星詠み【side story】
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炭治郎が目覚めたという吉報を聞いた宇随は、足早に蝶屋敷へと向かった。
上弦の陸との闘い、あれは文字通り死闘であり、彼等は本当によく闘った。お陰で誰一人仲間を死なせずに帰る事が出来たのだ。
炭治郎は、あの夜から実に2か月が経過してようやく意識を取り戻したらしい。
何とか直接、礼を言いたかった。
「よう竈門、俺だ、宇随だ。入るぞ」
扉越しに声をかけると、中から明るい調子でどうぞという声が聞こえた。
戸を開ければ、まだ痛々しい包帯があちこちに巻かれてはいるものの、すっかり元気を取り戻した彼の姿があった。
「お久しぶりです宇随さん。俺が眠ってる間も度々見舞いに来てくださってたと聞きました。ありがとうございます」
彼はそう言って丁寧に頭を下げるが、頭を下げたいのは俺の方だ。
「そんな事は気にするな。俺の方こそ感謝している。お前達がいなきゃあの闘いは勝てなかった。そんな怪我負わせちまって本当にすまなかったな。..お前の家族も」
そう伝えると炭治郎は僅かに瞳を揺らした。そしてこう語り始める。
「確かに、最初はふざけるなって思ってたのは事実です。俺の事はどうだっていいんですけど、禰豆子と、日向子姉さんは...俺の命よりも大事な人達だから」
「...あぁ」
そうだろう。こいつが鬼である妹を心底大事にしているのも、姉に焦がれた想いを抱いてるのも、側から見ていればわかる。
「でも、ふと思ったんです。彼女達も鬼のせいで苦しむ人達を黙って見ていられない。そりゃあ俺も、寿命が縮まる思いを何度もしてきましたけど、もうそれを受け入れるしかないなって、俺が、守れるくらい強くなればいい話だなって思いました。
日向子姉さん、鬼を倒した後言ってたんです。何はともあれ結果オーライならそれでいいって。だから謝らないでください宇随さん。」
こいつは..
本当に自分の事等どうでもいいのだ。
それよりも家族と恋い慕う女の無事を心から喜び、幸せを噛み締めている。
そういう奴は俺は嫌いじゃない。
「お前みたいな奴は必ず伸びる。安心しろ!俺が派手に保証するさ」
がしがしと頭を撫でると彼は嬉しそうに顔を綻ばせる。
「竈門」
「はい?」
「必ず日向子、ものにしろよ」
「っな!..」
と思えば顔を真っ赤にし狼狽るものだから、つい世話を焼きたくなってしまった。初心だな、可愛い奴め。
「俺はいつでも協力するぜ」