愛させて
8月下旬。夏が終わろうとしているはずなのに蒸し暑く、頬に汗が落ちる。夏の野外ライブも終わり、忘れていた宿題を取り掛からないといけない事を思い出し憂鬱になる。勉強なんて自分には必要ない。ギターや音楽をやる為に必要のない事はしない。別に教師に怒られようが、親に苦い顔をされようが構わない。元々教師に突っかかられる事は多いし、親には親らしい事をされた記憶も無くそれを承知で言葉にされない。それでも自分が宿題をしないとと思うのには理由がある。その原因の彼から電話があった。ため息をつきながらも通話ボタンを押す。
「...なんだよ、朔。」
気だるそうで尖った物言いになったと自分でも少し思う。
『なんだじゃないだろ。凛十、宿題は終わってるのか?』
言われると思った内容を聞かれてやっぱりなと思いつつ舌打ちをした。
スマホの奥でため息が聞こえた気がしたが聞こえなかったフリをした。
「...どうでもいいだろ。てか朔には関係ないだろ。」
思わず心にもない言葉を吐いてやらかしたと思ったが遅かった。
『...どうでも良くないだろ。バンド活動停止にでもされたらどうする。...とにかく今度宿題手伝いに行くからな。』
そう如何にも頭が痛くなったと言わんばかりの声で言われた事に無性に腹が立った。
「うるせぇ、要らないから来るなよ。話はそれだけかよ、切るぞ。」
『...おいっ凛十!!』
彼の言葉を無視して強引に電話切った。
はぁ...と2度目のため息をつく。どうせ彼の事だから来るなと言っても来るんだろうなと思った。正直そう思いたかった。
別に彼が悪い訳ではない。それは分かっている。喧嘩もしていない。ただ自分の気持ちの問題だった。
野外ライブの後の打ち上げでの事だった。ライブは盛り上がりその熱が自分達を酔わせ、更にライブが盛り上がった。その為全員が満身創痍という風になり汗を含む服が肌に纏わりついた。それがあまりにも気持ち悪くてシャワーを浴びる事にした。嵐に4人で仲良くシャワー浴びるか?と笑いながら言った事を無視し、千里の勝手に1番に入るなという言葉を無視して1人でシャワー室に入った。入って少しすると扉が開いた音がした。思わず振り返ると眠そうな朔が自分が入っている事を知らずに入って来た。あまりにも疲れてますという顔をしていて、流石に追い出そうとは思わず一緒に浴びようとした。しかし朔は浴びようとした瞬間倒れた。自分の胸元に。思わずドキッとして思考回路が停止したがすぐにタオルを持ってきてソファに寝かせた。あまりの慌てぶりに嵐も千里も驚いていたが朔が高熱を出していた事が分かりそれどころではなかった。とりあえず処置をした後、自分が朔の家まで連れて行く事になった。仕方なくおぶって帰路を辿る。朔は自分より体重が重いはずなのに何故か軽く感じる。
そして、先程から残る胸元の人の体温。それを感じる度に心臓が痛い。ふと、朔の顔を見ると、整っていていて今は火照っている顔が何処か色っぽい。髪は艶があり鼻筋は通っていて、紅い瞳は眼を閉じている為見る事は出来ない。そして思わず触れたくなる唇。
...は?朔相手に何を考えているんだ...
気持ち悪っと思い自分を嘲笑する。でも少しだけと思い顔を近付ける。すると目の前にいた朔に唇を奪われた。思わず動揺して大声を出そうとしたが、深夜で住民街を歩いている為必死に抑えた。朔はふにゃっと笑い熱のせいで少しトんでるのかもしれない。ただ何時もと違う声で凛十のファーストキスゲット〜〜とか巫山戯た事を言っている。酔っ払いかよと思う気持ちは抑えられない。何処にもぶつけられないモヤモヤした気持ちに苛立ちつつ、朔の家に着いて引き取ってもらった。
そして自分の家に戻る時にモヤモヤした気持ちの意味が分かった気がした。それは自分でも納得がいかず、気付かない事にしている。でもどんだけ答えを、探しても「恋」の1文字しか浮かばなかった。
それを否定したくて、今は彼を避けている。
しかし、その行動によって益々否定が出来なくなっていた。
本当は来て欲しいって思ってるなんて女々しすぎだろ、そう思いつつこの感情をどうにか否定したかった。
新海凛十は、
「加賀見朔に恋してしまった。」
「...なんだよ、朔。」
気だるそうで尖った物言いになったと自分でも少し思う。
『なんだじゃないだろ。凛十、宿題は終わってるのか?』
言われると思った内容を聞かれてやっぱりなと思いつつ舌打ちをした。
スマホの奥でため息が聞こえた気がしたが聞こえなかったフリをした。
「...どうでもいいだろ。てか朔には関係ないだろ。」
思わず心にもない言葉を吐いてやらかしたと思ったが遅かった。
『...どうでも良くないだろ。バンド活動停止にでもされたらどうする。...とにかく今度宿題手伝いに行くからな。』
そう如何にも頭が痛くなったと言わんばかりの声で言われた事に無性に腹が立った。
「うるせぇ、要らないから来るなよ。話はそれだけかよ、切るぞ。」
『...おいっ凛十!!』
彼の言葉を無視して強引に電話切った。
はぁ...と2度目のため息をつく。どうせ彼の事だから来るなと言っても来るんだろうなと思った。正直そう思いたかった。
別に彼が悪い訳ではない。それは分かっている。喧嘩もしていない。ただ自分の気持ちの問題だった。
野外ライブの後の打ち上げでの事だった。ライブは盛り上がりその熱が自分達を酔わせ、更にライブが盛り上がった。その為全員が満身創痍という風になり汗を含む服が肌に纏わりついた。それがあまりにも気持ち悪くてシャワーを浴びる事にした。嵐に4人で仲良くシャワー浴びるか?と笑いながら言った事を無視し、千里の勝手に1番に入るなという言葉を無視して1人でシャワー室に入った。入って少しすると扉が開いた音がした。思わず振り返ると眠そうな朔が自分が入っている事を知らずに入って来た。あまりにも疲れてますという顔をしていて、流石に追い出そうとは思わず一緒に浴びようとした。しかし朔は浴びようとした瞬間倒れた。自分の胸元に。思わずドキッとして思考回路が停止したがすぐにタオルを持ってきてソファに寝かせた。あまりの慌てぶりに嵐も千里も驚いていたが朔が高熱を出していた事が分かりそれどころではなかった。とりあえず処置をした後、自分が朔の家まで連れて行く事になった。仕方なくおぶって帰路を辿る。朔は自分より体重が重いはずなのに何故か軽く感じる。
そして、先程から残る胸元の人の体温。それを感じる度に心臓が痛い。ふと、朔の顔を見ると、整っていていて今は火照っている顔が何処か色っぽい。髪は艶があり鼻筋は通っていて、紅い瞳は眼を閉じている為見る事は出来ない。そして思わず触れたくなる唇。
...は?朔相手に何を考えているんだ...
気持ち悪っと思い自分を嘲笑する。でも少しだけと思い顔を近付ける。すると目の前にいた朔に唇を奪われた。思わず動揺して大声を出そうとしたが、深夜で住民街を歩いている為必死に抑えた。朔はふにゃっと笑い熱のせいで少しトんでるのかもしれない。ただ何時もと違う声で凛十のファーストキスゲット〜〜とか巫山戯た事を言っている。酔っ払いかよと思う気持ちは抑えられない。何処にもぶつけられないモヤモヤした気持ちに苛立ちつつ、朔の家に着いて引き取ってもらった。
そして自分の家に戻る時にモヤモヤした気持ちの意味が分かった気がした。それは自分でも納得がいかず、気付かない事にしている。でもどんだけ答えを、探しても「恋」の1文字しか浮かばなかった。
それを否定したくて、今は彼を避けている。
しかし、その行動によって益々否定が出来なくなっていた。
本当は来て欲しいって思ってるなんて女々しすぎだろ、そう思いつつこの感情をどうにか否定したかった。
新海凛十は、
「加賀見朔に恋してしまった。」
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