三十にして立つ
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一週間よー!
一週間たったわー!!
「今日からリーベラは正式に俺たちの仲間だ!
異論はねぇな!?お前らぁ!!」
「「「うぉおおおーー!!」」」
この一週間、何だかんだで優しくしてもらえたわ。
人間にも色々いるのね。
まぁひとえに船長さんとキラーさんが、ずっと見守ってくれていたお陰ね。
「リーベラー!」
「歓迎するぜー!」
「頑張ったな!」
「よろしくー!」
「どうもありがとう!
これまで以上に頑張るわ!
よろしくねー!!」
挨拶もそこそこに、早速新世界へ向けて出航するようだ。
そうよね。
ログは半日でたまるのに、一週間も我慢してたんだもの。
離れててもわかる。
船長さんの活力が、それはもうメラメラと燃え上がっているのが。
顔が怖いわ。
一週間で見た、どの顔よりも怖いわ。
我慢していたと言えば、キラーさん。
待ちきれなかったのか、側に来てくれる。
「リーベラ!」
「キラーさん!
一週間あっという間だったわ」
「俺は一ヶ月、二ヶ月にも思えたが......。
それよりも、本当に挨拶はいいのか?」
挨拶......今までお世話をなった皆との別れ。
「実は......糸を取りに帰ったときに、軽く済ませたの。
だから、大丈夫よ」
進行方向に体を向ける。
皆泣いてくれた。
マダムだけは全部お見通しみたいに笑っていたけど。
動き出した船。
大丈夫。
今日の海流は流れは速いけど、うねりは少ない。
自分で泳がず行く海はなんだか新鮮ね。
海流を捉えた船はぐんぐんスピードをあげる。
背後にある魚人島はもうずいぶん小さくなっただろう。
あ、ちょっと泣きそう......。
「キラーさん......やっぱり......」
「ん?」
「後で、胸、貸してちょうだい?」
「あ......ああ、もちろんだ。
今日から相部屋だしな。
そうだ、海上まではしばらくかかるだろうから......。
この場は皆に任せて部屋替えするか」
相部屋?部屋替え??
なんのことかわからず頭にはてなを浮かべる。
「この船に乗る条件を出したとき、一週間音をあげなければ晴れてキッド海賊団加入。
そして俺と相部屋という話だっただろう」
まぁ!
ふわふわ夢心地だったから覚えてなかったわ。
「あ、あいべや......そう......二人きりで、使えるのね......」
そんな......心の準備が!!
大丈夫かしら......私......。
案内された部屋を見てまず目についたのは一つしかないベッド。
これは......後で買い足すのよね。
まさか同じベッドで寝たりしないわよね。
枕が二つ置いてあるのは、キラーさんが二つとも使うのよね。
「き、キラーさん、私はどこで寝たらいいかしら」
「??
一緒に寝るだろう?」
イッショニネルダロウ?
一緒にネルだろう?
一緒に寝るだろう?
「は」
「は?」
「はうっ!!」
「リーベラ!?」
「だ、大丈夫よ......少し心臓がぎゅってなっただけ......」
「そ、そうか?
荷物は俺が運ぶから少し休め。
ベッド行くか?」
「い、いい!
座ってれば治るわ!」
過剰に反応してしまう。
彼が出ていったので、呼吸を整える。
熱くなった頬を包む。
私今夜ちゃんと寝れるかしら!?
でもでも!
これからも一緒に寝るなら早く慣れなくちゃ......。
これからも............これから、どんなことが起こるのかしら。
窓から見える海はまだまだ暗い。
地上に出たら、太陽がある。
この世の全て......とまでは言わないけれど、船の皆と、キラーさんと!
世界を見て、見て、見て!
見尽くしてやるわ!!
多くない荷物を運び込んだキラーさんに抱きつく。
故郷のことを思って少し泣いた。