tale.1 傀儡の天人
~天人セレスタの処刑より500年後~
【人間界】
神威島の東にあるグラディオン大陸。
大陸中央の港町トネリアは旅人が多く立ち寄る活気に溢れる町である。しかし、それに混じり荒くれ者や警備兵の姿も見受けられる。
トネリアの中央広場の噴水前にて。
旅人風の青年セトが荒くれた男2人に囲まれていた。
大柄な男 おい、てめえ。今なんて言った?
狐顔の男 もういっぺん言ってみろ!
セト いや、あの…だからさ…あ、暴れたい年頃
なのはわかるんだけどさ…その…おばちゃん
とかに暴力振るうのは…ちょっと良くない
かなー?って思って…
大柄な男 うるせえ!俺たちを誰だと思ってんだ!
このモヤシ野郎!
狐顔の男 この辺りじゃ知らない奴はいねえ!
あの「レグロナ」の一員だ!
セト れ、れぐ…??
す、すみません…俺、この町に来たばかり
だから、あんまりぃ…
大柄な男 んだとぉ?旅人か?
狐顔の男 だったら、しょうがねえ。有り金全部で
勘弁してやるよ。
セト はあ!?いや、ちょっと待って!!
それはフツーに困る!!
大柄な男 てめえの事情なんざ知るか!おら、さっさと
金よこせ、金!
セト ほ、ホント困るって!!しかも、そんなに
大したお金も持ってないし!?
必死にカバンを腕で抱えながら後ずさるセトに、恐ろしい形相でにじり寄る男2人。
狐顔の男 いいから、カバンごと寄越せ!!
片方の男がセトのカバンを掴んだと同時に、もう片方の男が声を上げて倒れる。
大柄な男 ぐああッ!!
狐顔の男 なっ、何…!?
男が仲間が倒れたことに驚いて振り返ると、そこに居たのは異国の隊服姿の騎士タスクがいた。
狐顔の男 て、てめえ!よくもやりやがったな!
俺たちが誰だか、わかってんのか!?
タスク お前こそ、俺が誰だか解っていないのか?
罪なき者に手を上げる粗暴な輩を、見逃す
わけにはいかない。大人しくしろ。
狐顔の男 ふ、ふざけやがってー!!
いきり立ち剣を抜こうとした男の後頭部を、セトが咄嗟に自分のロッドで殴る。打ち所が悪かったのか、男はそのまま倒れてしまった。
セト せ、正当防衛だからな!悪く思うなよ!
タスク ………。
セト …あ、やっぱマズかった?
タスク いや…確かに正当防衛だ。悪くはない。
僅かに笑いながら言うと、タスクは倒れた男の傍らに座り込む。そして男の服の袖をめくり、腕の紋様を確認する。
タスク やはり「レグロナ」か。
セト 何、何?そのアザみてえなの…レグロナ?
タスク 最近、この辺りの町で暴れ回っている盗賊
団だ。この腕のアザはその仲間の証だ。
セト …そういや、この町…物騒な奴ら多いよな。
タスク お前は旅人か?ならば早々に立ち去った
方がいいだろう。余計なことに巻き込まれ
たくなければな。
セト えー、俺ついさっきこの町に来たばかり
なんですけどー?
タスク 目的は?
セト 観光。
タスク だったら他の町へ行った方が楽しめる。
北のキリカ王国へ向かってはどうだ?
セト そんな追い出す方向で話進めんなよ!
…てゆーか、お前は何者?
タスク 俺はドーレンク王国騎士隊のタスクだ。
訳あって、このトネリアの警備に当たって
いる。
セト ドーレンクっていうと…海を越えて北の大陸
にあるデカイ国だろ?わざわざンな所から
派遣されてるなんて、よっぽどその…れぐ…
れぐ何とかって盗賊団に手ェ焼いてんのか。
タスク まぁな。だが今、解決に向けて俺たちも
大きく動いているところだ。じきに収束
するだろう。
セト ふーん、じゃあ俺もそれまでは宿屋に引き
こもって大人しくしてるかな。
タスク …それならば構わないが。見たところ、
大して腕が立つようにも見えないし。
セト 何かさりげなーく失礼なこと言われてねえ?
俺…。ま、いいや。
助けてくれてサンキューな、タスク。
タスク どういたしまして。
タスクは他の騎士を呼び、倒れた男たちを運び始める。
セトはその場から少し離れ、立ち止まってそれを見ていた。
セト …盗賊団ね。どこの町でも厄介事はあるもん
だなぁ。俺にはカンケーないけど。
【人間界】
神威島の東にあるグラディオン大陸。
大陸中央の港町トネリアは旅人が多く立ち寄る活気に溢れる町である。しかし、それに混じり荒くれ者や警備兵の姿も見受けられる。
トネリアの中央広場の噴水前にて。
旅人風の青年セトが荒くれた男2人に囲まれていた。
大柄な男 おい、てめえ。今なんて言った?
狐顔の男 もういっぺん言ってみろ!
セト いや、あの…だからさ…あ、暴れたい年頃
なのはわかるんだけどさ…その…おばちゃん
とかに暴力振るうのは…ちょっと良くない
かなー?って思って…
大柄な男 うるせえ!俺たちを誰だと思ってんだ!
このモヤシ野郎!
狐顔の男 この辺りじゃ知らない奴はいねえ!
あの「レグロナ」の一員だ!
セト れ、れぐ…??
す、すみません…俺、この町に来たばかり
だから、あんまりぃ…
大柄な男 んだとぉ?旅人か?
狐顔の男 だったら、しょうがねえ。有り金全部で
勘弁してやるよ。
セト はあ!?いや、ちょっと待って!!
それはフツーに困る!!
大柄な男 てめえの事情なんざ知るか!おら、さっさと
金よこせ、金!
セト ほ、ホント困るって!!しかも、そんなに
大したお金も持ってないし!?
必死にカバンを腕で抱えながら後ずさるセトに、恐ろしい形相でにじり寄る男2人。
狐顔の男 いいから、カバンごと寄越せ!!
片方の男がセトのカバンを掴んだと同時に、もう片方の男が声を上げて倒れる。
大柄な男 ぐああッ!!
狐顔の男 なっ、何…!?
男が仲間が倒れたことに驚いて振り返ると、そこに居たのは異国の隊服姿の騎士タスクがいた。
狐顔の男 て、てめえ!よくもやりやがったな!
俺たちが誰だか、わかってんのか!?
タスク お前こそ、俺が誰だか解っていないのか?
罪なき者に手を上げる粗暴な輩を、見逃す
わけにはいかない。大人しくしろ。
狐顔の男 ふ、ふざけやがってー!!
いきり立ち剣を抜こうとした男の後頭部を、セトが咄嗟に自分のロッドで殴る。打ち所が悪かったのか、男はそのまま倒れてしまった。
セト せ、正当防衛だからな!悪く思うなよ!
タスク ………。
セト …あ、やっぱマズかった?
タスク いや…確かに正当防衛だ。悪くはない。
僅かに笑いながら言うと、タスクは倒れた男の傍らに座り込む。そして男の服の袖をめくり、腕の紋様を確認する。
タスク やはり「レグロナ」か。
セト 何、何?そのアザみてえなの…レグロナ?
タスク 最近、この辺りの町で暴れ回っている盗賊
団だ。この腕のアザはその仲間の証だ。
セト …そういや、この町…物騒な奴ら多いよな。
タスク お前は旅人か?ならば早々に立ち去った
方がいいだろう。余計なことに巻き込まれ
たくなければな。
セト えー、俺ついさっきこの町に来たばかり
なんですけどー?
タスク 目的は?
セト 観光。
タスク だったら他の町へ行った方が楽しめる。
北のキリカ王国へ向かってはどうだ?
セト そんな追い出す方向で話進めんなよ!
…てゆーか、お前は何者?
タスク 俺はドーレンク王国騎士隊のタスクだ。
訳あって、このトネリアの警備に当たって
いる。
セト ドーレンクっていうと…海を越えて北の大陸
にあるデカイ国だろ?わざわざンな所から
派遣されてるなんて、よっぽどその…れぐ…
れぐ何とかって盗賊団に手ェ焼いてんのか。
タスク まぁな。だが今、解決に向けて俺たちも
大きく動いているところだ。じきに収束
するだろう。
セト ふーん、じゃあ俺もそれまでは宿屋に引き
こもって大人しくしてるかな。
タスク …それならば構わないが。見たところ、
大して腕が立つようにも見えないし。
セト 何かさりげなーく失礼なこと言われてねえ?
俺…。ま、いいや。
助けてくれてサンキューな、タスク。
タスク どういたしまして。
タスクは他の騎士を呼び、倒れた男たちを運び始める。
セトはその場から少し離れ、立ち止まってそれを見ていた。
セト …盗賊団ね。どこの町でも厄介事はあるもん
だなぁ。俺にはカンケーないけど。