◆第伍章 それぞれの想い
貴女のお名前を教えてください
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〜102【想いの形】〜
「ところで日向子姉さん..その、
嫌だと思った意味を、聞かせて欲しいんだ。」
やはりそれは、日向子がストレートにこの思いを伝えた時、遅かれ早かれ聞かれるだろうなとは思っていた。敢えてしらばっくれて、こう聞き返す。
「意味って?」
炭治郎は緊張した面持ちのまま、やがて意を決したように話し出した。
「日向子姉さんのそれは、家族以上の、特別な意味が篭ってるのか?
ごめん..どうしても俺、気になるから」
「....家族としてだよ。もちろん。大好きな弟が取られたみたいな気分になっちゃった。本当に姉馬鹿なんだよねぇー私」
そうけらけら笑って言ったら、炭治郎にガッと両肩を掴まれた。
大きな赫灼の瞳で見つめられ、その奥には逃すまいとする狂気が宿っている。
逸らしたい..けれど、逸らせない。
「俺は!日向子姉さんが他の男と一緒にいたら胸が張り裂けそうに苦しくなる。
誰かに優しくされてるのを見れば、俺がその役割を変わりたいと思ってしまう。
あなたがその笑顔を他の奴に向けようものなら、嫉妬に狂いそうになる!」
「っ...」
日向子は、炭治郎のように鼻が効くわけではないが、彼から発せられる声色、温度、香りに酷く敏感になってしまうような気がした。
弟じゃない。
目の前にいるのは、1人の男の子だ。
顔がみるみる赤面するのを感じる。
これだけの思いをぶつけられたら、仕方ないと思う。
何も言えないでいると、炭治郎はそんな日向子の様子を見て、なおも畳みかけてくる。
「どうしてそんなに、甘くて香 しい匂いなんだ?ただの、弟に、こんな匂いは発さない。」
「....」
「そんな匂いじゃ、何を言っても嘘になる。
仕方ないよね、日向子姉さんの身体が正直に言ってるんだから。俺の事、1人の男として意識してくれてるんだろう?」
「やめて...」
徐々に後退りしていると、ドンと背中が壁に当たる。
いつのまにか、追い詰められてしまっていたのだ。
私の匂いが...
そう伝えてしまってる?
自分じゃわからない。
ただ、明らかに先程までの炭治郎とは違う。
理性が擦り切れそうな様子だ。
何かに必死に耐え忍ぶような、そんな表情を見ればわかる。炭治郎も堪えているんだ。
真面目な彼がここまで当てられるんだ、
きっと相当
そう思った時、ふいに炭治郎が距離をとった。
「....っごめん。今のは...忘れてくれ。もうしないから」
気付けば、涙が頬を伝っていた。
ーーーーー
〜103【けじめ】〜
人は、理性と本能の狭間に揺れた時
理性が捨てきれなかった際に心が悲鳴を上げてしまう。
やがて、その悲しみや辛さから逃れる為に、身体が防衛本能を起こして涙となるのだ。
日向子の流した涙もそれだ。
家族だから、禁忌を犯してはならないという理性と血縁関係にない炭治郎に対する人としての本能がぶつかり合っていた。
でも結局、理性の方を切れないから..
悲鳴を上げた心が爆発したのだ。
炭治郎は日向子の涙を見た瞬間、酷く困惑した。
彼女を悲しませたくない、傷付けたくない、
困らせたくない
炭治郎が何よりも恐怖するのがそれらだった
最近はダメだ..
思えば彼女と再会を果たしてから、常に鬼との戦闘で緊張感が優っていた。
けど、ゆったりと流れる時間が多くなった途端、我慢が効かなくなってしまっている。
ここ数日は時透さんの事もあり、
炭治郎自身、余裕がなくなっていたのかもしれなかった。
もっと..彼女に配慮しないと、俺は色々すっ飛ばし過ぎてる。
さすがに先程の自分の対応は、誰が見ても酷いものだったろう。
気まずい空気の中、
とてとてと現れたのは禰豆子だった。
「禰豆子!起きたのね」
日向子姉さんが微笑みながらそう問いかけると、禰豆子は花が咲いたように微笑んだ。
2人の顔を交互に見て、何かを伝えたそうにふんふんと跳ねる。
その様子を見ていると、
まるで、仲直りしてねと言われているような気がした。
気まずい空気感を禰豆子も肌で感じ取ったのだろう。
不思議と彼女のお陰で、2人ともつい笑みが綻 ぶような気持ちになった。
「ありがとな禰豆子。」
炭治郎がよしよしと禰豆子の頭を撫でると、
その場で膝を揃え土下座をした。
両手をついて、日向子に向かって首を垂れる。
まさかそんな事をされるとは思っておらず、慌てて日向子は制するも、彼は態度は崩さなかった。
「日向子姉さん、さっきは本当に申し訳なかった!忘れてくれて構わない。弟としてあるまじき言動の数々を詫びます。
だから、どうか警戒しないで。日向子姉さんに避けられる方が、嫌なんです...」
これは、紛れもなく炭治郎の本音だったし、
一種のけじめだった。
日向子は悩んだ末に、こう語りかける。
「聞かなかった事には出来ないよ。ただ、今は私達にはなすべき事がある。私はそれに集中したいから、それはわかってください。」
炭治郎の頭を撫でれば、彼はこくりと頷き、瞳を潤ませたのだった。
ーーーーー
「ところで日向子姉さん..その、
嫌だと思った意味を、聞かせて欲しいんだ。」
やはりそれは、日向子がストレートにこの思いを伝えた時、遅かれ早かれ聞かれるだろうなとは思っていた。敢えてしらばっくれて、こう聞き返す。
「意味って?」
炭治郎は緊張した面持ちのまま、やがて意を決したように話し出した。
「日向子姉さんのそれは、家族以上の、特別な意味が篭ってるのか?
ごめん..どうしても俺、気になるから」
「....家族としてだよ。もちろん。大好きな弟が取られたみたいな気分になっちゃった。本当に姉馬鹿なんだよねぇー私」
そうけらけら笑って言ったら、炭治郎にガッと両肩を掴まれた。
大きな赫灼の瞳で見つめられ、その奥には逃すまいとする狂気が宿っている。
逸らしたい..けれど、逸らせない。
「俺は!日向子姉さんが他の男と一緒にいたら胸が張り裂けそうに苦しくなる。
誰かに優しくされてるのを見れば、俺がその役割を変わりたいと思ってしまう。
あなたがその笑顔を他の奴に向けようものなら、嫉妬に狂いそうになる!」
「っ...」
日向子は、炭治郎のように鼻が効くわけではないが、彼から発せられる声色、温度、香りに酷く敏感になってしまうような気がした。
弟じゃない。
目の前にいるのは、1人の男の子だ。
顔がみるみる赤面するのを感じる。
これだけの思いをぶつけられたら、仕方ないと思う。
何も言えないでいると、炭治郎はそんな日向子の様子を見て、なおも畳みかけてくる。
「どうしてそんなに、甘くて
「....」
「そんな匂いじゃ、何を言っても嘘になる。
仕方ないよね、日向子姉さんの身体が正直に言ってるんだから。俺の事、1人の男として意識してくれてるんだろう?」
「やめて...」
徐々に後退りしていると、ドンと背中が壁に当たる。
いつのまにか、追い詰められてしまっていたのだ。
私の匂いが...
そう伝えてしまってる?
自分じゃわからない。
ただ、明らかに先程までの炭治郎とは違う。
理性が擦り切れそうな様子だ。
何かに必死に耐え忍ぶような、そんな表情を見ればわかる。炭治郎も堪えているんだ。
真面目な彼がここまで当てられるんだ、
きっと相当
そう思った時、ふいに炭治郎が距離をとった。
「....っごめん。今のは...忘れてくれ。もうしないから」
気付けば、涙が頬を伝っていた。
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〜103【けじめ】〜
人は、理性と本能の狭間に揺れた時
理性が捨てきれなかった際に心が悲鳴を上げてしまう。
やがて、その悲しみや辛さから逃れる為に、身体が防衛本能を起こして涙となるのだ。
日向子の流した涙もそれだ。
家族だから、禁忌を犯してはならないという理性と血縁関係にない炭治郎に対する人としての本能がぶつかり合っていた。
でも結局、理性の方を切れないから..
悲鳴を上げた心が爆発したのだ。
炭治郎は日向子の涙を見た瞬間、酷く困惑した。
彼女を悲しませたくない、傷付けたくない、
困らせたくない
炭治郎が何よりも恐怖するのがそれらだった
最近はダメだ..
思えば彼女と再会を果たしてから、常に鬼との戦闘で緊張感が優っていた。
けど、ゆったりと流れる時間が多くなった途端、我慢が効かなくなってしまっている。
ここ数日は時透さんの事もあり、
炭治郎自身、余裕がなくなっていたのかもしれなかった。
もっと..彼女に配慮しないと、俺は色々すっ飛ばし過ぎてる。
さすがに先程の自分の対応は、誰が見ても酷いものだったろう。
気まずい空気の中、
とてとてと現れたのは禰豆子だった。
「禰豆子!起きたのね」
日向子姉さんが微笑みながらそう問いかけると、禰豆子は花が咲いたように微笑んだ。
2人の顔を交互に見て、何かを伝えたそうにふんふんと跳ねる。
その様子を見ていると、
まるで、仲直りしてねと言われているような気がした。
気まずい空気感を禰豆子も肌で感じ取ったのだろう。
不思議と彼女のお陰で、2人ともつい笑みが
「ありがとな禰豆子。」
炭治郎がよしよしと禰豆子の頭を撫でると、
その場で膝を揃え土下座をした。
両手をついて、日向子に向かって首を垂れる。
まさかそんな事をされるとは思っておらず、慌てて日向子は制するも、彼は態度は崩さなかった。
「日向子姉さん、さっきは本当に申し訳なかった!忘れてくれて構わない。弟としてあるまじき言動の数々を詫びます。
だから、どうか警戒しないで。日向子姉さんに避けられる方が、嫌なんです...」
これは、紛れもなく炭治郎の本音だったし、
一種のけじめだった。
日向子は悩んだ末に、こう語りかける。
「聞かなかった事には出来ないよ。ただ、今は私達にはなすべき事がある。私はそれに集中したいから、それはわかってください。」
炭治郎の頭を撫でれば、彼はこくりと頷き、瞳を潤ませたのだった。
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