tale.1 傀儡の天人
【人間界】
神々の降り立つ地、神威島 。
3つの大陸の中心にある自然豊かな孤島。
島の中央にある、やや古びた神殿。
そこへ必死になって逃げ延びてきた天人 セレスタ。緑風色の長髪を振り乱し、身体には無数の傷がある。
セレスタ …っ、はぁはぁ…。
神殿の最奥、祭壇のある場所へと辿り着く。
その祭壇には剣が飾られており、傍らには天人ティグロアの姿がある。漆黒の長髪は僅かな風に揺れていた。
セレスタ …!! ティグ、ロア…。
ティグロア やはり、ここへ来たか。セレスタ。
ティグロアは祭壇の剣を手に取ると、その切っ先をセレスタへと向けた。
ティグロア これがお前の望みか。すべてを失ってでも
得るべきものであったか?
セレスタ 違う!…私は…私はただ…すべて、
創造神アルテナ様の為…!
ティグロア 己の兄弟である天人や、
世界の秩序を守る精霊を殺めることが…
創造主の為であったと?
セレスタ わからない!わからないんだ…
何故、何故あんなことをしたのか…本当に
…何も、わからないんだ…!
ティグロア …言い訳は、それだけか。
セレスタ 信じてくれ!ティグロア!
…誰に疑われてもいい…
…誰に裏切られてもいい…
だけど、お前にだけは…嫌われたくない。
手を離して欲しくない。信じて欲しいんだ!
ティグロア ………。
セレスタ ティグロア!!
涙を流して嘆願するセレスタに、ティグロアは静かに剣を振る。その切っ先が僅かにセレスタの頬に触れ、そこからゆっくりと血が流れ出した。
セレスタ …っ!?
ティグロア 創造神アルテナ様の教えだ、よく聞け。
我々「天人」は神々に忠誠を誓い、
人間界・天界・神界の秩序を守るために
造られた存在。地上のすべての存在を守り、
仲間を尊び、生きていくべきなのだ。
お前は、その秩序に背いた。故に…
罰を与えなければならない。
セレスタ …殺すのか?私を…
ティグロア あぁ、そうだ。この世界に秩序を乱す
《混沌 》は必要ない。
セレスタ …では、何故…私は生まれたんだ?世界に
…必要とされていないのに…
どうして私は《混沌 》の名を持って
生まれてきたんだ!?
ティグロア …すべては創造神アルテナ様の意のままに。
セレスタ …ッ!!
かっとなりセレスタは手にしていたロッドをティグロアへとかざす。そこから発せられた雷撃を、ティグロアは剣で弾いた。
ティグロア …セレスタ。
セレスタ いつか消されるために生まれた…
それを知っていて、どうして私を育てた?
どうして知識を与えてくれた?
どうして優しくしてくれた?
どうして…生まれたその瞬間に殺して
くれなかったんだ!!
セレスタ、叫びながらロッドを構えてティグロアへと向かう。ティグロアはそれを片腕で受け止めると、咄嗟にもう片方の手でセレスタの腹部に剣を突き刺した。
セレスタ …っ…!!
…ちゃんと、答えてくれ…ティグロア…。
訴えるようにティグロアの纏うマントを掴むが、次第に力が弱まり、崩れ落ちるセレスタ。
ティグロアはゆっくり剣を抜くと、セレスタの体を静かに床へと横たわらせる。
ティグロア …すまない、セレスタ。
震えた声で小さく呟くと、ティグロアは剣を握り締め、セレスタの胸にそれを突き立てた。
神々の降り立つ地、
3つの大陸の中心にある自然豊かな孤島。
島の中央にある、やや古びた神殿。
そこへ必死になって逃げ延びてきた
セレスタ …っ、はぁはぁ…。
神殿の最奥、祭壇のある場所へと辿り着く。
その祭壇には剣が飾られており、傍らには天人ティグロアの姿がある。漆黒の長髪は僅かな風に揺れていた。
セレスタ …!! ティグ、ロア…。
ティグロア やはり、ここへ来たか。セレスタ。
ティグロアは祭壇の剣を手に取ると、その切っ先をセレスタへと向けた。
ティグロア これがお前の望みか。すべてを失ってでも
得るべきものであったか?
セレスタ 違う!…私は…私はただ…すべて、
創造神アルテナ様の為…!
ティグロア 己の兄弟である天人や、
世界の秩序を守る精霊を殺めることが…
創造主の為であったと?
セレスタ わからない!わからないんだ…
何故、何故あんなことをしたのか…本当に
…何も、わからないんだ…!
ティグロア …言い訳は、それだけか。
セレスタ 信じてくれ!ティグロア!
…誰に疑われてもいい…
…誰に裏切られてもいい…
だけど、お前にだけは…嫌われたくない。
手を離して欲しくない。信じて欲しいんだ!
ティグロア ………。
セレスタ ティグロア!!
涙を流して嘆願するセレスタに、ティグロアは静かに剣を振る。その切っ先が僅かにセレスタの頬に触れ、そこからゆっくりと血が流れ出した。
セレスタ …っ!?
ティグロア 創造神アルテナ様の教えだ、よく聞け。
我々「天人」は神々に忠誠を誓い、
人間界・天界・神界の秩序を守るために
造られた存在。地上のすべての存在を守り、
仲間を尊び、生きていくべきなのだ。
お前は、その秩序に背いた。故に…
罰を与えなければならない。
セレスタ …殺すのか?私を…
ティグロア あぁ、そうだ。この世界に秩序を乱す
《
セレスタ …では、何故…私は生まれたんだ?世界に
…必要とされていないのに…
どうして私は《
生まれてきたんだ!?
ティグロア …すべては創造神アルテナ様の意のままに。
セレスタ …ッ!!
かっとなりセレスタは手にしていたロッドをティグロアへとかざす。そこから発せられた雷撃を、ティグロアは剣で弾いた。
ティグロア …セレスタ。
セレスタ いつか消されるために生まれた…
それを知っていて、どうして私を育てた?
どうして知識を与えてくれた?
どうして優しくしてくれた?
どうして…生まれたその瞬間に殺して
くれなかったんだ!!
セレスタ、叫びながらロッドを構えてティグロアへと向かう。ティグロアはそれを片腕で受け止めると、咄嗟にもう片方の手でセレスタの腹部に剣を突き刺した。
セレスタ …っ…!!
…ちゃんと、答えてくれ…ティグロア…。
訴えるようにティグロアの纏うマントを掴むが、次第に力が弱まり、崩れ落ちるセレスタ。
ティグロアはゆっくり剣を抜くと、セレスタの体を静かに床へと横たわらせる。
ティグロア …すまない、セレスタ。
震えた声で小さく呟くと、ティグロアは剣を握り締め、セレスタの胸にそれを突き立てた。
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