春よ来い
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初めて飲むお酒。
飲めば自分がどうなるかなんて知らなかったのです。
「な"んで私一人でこんな島にいなきゃいけないんですかー!!」
完全に管を巻いています。
今まで強がって一人で大丈夫だ。なんとかなる。と本当の気持ちに蓋をしていたのが、アルコールの力でそれが開いてしまいました。
おいおい泣いて泣いて、お二人が若干引いてるのも気づけないほどです。
「お父さんのばかー!
お母さんのばかー!
お兄さんのばかぁああ!!
みんなばーーーーかぁぁああ!!」
うわーん!
これが飲まなきゃやってらんねぇって気分なんですね!
「何がマイスウィートアイランドですか!
ううううっ!もおおおおっ!
飲まなきゃやってらんねぇですよ!!」
ああ!!言ってしまいました!!
グラスを机に叩きつける。
割れなくてよかった。
「できあがってんなぁ」
「俺は何回も止めたぞ」
なんで私はこんなにも涙しているのに!!
お二人は冷静に飲んでるんですか!!
もうー!!
「お二人はいいですね!
海賊だし、どこだっていけますもんねー!!
あれ、なんで海賊になったんですかー?」
ずいっとキッドさんに近づく。
ソファーに手をついたときに触った布を持ち上げてふにゃんふにゃんさせる。
これは、袖?
ふにゃんふにゃんふにゃんふにゃん。
「ねぇねぇ!ねぇねぇ!!
聞いてますかー?
教えてくださいよーキッドさんー!」
「うるせぇよ!
この酔っ払いが!
キラー!!」
「無理だ。
お前が散々飲ませたんだろうが。
責任もって教えてやれ」
きゃー、キッドさんが怒鳴ったー。
あはははは!
たのしーー!!
「ねーねーねーねーねー!
キッドさんねーってばー!!」
「ねーねーねーねーうるせぇ!
海賊王になる為に決まってんだろうが!!」
「かいぞくおー??
ってなんですか?」
「海賊王も知らねぇのかよ」
初めて聞く、あるいは覚えていないだけかもしれない単語に疑問符が飛び出す。
教えてくださーい。
「わたしはこのよからかくりされているのでーすー」
「......海賊王ってのはこの世の全てを手にしたやつのことだ」
「このよのすべて......。
きっどさんすごいですー!
つよいってことですねー!」
「そーだよそーだよ。
俺は強いぜー。
答えたからもう俺はいいだろ。
キラーに絡め」
背中の布を掴んでキラーさん側のソファーへ投げられた。
片手ですか両手ですか!?
すごい力持ちです。
さすがかいぞくおー。
「いいなぁー。
私も旅してみたいなぁー!
あ、でもなにもみれないやーあはは!」
そういえば次はキラーさんに絡むと良いらしい。
「きらーさん、うみってきれいですか?
わたし、もううみがなにいろかもおもいだせないんですー」
「綺麗だぞ。
青くて光がキラキラしていて。
朝方の海はピンク色になるんだ」
青......きらきら......ピンクってどんな色だったっけ......。
「もういっかい、みてみたいなぁ」
(めかくしとっちゃだめかなぁ......)
今はできないけど。
死ぬ直前とか......晴れてたらいいなぁ。
「医者には見てもらったのか?
見えるようになるんじゃないのか?」
「んー、たぶんめは......みえると、おもいますー。
め、かくしてる、だけなんですー......」
「............」
「ああ、訳ありか」
「そうなんですー......みられたら......しん、じゃう......って......」
瞼が落ちてきた。
暗闇からさらに暗い空間に体が沈んで行く。
「うー......ねむ、ぃ......」
イエインはソファーへもたれて寝た。
キラーが部屋に連れていった。
あいつめちゃくちゃ世話焼くな。
顔を隠してる者同士、放っておけないのかもな。
色を忘れるくらい何も見ていない。
一人のときも目を開けなかったか、目隠しを欠かさなかったってことか。
「何のためかは知らねぇが......律儀な奴だぜ」
窓から見上げた空に月はおらず。
全開にした窓からは重たく湿気った空気が酒気と入れ替わるように部屋に入ってきた。