春よ来い
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私以外誰も住んでいない小さな島。
目を隠している私が気兼ねなく住める素敵な場所。
マイスウィートアイランド。
名前はまだない。
多分これからもない。
これから前日の嵐で海岸に打ち上げられている漂着物を集めにいく。
今回の嵐はとても激しかったので、いつもより珍しいものが転がっているかもしれない。
鼻唄を歌いながら陽気に砂浜へ向かった。
目隠ししているので全て勘で判断していく。
お馴染みの流木、大小の木片、ビン、金属や宝石、魚(生きているやつはリリース)、中身の入った樽(貴重)と大きな生き物が二匹?二人?打ち上げられている。
気を失っている生き物に近づいてペタペタ触ると、どうやら人間の男らしいことがわかった。
嵐で船が転覆したのかもしれない。
こういったことは珍しくない。
島の回りの海流のおかげで遭難者や漂着物が多くある。
助けたお礼に服をもらったり外の話を聞かせてもらったりする。
さて、と1人ずつ家へ運ぼうとしたが、二人とも体が大きくて到底無理だった。
やっとの思いで波がかからないところまで引きずっていく。
疲れた。
濡れたままでいたせいでだいぶ弱ってるみたいだから少しでも温まるように火を焚く。
気休めにその辺に生っている果物をもいでおく。
家に備蓄してある干し肉とタオルもいくらか持っていくか、昼過ぎまで目覚めなかったらこれ(担架の持ち手にタイヤをつけた“人はこぶくん三号”)の出番だなー。
などと考えながら家と海岸を三度往復したところで影が動いている気配がした。
「誰だ...いや、お前が助けてくれたのか」
「わぁ、目が覚めて良かったです!
夜までこのままだったらどうしようかとー」
と気配に向けてタオルを渡す。
目の前の男は布で目を覆った私に当たり前の質問をしてきた。
「それで見えているのか?」
「いや、ぼや~っとこう...人影というか...生体エネルギーというか...そういったものを感じているだけですよー。
あ、私はイエインです」
どうぞよろしくーと頭を少し下げる。
そうかと短く切った男はキラーと名乗った。
一緒に打ち上げられていた人は自分の連れだと言うので世話は任せて一番大事な水を取りに帰る。
きっと喉が乾いているはずだ。