三十にして立つ
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そんなこんなで海賊見習いとして一週間この船で過ごすことになったみたい。
船での仕事や過ごし方は自分で見つけないといけないらしく、キラーさんを頼ってもいけないようだ。
なぜ全部“みたい”とか“らしく”なのかと言うと、煮魚になってから暫くの記憶がないからよ。
船長さん直々に仰ったみたいなのだけれど、全く記憶にないわ。
さて、どうしようかしら。
案内された倉庫で一夜開けてから体が痛い。
ほぼ床のような場所で寝たからね。
これなら海で昆布巻いて寝た方が安眠できるわ。
クッション作らなきゃ。
適当な布をもらってチクチク縫っている。
この船すごいのよ。
恐竜の頭がついてるの。
せっかくだからと甲板に出て、木箱に座りながら繕い物をしている。
作業の合間に甲板を掃除する船員たちを眺める。
突然見習いになった人魚に対して、彼らから何か言われることはなかった。
きっと船長さんとキラーさんが計らってくれたのね。
チラチラと見てくる彼らと仲良くなるには......。
掃除の苦労を共有するのが良いんじゃないかしら?
私も潜って船底でも掃除してこようかしら。
気分転換にもなるし。
きりのいいところで糸を切り、よっと腰をあげる。
そういえばこの船なんて名前なのかしら。
なんて考えていた所に船長さんを発見。
「船長さーん!
この船の名前教えて下さいな」
「ヴィクトリアパンク号だ」
「まぁ素敵な名前!
ヴィッキーね?」
よし、行くわよー!
バッとワンピースを脱ぐ。
安心してね。
ちゃんと水着着てるから。
「は、ぁあ?」
「どうしたの変な顔して」
「あー......なんでいきなり脱いだ?
場合によっては切り刻まれるんだが?」
「水着だし大丈夫でしょう?
ちょっと船底掃除してくるわ!
見えないところも綺麗にしないとね」
海中から見上げた船は大きかった。
「でも思ったより綺麗。
これなら今日中に磨き終わりそう!」
生えた藻を硬いブラシでこする。
流石に一人ではきついわ。
お魚ちゃんたちにも手伝ってもらう。
「藻美味しい?
いっぱい食べてね」
─────────
藻だらけの船底がピカピカになったわ!
心なしかヴィッキーちゃんも喜んでる気がするし、良い仕事したわね。
誤算だったのは、海の中だと誰とも話せないってことね。
......さて、お風呂借りますか。
放置してあった服をお風呂場で洗濯しようと、桶と洗濯板を持ち出す。
脱衣場の篭の中にある船員達の服が目に入った。
ぼろぼろだわ。
一緒に洗濯して繕ってあげたら喜ぶかしら。
うーん......勝手したら悪いわよね。
はっ!!
別に普通に聞けば良いんじゃない?
上手くいけばぐんと仲良くなれるわ!
人間克服大作戦よ!
服だけに!!