星詠み【side story】
名前
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
慎ましくも幸せな安らぎの日々。
そんな日常の中には、常に暖かい笑みを浮かべる貴女がいた。
ー日向子姉さんー
もう二度と
貴女のその温もりを感じる事も、日溜りのような笑顔を向けられる事も、叶わないのだろうか...
ーーーーーー
夜目を瞑ると、日向子姉さんに送り出された最後の日の情景をよく夢に見た。
「炭治郎!これも付けていって。気休めにしかならないかもしれないけれど、幾分暖かい筈だから」
そう言って、炭治郎の首に手製の襟巻きを巻きつけてくれる。一瞬触れたその指先は驚く程暖かくて、心が穏やかになった。
ただ...彼女の瞳は不安に揺らぎ、行かないで、ここに居てと言われているような気がしたのに、俺はついにはその手を離してしまう。
そして、夢の最後には決まって彼女はこう言った。
「炭治郎...何で守ってくれなかったの」
「っー!」
その瞬間、冷や汗を全身から吹き出させ、一気に眠りから覚醒する。異常に呼吸が浅く、じんわりと視界が滲んだ状態のまま目線を動かすと、鱗滝さんが静かに佇んでいた。
「...大丈夫か?随分とうなされていたが」
「..鱗、滝さん」
夢だとわかって、僅かに落ち着きを取り戻す。
そんな彼の額の汗を、鱗滝さんは優しい手付きで拭ってくれた。
「嫌な悪夢を見たのだな。」
「....っはい」
あの時、俺が山を降りなければ..
日没までに家に戻れていれば..
そうすれば、何かが変わっていたのだろうか?
そう思わない日はなかった。
あの惨劇から、とうとう1年余りが経とうとしている。
彼女との再会は未だに叶わない。
日向子姉さんがまだこの世に生きているのかも、死んでいるのかすらわからない。
...望みは乏しいと、思い始めていた。
そんな考えが頭をよぎる度に、張り裂けそうな胸の痛みに襲われる。
何故なら彼女には何も伝えていない。
何も出来ていない。
本当に、何もだ...
俺は前に進むのに、彼女はあの時のままの姿で、俺の記憶の中、手の届かぬ場所で、ただ微笑むばかり。
彼女に貰った襟巻も、時が経過すればする程匂いが褪 せていく。
なのに、彼女への焦がれた想いだけは、色褪せる事なく残り..
嫌だっ..
苦しい.....
彼女の居ない時間の経過が、酷く堪え難かった。
「日向子姉さん...好き、好きだ。ごめんな、守れなくてごめん、会いたい..会いたいよ...」
伝えられなかった思いを、ただうわ言のように繰り返すしか叶わない。
ーーーーー
そんな日常の中には、常に暖かい笑みを浮かべる貴女がいた。
ー日向子姉さんー
もう二度と
貴女のその温もりを感じる事も、日溜りのような笑顔を向けられる事も、叶わないのだろうか...
ーーーーーー
夜目を瞑ると、日向子姉さんに送り出された最後の日の情景をよく夢に見た。
「炭治郎!これも付けていって。気休めにしかならないかもしれないけれど、幾分暖かい筈だから」
そう言って、炭治郎の首に手製の襟巻きを巻きつけてくれる。一瞬触れたその指先は驚く程暖かくて、心が穏やかになった。
ただ...彼女の瞳は不安に揺らぎ、行かないで、ここに居てと言われているような気がしたのに、俺はついにはその手を離してしまう。
そして、夢の最後には決まって彼女はこう言った。
「炭治郎...何で守ってくれなかったの」
「っー!」
その瞬間、冷や汗を全身から吹き出させ、一気に眠りから覚醒する。異常に呼吸が浅く、じんわりと視界が滲んだ状態のまま目線を動かすと、鱗滝さんが静かに佇んでいた。
「...大丈夫か?随分とうなされていたが」
「..鱗、滝さん」
夢だとわかって、僅かに落ち着きを取り戻す。
そんな彼の額の汗を、鱗滝さんは優しい手付きで拭ってくれた。
「嫌な悪夢を見たのだな。」
「....っはい」
あの時、俺が山を降りなければ..
日没までに家に戻れていれば..
そうすれば、何かが変わっていたのだろうか?
そう思わない日はなかった。
あの惨劇から、とうとう1年余りが経とうとしている。
彼女との再会は未だに叶わない。
日向子姉さんがまだこの世に生きているのかも、死んでいるのかすらわからない。
...望みは乏しいと、思い始めていた。
そんな考えが頭をよぎる度に、張り裂けそうな胸の痛みに襲われる。
何故なら彼女には何も伝えていない。
何も出来ていない。
本当に、何もだ...
俺は前に進むのに、彼女はあの時のままの姿で、俺の記憶の中、手の届かぬ場所で、ただ微笑むばかり。
彼女に貰った襟巻も、時が経過すればする程匂いが
なのに、彼女への焦がれた想いだけは、色褪せる事なく残り..
嫌だっ..
苦しい.....
彼女の居ない時間の経過が、酷く堪え難かった。
「日向子姉さん...好き、好きだ。ごめんな、守れなくてごめん、会いたい..会いたいよ...」
伝えられなかった思いを、ただうわ言のように繰り返すしか叶わない。
ーーーーー