◆第拾章 未曾有の襲撃
貴女のお名前を教えてください
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〜266【集結】〜
頚を切った、本来であればそこで鬼の細胞は崩れ消滅していく筈だった。
しかし...
ー分裂したッ⁉ー
無一郎の放った攻撃により首と胴体が分たれた。その両方からメキメキと細胞が生えて、やがて一匹の鬼から容姿の異なる二匹の鬼へと変貌を遂げる。
「後ろは俺が!」
となれば、やはり上弦の陸のように同時にまた頚を切る必要があると炭治郎は考えた。迷っている暇はない。一方は時透君に任せて...
フオッ..
それは一瞬の出来事だった。
鬼が八つ手の葉を振り上げると、もろに風を受けた炭治郎らは凄まじい勢いで建物の壁諸共吹き飛ばされる。
「っ!時透君」
辛うじて炭治郎は咄嗟に反応した禰豆子に手を掴まれて飛ばされずに済んだものの、無一郎とは物理的に距離を離された。
「カカカッ楽しいのう豆粒が遠くまでよく飛んだ。のう?積怒」
「何も楽しくはない。儂はただひたすら腹立たしい。可楽、お前と混ざっていた事も」
積怒、可楽、そう呼び合う二匹の鬼は容姿はもちろん、性格も全く異なるようだ。妓夫太郎達のように、こいつらも兄弟なのか?
同時に頚を切るべきだと思ったが、よく考えればまた分裂して同じような鬼をさらに生み出したら、多勢に無勢過ぎる。
どうしたらっ..
考えあぐねているうちに、錫杖 を持った鬼が勢いよくそれを床に突き刺した。
バリバリと雷撃のような衝撃が、床を伝わり炭治郎達の元へと放たれる。
「ッ!!」
ーまずい意識がッ..飛びそうだー
意識を手放しそうになる寸前だった。ふと雷撃が止み、ザンと目の前に炭治郎達を守るような形で誰かが刀を構える。
「私の家族に手出したら許さないわよ!」
良かった姉さん..無事だった
見ると彼女が放ったであろう斬撃が、鬼の体をズタズタに切り裂いており、その箇所からはシュウウウと焼け焦げた臭いが発させれている。巫の異能を使った証拠だ。
しかしお陰で、鬼達に相当なダメージを与えられている。彼女の力添えがあれば、突破の策が見つかるかもしれない。
「おぉ..これは、面白いのう!貫かれた箇所がなかなか再生しない、小娘ぇ..お前さてはあの方が仰っていた巫一族か?だとしたら喜ばしいことだの!」
「面白いわけがあるか!苛々させおって..」
錫杖鬼が再び雷を放とうとした瞬間
「玄弥君っ!」
屋根の上を見ると、玄弥が銃のような武器を構えていた。直後、火が吹いたそれは鬼の頚を吹き飛ばした。
ーーーーー
〜267【鬼の狙い】〜
玄弥は舌打ちをする。
急所を断つ目的で放った玉だが、僅かに狙いが逸れ一匹仕留め損なってしまった。
屋根から降り立ち、すかさず日輪刀で止めを刺そうとした時、炭治郎が叫んだ。
「日向子姉さん玄弥!駄目だ!どんなに強い武器でもこの鬼はっ」
日向子はハッとする。玄弥を制そうとしたが遅かった。彼が振り切った刀は、仕留め損ねた鬼の頚を切断させてしまう。
その瞬間、鬼はにやりと口角を上げた。
「切ったら切っただけ分裂する鬼だっ!若返ってる、強くなるんだ!」
日向子達はこの鬼の原形を知らなかった。
単純に【頚を切る事だけ】では倒せない鬼であっても、まさか...頚を切る事で【こちらが不利になる鬼】が存在するなど思いもしなかったのだ。
ー私は判断を間違えたー
炭治郎が危惧 していた通り、鬼の細胞はそれ以外を補うように急速に再生していく。
完全な個体となり増殖する前に、どうにか手立てを考えねばと、炭治郎は頭をフル回転させた。
ー鬼なら必ず急所はあるー
煉獄さんが言っていたという言葉。
今まで倒して来たどの鬼も突破口はあった。
弱点のない鬼は居ないんだ。
探せ
見極めろ!
「っ!」
突如ぐんと足が上に引っ張られる感覚がした。
他の鬼に気を取られていた一瞬の隙で、大きな翼を持つ新たな鬼が炭治郎の足を掴み、みるみるうちに地面との距離を引き離していく。
「カカカッ喜ばしいのう。分かれるのは久方振りじゃ!」
「炭治郎ーっ!」
日向子が空を見上げた時、横から槍の切っ先が飛んできた。すんでのところで受け流したが、すぐに第二撃が放たれたので、目の前の鬼に集中せざるを得ない。
「っ!」
「ほう、女子 とは言え、やはり鬼狩りとして鍛えてきただけの事はある。だが...」
「「【儂ら】相手にどこまで耐えられるか」」
三体の鬼は一斉に日向子を目標に定め攻撃を繰り出してきた....
炭治郎は眼下の様子を目の当たりにして憤怒にわなないた。
日向子姉さんに狙いを絞り攻撃しているのか?
まずいぞ...
「禰豆子っ!俺に構うな日向子姉さんを守ってくれっ!」
炭治郎の言葉を聞き禰豆子はすぐさま日向子の元につき他の鬼の攻撃を弾く。
玄弥もまた敵の意図を察して、大胆にも交戦している槍鬼と日向子の間に入った。
槍鬼は非常に不愉快そうに眉を潜める。
「お前のような呼吸の使えぬ雑魚 に興味はない。」
ーーーーー
〜267【攻略法の模索】〜
ー何故日向子姉さんを狙う!ー
一刻も早く彼女の元へと行きたいのに、よりにもよって身動きの取りづらい空中へと引き離されてしまった。
もしや、彼女が巫一族で星の呼吸使いである事が関係しているのか?
「カカカっ!あの娘は厄介だからのう。だが、【呼吸の使い手】と引き離せば後は造作もない。」
「っ!」
やはり鬼の目的は、彼女と炭治郎ら呼吸の使い手と引き離す事だった。
時透を早々に吹き飛ばしたのも、日向子と柱の彼を組ませる事を恐れたからだろう。
という事は、呼吸の増強効果の型を持つ、星の呼吸の特性が割れている。
炭治郎達が鬼と対峙する度に、鬼の変則的な特性を経験値として得ていくと同じように、敵側も同様という事だ。
例え鬼を倒したとしても、その細胞の記憶を通じて、親玉の元へと情報が流れているのか?
ー鬼舞辻無惨...ー
「玄弥君っーー!!」
日向子姉さんの悲痛な叫び声が聞こえる。眼下に目を向けると、槍の切っ先が玄弥の鳩尾 を貫いていた。
彼女は怒りの矛先を哀絶へと向ける。
しかし背後に回っていた積怒の錫杖が、日向子を狙い振り下ろされようとしていた。
まずいまずいまずいっ
「禰豆子っー!二人を助けろ!急げ!」
「他人の心配とは余裕があるのう」
「っ!」
空喜は口を開けると何かを繰り出そうとしているのか、キィィィと音をたてて空気を吸い込み始めた。
こんな奴の相手をしている場合ではないっ
炭治郎は柄を握る腕に力を込めた。しかし、先に攻撃を放ったのは鬼の方で、空中では避けようもなく超音波のようなものをもろに食らってしまう。
「...ふふん、やるのう。これはなかなか喜ばしいぞ」
空喜は舌舐めずりをした。
炭治郎は攻撃を食らった衝撃により体の内部から出血したものの、同時に鬼の脚を刀で切断させた為、本体から逃れる事に成功する。
真っ逆さまに落ちていく過程で激しく頭が揺れる中、枝葉に捕まり落下の衝撃を可能な限り和らげた。
「っぅ....」
体が痺れてる、耳も聞こえない。
でも、日向子姉さん達の元へ早く戻らないと..里の人達も危ない。
しかし鬼は休むどころか考える間も与えてなどくれないのだ。
本体と切り離した脚は既に頭の形を成しており、新たに攻撃を繰り出そうとしてくる。
ーくそっ!ー
咄嗟に腕を振り上げ頚を切り裂いてしまった。
何か...何か斬る以外の攻略法を見出さなければっ
ーーーーー
〜268【勝利への方程式】〜
これだけ細切れにしても尚、頚から上の形を成し炭治郎を襲おうとする。
先程と同じ超音波の攻撃を放ってきた。
ギャィィィィとつんざくような音波。その波長を受けてある事に気付く。
そうか..なるほど
ー攻撃の威力が、落ちてるー
炭治郎はニヤリと広角を上げた。この鬼の特性がわかった。
分裂し頭と胴体の完全形を保ってられるのはあの四体まで。ちらりと見えた喜怒哀楽の文字。
恐らく、その【4体の状態】が1番強いと炭治郎は確信した。
ただ俺が無意味に攻撃を食らってるだけと思うなよ。
ー必ずお前らを滅してやるー
ドスリと刀を口に突き刺した。直後、背後から本体の匂いを察知する。
炭治郎は身を翻 して、超音波攻撃を避けると、ちきりと刀を握り直し翼鬼を睨みつける。
倒さなければ、一体でも
早く戻らないとっ..彼女達が危ない
鬼は加速に備えて上体を反り上げた。
どんな攻撃を出してこようとも怯 まない。
無傷で倒せる相手とは毛頭思ってはいない。
炭治郎はヒュウっと息を吸い上げた。
見定めろ【鬼の急所】を
ビシャっと血飛沫が舞う、その赤を見て鬼はふははと高らかに笑った。
「どうだ俺の爪は!この速度!切れ味!金剛石をも砕く威力だ!震えるがいい、もっと歓喜の血飛沫をあげて見せろ!」
「お前もな」
っ!
確かに鬼の爪は炭治郎の体を切り裂いた。
だが、炭治郎の刃もまた鬼の頭に届き、真っ二つに切り裂いたのだった。
斬られた事を目視、出来なかった。
人間の身体能力などたかが知れているというのに
鬼はにわかに信じ難い状況に目を見開く。
その油断を好機に変え、喜と印された鬼の舌目掛けて炭治郎は続け様に斬撃を放った。
ーーーーー
一方、
哀絶の槍に突き上げられた玄弥を見た日向子は、激しい憤りに身を震わせた。
彼女を庇う様に前に現れた彼は、刀を振り上げるもその数倍早い手捌 きで槍に穿 たれた。ごふりと血が口から飛び散る。
考えるよりも早く、日向子は哀絶に向かって日輪刀を振りあげようとするが、
しかしその背後からは錫杖が迫っていた...
「日向子姉さんっ!!」
頭上から炭治郎が叫ぶ声が聞こえる。
積怒はこの一撃で日向子に致命傷を与えるつもりだった。
怒り以外の感情を持ち合わせない自分が、歓喜に震えるような感覚さえした。
なのに
彼女はこちらに目線を向ける事なく、錫杖を持つ腕を切り裂いたのだった。
ーーーーーー
頚を切った、本来であればそこで鬼の細胞は崩れ消滅していく筈だった。
しかし...
ー分裂したッ⁉ー
無一郎の放った攻撃により首と胴体が分たれた。その両方からメキメキと細胞が生えて、やがて一匹の鬼から容姿の異なる二匹の鬼へと変貌を遂げる。
「後ろは俺が!」
となれば、やはり上弦の陸のように同時にまた頚を切る必要があると炭治郎は考えた。迷っている暇はない。一方は時透君に任せて...
フオッ..
それは一瞬の出来事だった。
鬼が八つ手の葉を振り上げると、もろに風を受けた炭治郎らは凄まじい勢いで建物の壁諸共吹き飛ばされる。
「っ!時透君」
辛うじて炭治郎は咄嗟に反応した禰豆子に手を掴まれて飛ばされずに済んだものの、無一郎とは物理的に距離を離された。
「カカカッ楽しいのう豆粒が遠くまでよく飛んだ。のう?積怒」
「何も楽しくはない。儂はただひたすら腹立たしい。可楽、お前と混ざっていた事も」
積怒、可楽、そう呼び合う二匹の鬼は容姿はもちろん、性格も全く異なるようだ。妓夫太郎達のように、こいつらも兄弟なのか?
同時に頚を切るべきだと思ったが、よく考えればまた分裂して同じような鬼をさらに生み出したら、多勢に無勢過ぎる。
どうしたらっ..
考えあぐねているうちに、
バリバリと雷撃のような衝撃が、床を伝わり炭治郎達の元へと放たれる。
「ッ!!」
ーまずい意識がッ..飛びそうだー
意識を手放しそうになる寸前だった。ふと雷撃が止み、ザンと目の前に炭治郎達を守るような形で誰かが刀を構える。
「私の家族に手出したら許さないわよ!」
良かった姉さん..無事だった
見ると彼女が放ったであろう斬撃が、鬼の体をズタズタに切り裂いており、その箇所からはシュウウウと焼け焦げた臭いが発させれている。巫の異能を使った証拠だ。
しかしお陰で、鬼達に相当なダメージを与えられている。彼女の力添えがあれば、突破の策が見つかるかもしれない。
「おぉ..これは、面白いのう!貫かれた箇所がなかなか再生しない、小娘ぇ..お前さてはあの方が仰っていた巫一族か?だとしたら喜ばしいことだの!」
「面白いわけがあるか!苛々させおって..」
錫杖鬼が再び雷を放とうとした瞬間
「玄弥君っ!」
屋根の上を見ると、玄弥が銃のような武器を構えていた。直後、火が吹いたそれは鬼の頚を吹き飛ばした。
ーーーーー
〜267【鬼の狙い】〜
玄弥は舌打ちをする。
急所を断つ目的で放った玉だが、僅かに狙いが逸れ一匹仕留め損なってしまった。
屋根から降り立ち、すかさず日輪刀で止めを刺そうとした時、炭治郎が叫んだ。
「日向子姉さん玄弥!駄目だ!どんなに強い武器でもこの鬼はっ」
日向子はハッとする。玄弥を制そうとしたが遅かった。彼が振り切った刀は、仕留め損ねた鬼の頚を切断させてしまう。
その瞬間、鬼はにやりと口角を上げた。
「切ったら切っただけ分裂する鬼だっ!若返ってる、強くなるんだ!」
日向子達はこの鬼の原形を知らなかった。
単純に【頚を切る事だけ】では倒せない鬼であっても、まさか...頚を切る事で【こちらが不利になる鬼】が存在するなど思いもしなかったのだ。
ー私は判断を間違えたー
炭治郎が
完全な個体となり増殖する前に、どうにか手立てを考えねばと、炭治郎は頭をフル回転させた。
ー鬼なら必ず急所はあるー
煉獄さんが言っていたという言葉。
今まで倒して来たどの鬼も突破口はあった。
弱点のない鬼は居ないんだ。
探せ
見極めろ!
「っ!」
突如ぐんと足が上に引っ張られる感覚がした。
他の鬼に気を取られていた一瞬の隙で、大きな翼を持つ新たな鬼が炭治郎の足を掴み、みるみるうちに地面との距離を引き離していく。
「カカカッ喜ばしいのう。分かれるのは久方振りじゃ!」
「炭治郎ーっ!」
日向子が空を見上げた時、横から槍の切っ先が飛んできた。すんでのところで受け流したが、すぐに第二撃が放たれたので、目の前の鬼に集中せざるを得ない。
「っ!」
「ほう、
「「【儂ら】相手にどこまで耐えられるか」」
三体の鬼は一斉に日向子を目標に定め攻撃を繰り出してきた....
炭治郎は眼下の様子を目の当たりにして憤怒にわなないた。
日向子姉さんに狙いを絞り攻撃しているのか?
まずいぞ...
「禰豆子っ!俺に構うな日向子姉さんを守ってくれっ!」
炭治郎の言葉を聞き禰豆子はすぐさま日向子の元につき他の鬼の攻撃を弾く。
玄弥もまた敵の意図を察して、大胆にも交戦している槍鬼と日向子の間に入った。
槍鬼は非常に不愉快そうに眉を潜める。
「お前のような呼吸の使えぬ
ーーーーー
〜267【攻略法の模索】〜
ー何故日向子姉さんを狙う!ー
一刻も早く彼女の元へと行きたいのに、よりにもよって身動きの取りづらい空中へと引き離されてしまった。
もしや、彼女が巫一族で星の呼吸使いである事が関係しているのか?
「カカカっ!あの娘は厄介だからのう。だが、【呼吸の使い手】と引き離せば後は造作もない。」
「っ!」
やはり鬼の目的は、彼女と炭治郎ら呼吸の使い手と引き離す事だった。
時透を早々に吹き飛ばしたのも、日向子と柱の彼を組ませる事を恐れたからだろう。
という事は、呼吸の増強効果の型を持つ、星の呼吸の特性が割れている。
炭治郎達が鬼と対峙する度に、鬼の変則的な特性を経験値として得ていくと同じように、敵側も同様という事だ。
例え鬼を倒したとしても、その細胞の記憶を通じて、親玉の元へと情報が流れているのか?
ー鬼舞辻無惨...ー
「玄弥君っーー!!」
日向子姉さんの悲痛な叫び声が聞こえる。眼下に目を向けると、槍の切っ先が玄弥の
彼女は怒りの矛先を哀絶へと向ける。
しかし背後に回っていた積怒の錫杖が、日向子を狙い振り下ろされようとしていた。
まずいまずいまずいっ
「禰豆子っー!二人を助けろ!急げ!」
「他人の心配とは余裕があるのう」
「っ!」
空喜は口を開けると何かを繰り出そうとしているのか、キィィィと音をたてて空気を吸い込み始めた。
こんな奴の相手をしている場合ではないっ
炭治郎は柄を握る腕に力を込めた。しかし、先に攻撃を放ったのは鬼の方で、空中では避けようもなく超音波のようなものをもろに食らってしまう。
「...ふふん、やるのう。これはなかなか喜ばしいぞ」
空喜は舌舐めずりをした。
炭治郎は攻撃を食らった衝撃により体の内部から出血したものの、同時に鬼の脚を刀で切断させた為、本体から逃れる事に成功する。
真っ逆さまに落ちていく過程で激しく頭が揺れる中、枝葉に捕まり落下の衝撃を可能な限り和らげた。
「っぅ....」
体が痺れてる、耳も聞こえない。
でも、日向子姉さん達の元へ早く戻らないと..里の人達も危ない。
しかし鬼は休むどころか考える間も与えてなどくれないのだ。
本体と切り離した脚は既に頭の形を成しており、新たに攻撃を繰り出そうとしてくる。
ーくそっ!ー
咄嗟に腕を振り上げ頚を切り裂いてしまった。
何か...何か斬る以外の攻略法を見出さなければっ
ーーーーー
〜268【勝利への方程式】〜
これだけ細切れにしても尚、頚から上の形を成し炭治郎を襲おうとする。
先程と同じ超音波の攻撃を放ってきた。
ギャィィィィとつんざくような音波。その波長を受けてある事に気付く。
そうか..なるほど
ー攻撃の威力が、落ちてるー
炭治郎はニヤリと広角を上げた。この鬼の特性がわかった。
分裂し頭と胴体の完全形を保ってられるのはあの四体まで。ちらりと見えた喜怒哀楽の文字。
恐らく、その【4体の状態】が1番強いと炭治郎は確信した。
ただ俺が無意味に攻撃を食らってるだけと思うなよ。
ー必ずお前らを滅してやるー
ドスリと刀を口に突き刺した。直後、背後から本体の匂いを察知する。
炭治郎は身を
倒さなければ、一体でも
早く戻らないとっ..彼女達が危ない
鬼は加速に備えて上体を反り上げた。
どんな攻撃を出してこようとも
無傷で倒せる相手とは毛頭思ってはいない。
炭治郎はヒュウっと息を吸い上げた。
見定めろ【鬼の急所】を
ビシャっと血飛沫が舞う、その赤を見て鬼はふははと高らかに笑った。
「どうだ俺の爪は!この速度!切れ味!金剛石をも砕く威力だ!震えるがいい、もっと歓喜の血飛沫をあげて見せろ!」
「お前もな」
っ!
確かに鬼の爪は炭治郎の体を切り裂いた。
だが、炭治郎の刃もまた鬼の頭に届き、真っ二つに切り裂いたのだった。
斬られた事を目視、出来なかった。
人間の身体能力などたかが知れているというのに
鬼はにわかに信じ難い状況に目を見開く。
その油断を好機に変え、喜と印された鬼の舌目掛けて炭治郎は続け様に斬撃を放った。
ーーーーー
一方、
哀絶の槍に突き上げられた玄弥を見た日向子は、激しい憤りに身を震わせた。
彼女を庇う様に前に現れた彼は、刀を振り上げるもその数倍早い
考えるよりも早く、日向子は哀絶に向かって日輪刀を振りあげようとするが、
しかしその背後からは錫杖が迫っていた...
「日向子姉さんっ!!」
頭上から炭治郎が叫ぶ声が聞こえる。
積怒はこの一撃で日向子に致命傷を与えるつもりだった。
怒り以外の感情を持ち合わせない自分が、歓喜に震えるような感覚さえした。
なのに
彼女はこちらに目線を向ける事なく、錫杖を持つ腕を切り裂いたのだった。
ーーーーーー