episode.1
セリオスティア王国の首都パルティア
降りしきる雨の中 逃げるように走っている女性[メイリーン]
メイリーン:…はぁはぁ…
足を滑らせて転ぶメイリーン
メイリーン:うっ!…はぁはぁ…殺さなければ…あの女を…野放しにしては、いけない…!
鋭い眼光で先を見据えメイリーンは立ち上がりまた走り出した
パルティアの商店街
その一角にある道具屋ラジェスティ
買い物を終えた客が出ていき 店主[ラスティ]がそれを見送る
ラスティ:ありがとうございまーす!
ドアが閉まりきってから一息つくラスティ
ラスティ:ふぅ…最近はまた客が増えたなぁ。物騒な事件も増えてるし、そのせいか?まぁ、売り上げが増えてくれるのは有り難いんだけどね。
ラスティは椅子に座って新聞を広げる
そこへ慌てた様子で客が来店
やってきたのは暗い表情を浮かべたメイリーン
ラスティ:お?いらっしゃいませー
メイリーン:貴方が、鍛冶士?
ラスティ:へ?
メイリーン:(必死の形相で)貴方が、鍛冶士なの?お金を払えば、どんな武器でも造ってくれる…マテリアルイストの称号を持った鍛冶士なの?
ラスティ:ちょ、ちょっ、ちょっと待って!落ち着いて、お姉さん!
メイリーン:お金なら払うから!どれだけでも払うから…お願い!私に、武器を…あの女を殺すための武器を造って!お願い!
ラスティ:殺すための、武器…?
パルティアから少し離れた穏やかな森
小さな泉の近くで採掘をする青年[シェード]とその手伝いをする子供のドラゴン[ルグド]
ルグド:んー、どこかなぁ…マーブルいし…
シェード:無ければ他の鉱石で代用するから、無理に見つける必要はない。ルグド、少し休んでいろ。
ルグド:だいじょーぶ!ぼくよりシェードのほうがしんぱいだよ。やすまなくてもいいの?
シェード:あぁ、俺は平気だ。それにキリの良いところまで終わらせないと落ち着かない。
ルグド:そっか、じゃあぼくももうちょっとがんばる!
シェード:すまないな。
採掘を続けるシェードたちの背後にやってくるラスティ
ラスティ:おっ、やってるなー。お目当ての石は見つかったか?シェード。
ルグド:あ、ラスティ!
シェード:兄さん。どうかしたのか?
ラスティ:お前に武器を造って欲しいって依頼があってさ。急ぎだって言うから、店閉めて伝えに来たんだ。
シェード:武器を…
シェードは手を止めてラスティの方を向く
シェード:余程の事情か?そうでないなら引き受けるつもりはない。
ラスティ:わかってるよ。ちゃんと一通り話を聞いておいた。んで、お前に相談した方がいいかなって思ったから、ここへ来たんだよ。
シェード:そうか。目的は?
ラスティ:…復讐だってさ。
シェード:復讐?
ラスティ:そう。自分の両親を殺した女に復讐したいから、その女を殺すための武器が欲しいって。
シェード:………。
ルグド:ふくしゅう、って…シェードのきらいなことば…
ラスティ:あぁ。やられたらやり返すってのも一理はあるが、それを繰り返せば復讐は連鎖して終わらなくなる。そのための武器は造らないってのが、シェードの信条だ。
シェード:だが、それをわかった上で兄さんは話している。引き受けるべき内容だと思ったんだろう?
ラスティ:うーん、正直どうすべきかは俺には判断できないんだよな。ただ、放っておくべきでもないかと思ってさ。また「真紅の薔薇の魔女」絡みだったから。
シェード:…またか。これで何度目だ?
ルグド:しんくの…ばらの…?
ラスティ:真紅の薔薇の魔女。アダムス商会の女帝ノルワール・マディルスの呼び名だよ。元は特に名もない平民だった女がアダムス商会のボスに取り入って結婚、ボスが病死してからは商会を我が物にして好き勝手やってる王都の厄介者だ。
シェード:今回の依頼人も、その被害者か。
ラスティ:あぁ。依頼人の名前はメイリーン・ナルド・アダムス。
シェード:…アダムス?
ラスティ:本人曰く、病死したボス…ガディス・ロイ・アダムスの娘だそうだ。
シェード:………。
ラスティ:相談したくなった理由がわかっただろ?
シェード:…あぁ。ルグド、採掘したものを鞄に入れてくれ。
ルグド:わかったよ!
シェード:家に戻って、詳しく話を聞きたい。
ラスティ:何なら彼女と直接話すって手もあるぜ?連絡先は聞いておいた。
シェード:あぁ。すまないが、兄さんも荷物を運ぶのを手伝ってくれ。
ラスティ:了解。
☆
降りしきる雨の中 逃げるように走っている女性[メイリーン]
メイリーン:…はぁはぁ…
足を滑らせて転ぶメイリーン
メイリーン:うっ!…はぁはぁ…殺さなければ…あの女を…野放しにしては、いけない…!
鋭い眼光で先を見据えメイリーンは立ち上がりまた走り出した
パルティアの商店街
その一角にある道具屋ラジェスティ
買い物を終えた客が出ていき 店主[ラスティ]がそれを見送る
ラスティ:ありがとうございまーす!
ドアが閉まりきってから一息つくラスティ
ラスティ:ふぅ…最近はまた客が増えたなぁ。物騒な事件も増えてるし、そのせいか?まぁ、売り上げが増えてくれるのは有り難いんだけどね。
ラスティは椅子に座って新聞を広げる
そこへ慌てた様子で客が来店
やってきたのは暗い表情を浮かべたメイリーン
ラスティ:お?いらっしゃいませー
メイリーン:貴方が、鍛冶士?
ラスティ:へ?
メイリーン:(必死の形相で)貴方が、鍛冶士なの?お金を払えば、どんな武器でも造ってくれる…マテリアルイストの称号を持った鍛冶士なの?
ラスティ:ちょ、ちょっ、ちょっと待って!落ち着いて、お姉さん!
メイリーン:お金なら払うから!どれだけでも払うから…お願い!私に、武器を…あの女を殺すための武器を造って!お願い!
ラスティ:殺すための、武器…?
パルティアから少し離れた穏やかな森
小さな泉の近くで採掘をする青年[シェード]とその手伝いをする子供のドラゴン[ルグド]
ルグド:んー、どこかなぁ…マーブルいし…
シェード:無ければ他の鉱石で代用するから、無理に見つける必要はない。ルグド、少し休んでいろ。
ルグド:だいじょーぶ!ぼくよりシェードのほうがしんぱいだよ。やすまなくてもいいの?
シェード:あぁ、俺は平気だ。それにキリの良いところまで終わらせないと落ち着かない。
ルグド:そっか、じゃあぼくももうちょっとがんばる!
シェード:すまないな。
採掘を続けるシェードたちの背後にやってくるラスティ
ラスティ:おっ、やってるなー。お目当ての石は見つかったか?シェード。
ルグド:あ、ラスティ!
シェード:兄さん。どうかしたのか?
ラスティ:お前に武器を造って欲しいって依頼があってさ。急ぎだって言うから、店閉めて伝えに来たんだ。
シェード:武器を…
シェードは手を止めてラスティの方を向く
シェード:余程の事情か?そうでないなら引き受けるつもりはない。
ラスティ:わかってるよ。ちゃんと一通り話を聞いておいた。んで、お前に相談した方がいいかなって思ったから、ここへ来たんだよ。
シェード:そうか。目的は?
ラスティ:…復讐だってさ。
シェード:復讐?
ラスティ:そう。自分の両親を殺した女に復讐したいから、その女を殺すための武器が欲しいって。
シェード:………。
ルグド:ふくしゅう、って…シェードのきらいなことば…
ラスティ:あぁ。やられたらやり返すってのも一理はあるが、それを繰り返せば復讐は連鎖して終わらなくなる。そのための武器は造らないってのが、シェードの信条だ。
シェード:だが、それをわかった上で兄さんは話している。引き受けるべき内容だと思ったんだろう?
ラスティ:うーん、正直どうすべきかは俺には判断できないんだよな。ただ、放っておくべきでもないかと思ってさ。また「真紅の薔薇の魔女」絡みだったから。
シェード:…またか。これで何度目だ?
ルグド:しんくの…ばらの…?
ラスティ:真紅の薔薇の魔女。アダムス商会の女帝ノルワール・マディルスの呼び名だよ。元は特に名もない平民だった女がアダムス商会のボスに取り入って結婚、ボスが病死してからは商会を我が物にして好き勝手やってる王都の厄介者だ。
シェード:今回の依頼人も、その被害者か。
ラスティ:あぁ。依頼人の名前はメイリーン・ナルド・アダムス。
シェード:…アダムス?
ラスティ:本人曰く、病死したボス…ガディス・ロイ・アダムスの娘だそうだ。
シェード:………。
ラスティ:相談したくなった理由がわかっただろ?
シェード:…あぁ。ルグド、採掘したものを鞄に入れてくれ。
ルグド:わかったよ!
シェード:家に戻って、詳しく話を聞きたい。
ラスティ:何なら彼女と直接話すって手もあるぜ?連絡先は聞いておいた。
シェード:あぁ。すまないが、兄さんも荷物を運ぶのを手伝ってくれ。
ラスティ:了解。
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