三十にして立つ
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いつもよりしっかり化粧をする。
何となくよ。
特に意味はないの。
そんな気分だっただけなんだから。
カフェの備品を買い足しにスーパーへ。
「キッチンペーパーと~、漂白剤ー......っと」
会計中に空いているサッカー台をさがす。
「あ」
出入口の向こうに、黄色のふさふさがみえた。
ような気がする。
......見た目が強烈すぎて違えようがないのだけれど。
小さくため息をつく。
彼が立ち去るまで買ったものをゆーっくりと袋に詰めることにしましょう。
彼を避けてカフェへと戻る。
これからのことをぼんやりと考える。
マダムは水晶で見た未来が当たってしまったことで少しだけ気分が落ち込んでいる。
白ひげが亡くなったことで荒れ始めたこの国はギョバリーヒルズでさえ夜に出歩けなくなった。
今までよりも兵士達が気を張って守ってくれているが、王国全域を見回るのは無理がある。
やっぱり自分の身は自分で守らなければだめね!
あと少しでカフェへ着くというところで後ろから何も持っていない左手を捕まれた。
とっさに買い物袋を離し、左手をつかんでいる相手の手の上から自分の手首の間に指を引っ掛け、相手の腕をS字に曲げてそのまま腰を落とす。
まさか反撃されるとは思っていなかったのか、私が腰を落としたタイミングで膝を地面につかされた男。
あ。
ヤバイ。
この金髪は......!
バッと体を離す。
関節を決められていた右手首をぷらぷらさせて痛みを逃がしているキラーさん。
やってしまったわ!
「リーベラ......だよな」
「イエ、人違イデスヨ」
「前会ったときと印象が違うからすぐに分からなかった。
......また会えたな。
今のはいい技だった。」
「あーえとーそのぅ......ごめんなさい!!!!
さようなら!!」
逃げる。
ただひたすらに。
悪漢と間違えてごめんなさい。
会いたくなかったのよ。
なんでか分からないけれど、心がドキドキして苦しいの。
いえ、違うわ......。
分かっているけど、認めたくないの。
ごめんなさいキラーさん。
ごめんなさい。
ごめんなさいね!