばかり起きるわ......。