春よ来い
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「はぁ~...なるほど海賊さんでしたかー」
水を持って行く間にもう一人も意識を取り戻したようだ。
目を覚ました方もといキッドさんは悪魔の実の能力者だそうで、今回の難破は特に堪えたそうだ。
キッドさんが自力で動けるまで回復したので、今は二人とも家に招いて寛いでもらっている。
家の間取りを案内しているときに拾ってきた樽や宝石箱にぶつかり躓き彼らを驚かせてしまった。
先程までグロッキーだった方に体を支えられるのはなんだか面目ない。
「てめぇ...いつもこんな感じなのか」
「あー...レイアウトが変わるといつもこうですよー。
すみませんありがとうございますー」
私はボンボンと物にぶつかりながらキッチンへ向かう。
後ろの方でハラハラしている気を感じるがいつものことだ。
構わず晩御飯を作ろう。
「ごはんでーすーよー」
二人はのそのそと食卓へやってくる。
「おー...って浜で食ったやつと同じじゃねぇか!」
「キッド、世話になってるんだ文句言うな」
テーブルの上にはもいだ果物と干し肉。
うちは毎日このメニューだ。
「小麦粉もお米もあるんですけど、目隠ししてるから料理できないんですよねー」
「目、全然見えねぇのか」
「あー......まぁ、そんな感じです」
私の中途半端な回答にキッドさんの気が揺れる。
それに気づかないふりをして曖昧に笑ってから、干し肉を小さくかじった。
特に追及されることはなかったが、その代わりにいつまでも外れない視線に居心地の悪さを感じる。
しょっぱくなった口を甘くしようと、バナナを探す。
テーブルの上で手をゆらゆらさせていると、キラーさんがバナナを差し出してくれた。
「ありがとうございますー」
「ああ。
イエイン、このナイフ借りてもいいか?」
「? どうぞー」
キラーさんはナイフで食事するタイプなのか。
でも何回も切ってる音がする。
私が不思議がっていることに気づいたのか、手を止めることなく教えてくれた。
「細くしないと食べられないんだ」
「へぇ、そうなんですかー」
(それだけで納得すんのか...)