三十にして立つ
名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「すまない。待たせたな」
片手を上げながら颯爽と現れたのは白と水色のストライプマスクの男。
...誰だこのマスクマン。
こいつらの仲間か?
「弟がなかなか離してくれなくてな。
あそこのアイス奢るから許してくれ」
そう言って私の手を取りながらアイスクリームパーラーへ導く。
まさかの私への助け船だったようだ。
う~む...いや、新手の強引なナンパなのでは?
突然のマスクマンの登場で唖然としていた男達はスミマセンスミマセンと頭を下げながら慌てて去っていった。
腰抜けどもめ!けっ!!
だがその気持ちも分かる。
正直マスクがめちゃ怖いので大人しく着いていく。
握った手は離れることなくアイスクリームパーラーへ一直線。
店員さん、また会いましたね。
「どれにするんだ?」
(ほんとに奢ってくれるの?
さっき食べたけどラッキー!)
さっきとは違う味のアイスをなめながら隣の男をみる。
マスクしたままストローでシェイク飲んでる...。
変わった人ね。
変わった人だけど食べ物をくれるいい人ね!
「ご馳走さまです!
スミマセン助けてもらった上にアイスまでいただいて...」
「ただの気まぐれだ...人探しに疲れて休憩したくてな」
そうですかと相づちを打った後は何を話せばいいのかわからず、ただ無心でアイスを食べた。
ちらりと顔を見てみても、マスクのせいで表情が読めない。
いい人だけど、私が人魚だと知ったらこの人も私達のことを気持ち悪いと罵るのだろうか。
隣でシェイクをズズッと飲み終える音がした。
「この辺りには詳しいのか?」
「いえ、私も今日来たばかりで...」
どうやら彼は海賊で、コーティング職人を探しているらしい。
や、やっぱり怖い人だったわ!
そうですよねどっからどうみても堅気には見えません!
「俺はもう行く。
縁があればまた会おう」
ふー、と一息ついて立ち上がった彼は絡まれるなよと言いながら去っていった。
はーい!と大きく手をふりながらふさふさの金髪を見送る。
(あれは地毛なのかしら?
ストライプに水玉にフリンジってこれまた派手ねぇ...。)