◆第参章 新たなる門出へ
貴女のお名前を教えてください
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〜39【鬼殺隊の本部と柱】〜
炭治郎の鎹烏は、北西へ迎えと鳴く
そして日向子姉さんの鎹烏は..
「え...鬼殺隊の本部へ?」
その場にいた全員が耳を疑ったが、白鴉は繰り返し(名前)のみ本部へ向かうように言い渡した。
何故、まだ鬼殺隊に入隊したばかりの日向子姉さんが呼ばれているのだろうか。
確かに心当たりが、無いわけではないが..
さすがに本部からのお達しとあれば、鱗滝さんもお手上げのようで、止むを得ず一時的に離れることになった。
「日向子姉さんに、何を聞くつもりなんだろう。」
とにかく彼女の事が心配で仕方ない。
けれど、自分は仕事を言い渡された、この世界のどこかで鬼の襲撃に苦しむ人がいるのなら、その人達を助けなければ。
自分達の都合は関係ない。それが、本来の鬼殺隊員のお役目だから。
「大丈夫、何も後ろめたい事はないし、何されてもあなた達の事は絶対売らないから安心して..あぁ、ごめん。自分の身もちゃんと守るから」
彼女の、自己犠牲心が炭治郎は嫌いだった。
自分は長女だから下の子を守るのだというのは昔からの日向子姉さんの口癖。
長い年月の中で、炭治郎にはそれが通用しない事をようやく気づいてくれたらしい。
しばし離れるだけだ。
炭治郎はそう心を納得させた。
「炭治郎!」
別れ際に振り向くと、日向子姉さんは笑ってこう告げた。
「禰豆子をお願いね。頼りにしているから、絶対に死なないでまた会おう」
炭治郎は思わず目頭が熱くなったのだった。
ところ変わって日向子は、鴉の飛んでいく方向へ走りかれこれ四刻。
ようやく本部らしき場所へと辿り着いた。なんだか自然と背筋が伸びる気分で、屋敷の奥へと案内されると日向子は茫然と立ち尽くす。
なんて事だ。
柱の方々が控えている間に案内されるなんて、
聞いてない。
柱の面々は、訝しげに日向子を見る一部を除いて、忠誠を尽くす構えを取っている。
日向子は慌てて姿勢を整え膝をついた。
やがて奥から、そんなに畏まらなくても構わないよという柔らかい声が聞こえてきた。
女性が御簾をあげると、顔の反面に傷?がある成人男性が現れた。
柱の方々の反応を見る限り、とても高位な人なのだろうなという印象だ。
こんな格好で済まないと言いながら彼は語り始める。
「竈門日向子さん。君を呼び出したのは他でもない私だよ。鬼殺隊の長を務める者だ。
本題に入る前に、まずはお互い自己紹介をしよう。皆の事も知ってもらいたいからね。」
彼は穏やかにそう言った。
ーーーーー
〜40【交渉】〜
「っ、私は!竈門日向子と申します。階級は癸(みずのと)、えーとそれから..」
日向子がやっつけで言葉に詰まっていると、
蝶の髪飾りを身につけた女性がくすりと笑う。
あぁー..これはやらかしただろうか。羞恥心でどうにかなりそうだ。
「気にするな!自ら先に自己紹介するのは礼儀がなっている証拠だ、私は炎柱の煉獄杏寿郎、会えて嬉しい限りだぞ竈門日向子君!」
「竈門は仮の性だろう。彼女は巫一族の生き残りと聞いたが?最も、俺は禍除けの力とやらをこの目で見ない限り信用出来ないがな」
細かい話はどうでもいいだろうと内輪揉めが始まりそうな勢いに日向子はあたふたする。
見るに見かねたお館様が静かに制すると、途端に柱は小競 り合いをやめた。
なんて影響力のある方なのだろう、
産屋敷といった..
彼は一体
「さて、皆には柱合会議前に集ってもらって申し訳ない。どうしても今、この機に話をつけておきたいことがあるんだ。
まずは、彼女の実体験から話そうか。日向子さん、酷かもしれないが協力して欲しい。
これも、鬼舞辻無惨を打つためなのだ。」
無惨の名を彼が口にすると、柱の面々が放つオーラが変わった。日向子はビリビリと肌が痺れる感覚に陥る。
これが柱の殺気なのか。
何も動じないとでも言うように、相変わらず柔らかい声色で産屋敷は続ける。
「彼女は鬼舞辻無惨と接触し、瀕死の状態になったが鬼にもならず殺される事もなく、彼の根城から逃げ出す事に成功した唯一の人間だ。
鬼舞辻が何故一見脅威でしかない彼女を捕らえ生かしたのか..」
鬼舞辻と接触したと聞きざわつきを隠せない柱。
彼はそのまま話を続けようとしたが、身体中古傷を付けた男が、痺れを切らしたように血走った眼で訴えた。
「回りくどいお話はいいでしょうお館様。結局のところ、我々は何をし、その竈門日向子という者をどうしようというお考えなのかお聞かせ願いたい。」
やがて彼は何かを思案するように顎に手をやると、日向子を見つめこう話し始めた。
「単刀直入に言えば、君達柱には今後、彼女の護衛について貰いたい。そして日向子さん、君とは交渉をしたいと思っている。
鬼舞辻無惨をおびき寄せる為に、我々と協力体制を取ってもらいたいのだ。
勿論ただでとは言わない。これは交渉だ、君の【望み】を聞こうじゃないか」
日向子は驚きに目を見開き、柱の何人かは口をあんぐりと開けた。
これは、試されているのか
それとも..
ーーーーー
〜41【摂理】〜
「お言葉ですが親方様、その者に我々がそこまで尽くす理由があるのでしょうか?些 か疑問です。」
不死川は苦虫を噛み潰したような表情で訴えた。
微動だにしない胡蝶、時透、そして冨岡を除き、柱の過半数が不死川に賛同する。
伊黒が割って入り追求した。
「竈門日向子と言ったか?お前が巫一族である証拠を見せて貰いたい。
日の神をその身に宿していると言うのなら、呼吸の無効化程度は容易いだろう」
呼吸の無効化?
日向子はそんな事が出来るのかと初めて知った。
師範との修行で、そんな事一切言われたこともなければ教えられたこともない。
どうしたものかと固まっていると、やっぱり嘘だったのかよと不死川は吐き捨てるように言う。
「親方様決まりです。竈門日向子は巫一族ではない。故に
「俺が手合わせ願おう」
今まで一言も喋らずに黙っていた冨岡が前へ出る。
その場にいた全員が彼を凝視 した。
正気ですか?と胡蝶が耳打ちするも、素知らぬ顔で抜刀する。
「案ずるな。手加減はしない。」
日向子は産屋敷の方を見るが、彼は止めるでもなくただその場の成り行きを黙って見届けるだけだった。
あぁ、もうなるようになれと日向子も抜刀し構えの姿勢を取る。
妙な風が彼等の間をすり抜ける。
日向子自身、柱とやり合うなど初めての経験であり、彼等の実力がどの程度なのかさえ見たこともない。
そもそも場数の踏み方も経験も全然違う。
彼を見るも、表情や眼差しからは何一つ読み取ることが出来ない。一体彼は何を考えているのだろう。
「竈門日向子。お前の実力、見せてみろ」
その瞬間彼は一気に間合いを詰めて、一撃を放つ。辛うじて日向子は刀を滑らせそれを受け流した。
これは師範から教わった剣技だ。刀の特性を理解して、強い打撃をも受け流す。
力技では男に劣る女性剣士ならではの戦い方。でもこれは特別なことではない。
休む間もなく冨岡は刀を振るい猛攻する。このままでは劣勢だ。
呼吸を無効化なんて、一体どうしたら..
「水の呼吸 壱ノ型ー..」
さすがにそれは駄目ですと胡蝶が叫ぶ。悲鳴をあげる甘露寺。彼との距離間はほんの一寸。
まともに当たれば...
日向子は音が遠くなった。
いや、それどころか全ての五感を失ったような感覚。
その向こうに、清らかな美しい水の流れを感じる。
これは脅威ではない..
摂理 だ。
大自然の恩恵だ。
その瞬間、冨岡の攻撃が形を失い雨と成した。
ーーーーー
〜42【誓約】〜
柱の面々が驚きを隠せず唖然とする中、産屋敷は娘に結果はどうなったのかなと問いかける。
「水柱様が呼吸の型を放った瞬間、彼女が相殺 しました。
技の打ち合いではなく、紛れもなく巫一族の異能によるものです。」
そうかいと満足そうに頷く産屋敷。
しかし伊黒は納得がいかないのか冨岡に突っかかる。
「冨岡、貴様手加減したのではあるまいな?」
しかし冨岡はそれを真っ向から否定する。
さすがにこの結果を、己の目でしかと見た者達は、疑う余地はなかった。
ところで、何故巫一族の者は
呼吸の無効化を行えるのか?実際やってのけてしまった日向子自身も頭の上にはてなマークを浮かべる。
師範に聞いてみよう..。どうやらこの場にいる者には周知の事実なようだ。
「さて、話を戻そう。彼女が巫一族であるという事は即ち、我々に非常に有利に働くんだ。
それは何故か?【呼吸の増強効果】の能力を持っているから。
元々星の呼吸はその特性を持つが、巫一族の者が使用した場合、効果は大幅に膨れ上がる。
日向子さん、君の師範からはこれらのことを習ったかい?」
日向子は首を横に振った。
そうか..と思案して、彼女は余程君を前線に送りたくないのだなぁと呟いた。
「あの..まだ私自身も分からないことが多々あるのですが、とりあえずです。
護衛の件は、私の行動範囲が狭まるとかは、あるんでしょうか?」
「基本的に君の行動範囲内には、柱を最低2人つかせようと思っている。故に狭まるという解釈は、概 ね正しいかもしれない。」
そうですかと呟く日向子
やがて考えに考え、きっぱりとこう告げた。
「護衛は結構です。もちろん私は至らないところも多く、力もまだまだ及びません。先程、冨岡様と相対し実感しました。
でも私の目的は、鬼舞辻を倒す事と家族を守る事なのです。
鬼舞辻をおびき寄せるという件については利害も一致しますしご協力します。
お願いがあるとしたら..
家族の事を守ってもらいたい。それだけです。どうか、宜しくお願いします」
日向子は深々と頭を下げた。
鳩が豆鉄砲を食らったような顔をする面々、やがて声を上げて笑い出す者、くすくすと笑う者、気に入ったぞと肩を叩く者。
何にしろ最初の厳粛 な雰囲気とは打って変わって和やかな空気に変わった。
「あはは、君は面白いね。いいだろう。君の【願い】は叶えよう。これから宜しく頼むよ。竈門日向子さん」
ーーーーー
炭治郎の鎹烏は、北西へ迎えと鳴く
そして日向子姉さんの鎹烏は..
「え...鬼殺隊の本部へ?」
その場にいた全員が耳を疑ったが、白鴉は繰り返し(名前)のみ本部へ向かうように言い渡した。
何故、まだ鬼殺隊に入隊したばかりの日向子姉さんが呼ばれているのだろうか。
確かに心当たりが、無いわけではないが..
さすがに本部からのお達しとあれば、鱗滝さんもお手上げのようで、止むを得ず一時的に離れることになった。
「日向子姉さんに、何を聞くつもりなんだろう。」
とにかく彼女の事が心配で仕方ない。
けれど、自分は仕事を言い渡された、この世界のどこかで鬼の襲撃に苦しむ人がいるのなら、その人達を助けなければ。
自分達の都合は関係ない。それが、本来の鬼殺隊員のお役目だから。
「大丈夫、何も後ろめたい事はないし、何されてもあなた達の事は絶対売らないから安心して..あぁ、ごめん。自分の身もちゃんと守るから」
彼女の、自己犠牲心が炭治郎は嫌いだった。
自分は長女だから下の子を守るのだというのは昔からの日向子姉さんの口癖。
長い年月の中で、炭治郎にはそれが通用しない事をようやく気づいてくれたらしい。
しばし離れるだけだ。
炭治郎はそう心を納得させた。
「炭治郎!」
別れ際に振り向くと、日向子姉さんは笑ってこう告げた。
「禰豆子をお願いね。頼りにしているから、絶対に死なないでまた会おう」
炭治郎は思わず目頭が熱くなったのだった。
ところ変わって日向子は、鴉の飛んでいく方向へ走りかれこれ四刻。
ようやく本部らしき場所へと辿り着いた。なんだか自然と背筋が伸びる気分で、屋敷の奥へと案内されると日向子は茫然と立ち尽くす。
なんて事だ。
柱の方々が控えている間に案内されるなんて、
聞いてない。
柱の面々は、訝しげに日向子を見る一部を除いて、忠誠を尽くす構えを取っている。
日向子は慌てて姿勢を整え膝をついた。
やがて奥から、そんなに畏まらなくても構わないよという柔らかい声が聞こえてきた。
女性が御簾をあげると、顔の反面に傷?がある成人男性が現れた。
柱の方々の反応を見る限り、とても高位な人なのだろうなという印象だ。
こんな格好で済まないと言いながら彼は語り始める。
「竈門日向子さん。君を呼び出したのは他でもない私だよ。鬼殺隊の長を務める者だ。
本題に入る前に、まずはお互い自己紹介をしよう。皆の事も知ってもらいたいからね。」
彼は穏やかにそう言った。
ーーーーー
〜40【交渉】〜
「っ、私は!竈門日向子と申します。階級は癸(みずのと)、えーとそれから..」
日向子がやっつけで言葉に詰まっていると、
蝶の髪飾りを身につけた女性がくすりと笑う。
あぁー..これはやらかしただろうか。羞恥心でどうにかなりそうだ。
「気にするな!自ら先に自己紹介するのは礼儀がなっている証拠だ、私は炎柱の煉獄杏寿郎、会えて嬉しい限りだぞ竈門日向子君!」
「竈門は仮の性だろう。彼女は巫一族の生き残りと聞いたが?最も、俺は禍除けの力とやらをこの目で見ない限り信用出来ないがな」
細かい話はどうでもいいだろうと内輪揉めが始まりそうな勢いに日向子はあたふたする。
見るに見かねたお館様が静かに制すると、途端に柱は
なんて影響力のある方なのだろう、
産屋敷といった..
彼は一体
「さて、皆には柱合会議前に集ってもらって申し訳ない。どうしても今、この機に話をつけておきたいことがあるんだ。
まずは、彼女の実体験から話そうか。日向子さん、酷かもしれないが協力して欲しい。
これも、鬼舞辻無惨を打つためなのだ。」
無惨の名を彼が口にすると、柱の面々が放つオーラが変わった。日向子はビリビリと肌が痺れる感覚に陥る。
これが柱の殺気なのか。
何も動じないとでも言うように、相変わらず柔らかい声色で産屋敷は続ける。
「彼女は鬼舞辻無惨と接触し、瀕死の状態になったが鬼にもならず殺される事もなく、彼の根城から逃げ出す事に成功した唯一の人間だ。
鬼舞辻が何故一見脅威でしかない彼女を捕らえ生かしたのか..」
鬼舞辻と接触したと聞きざわつきを隠せない柱。
彼はそのまま話を続けようとしたが、身体中古傷を付けた男が、痺れを切らしたように血走った眼で訴えた。
「回りくどいお話はいいでしょうお館様。結局のところ、我々は何をし、その竈門日向子という者をどうしようというお考えなのかお聞かせ願いたい。」
やがて彼は何かを思案するように顎に手をやると、日向子を見つめこう話し始めた。
「単刀直入に言えば、君達柱には今後、彼女の護衛について貰いたい。そして日向子さん、君とは交渉をしたいと思っている。
鬼舞辻無惨をおびき寄せる為に、我々と協力体制を取ってもらいたいのだ。
勿論ただでとは言わない。これは交渉だ、君の【望み】を聞こうじゃないか」
日向子は驚きに目を見開き、柱の何人かは口をあんぐりと開けた。
これは、試されているのか
それとも..
ーーーーー
〜41【摂理】〜
「お言葉ですが親方様、その者に我々がそこまで尽くす理由があるのでしょうか?
不死川は苦虫を噛み潰したような表情で訴えた。
微動だにしない胡蝶、時透、そして冨岡を除き、柱の過半数が不死川に賛同する。
伊黒が割って入り追求した。
「竈門日向子と言ったか?お前が巫一族である証拠を見せて貰いたい。
日の神をその身に宿していると言うのなら、呼吸の無効化程度は容易いだろう」
呼吸の無効化?
日向子はそんな事が出来るのかと初めて知った。
師範との修行で、そんな事一切言われたこともなければ教えられたこともない。
どうしたものかと固まっていると、やっぱり嘘だったのかよと不死川は吐き捨てるように言う。
「親方様決まりです。竈門日向子は巫一族ではない。故に
「俺が手合わせ願おう」
今まで一言も喋らずに黙っていた冨岡が前へ出る。
その場にいた全員が彼を
正気ですか?と胡蝶が耳打ちするも、素知らぬ顔で抜刀する。
「案ずるな。手加減はしない。」
日向子は産屋敷の方を見るが、彼は止めるでもなくただその場の成り行きを黙って見届けるだけだった。
あぁ、もうなるようになれと日向子も抜刀し構えの姿勢を取る。
妙な風が彼等の間をすり抜ける。
日向子自身、柱とやり合うなど初めての経験であり、彼等の実力がどの程度なのかさえ見たこともない。
そもそも場数の踏み方も経験も全然違う。
彼を見るも、表情や眼差しからは何一つ読み取ることが出来ない。一体彼は何を考えているのだろう。
「竈門日向子。お前の実力、見せてみろ」
その瞬間彼は一気に間合いを詰めて、一撃を放つ。辛うじて日向子は刀を滑らせそれを受け流した。
これは師範から教わった剣技だ。刀の特性を理解して、強い打撃をも受け流す。
力技では男に劣る女性剣士ならではの戦い方。でもこれは特別なことではない。
休む間もなく冨岡は刀を振るい猛攻する。このままでは劣勢だ。
呼吸を無効化なんて、一体どうしたら..
「水の呼吸 壱ノ型ー..」
さすがにそれは駄目ですと胡蝶が叫ぶ。悲鳴をあげる甘露寺。彼との距離間はほんの一寸。
まともに当たれば...
日向子は音が遠くなった。
いや、それどころか全ての五感を失ったような感覚。
その向こうに、清らかな美しい水の流れを感じる。
これは脅威ではない..
大自然の恩恵だ。
その瞬間、冨岡の攻撃が形を失い雨と成した。
ーーーーー
〜42【誓約】〜
柱の面々が驚きを隠せず唖然とする中、産屋敷は娘に結果はどうなったのかなと問いかける。
「水柱様が呼吸の型を放った瞬間、彼女が
技の打ち合いではなく、紛れもなく巫一族の異能によるものです。」
そうかいと満足そうに頷く産屋敷。
しかし伊黒は納得がいかないのか冨岡に突っかかる。
「冨岡、貴様手加減したのではあるまいな?」
しかし冨岡はそれを真っ向から否定する。
さすがにこの結果を、己の目でしかと見た者達は、疑う余地はなかった。
ところで、何故巫一族の者は
呼吸の無効化を行えるのか?実際やってのけてしまった日向子自身も頭の上にはてなマークを浮かべる。
師範に聞いてみよう..。どうやらこの場にいる者には周知の事実なようだ。
「さて、話を戻そう。彼女が巫一族であるという事は即ち、我々に非常に有利に働くんだ。
それは何故か?【呼吸の増強効果】の能力を持っているから。
元々星の呼吸はその特性を持つが、巫一族の者が使用した場合、効果は大幅に膨れ上がる。
日向子さん、君の師範からはこれらのことを習ったかい?」
日向子は首を横に振った。
そうか..と思案して、彼女は余程君を前線に送りたくないのだなぁと呟いた。
「あの..まだ私自身も分からないことが多々あるのですが、とりあえずです。
護衛の件は、私の行動範囲が狭まるとかは、あるんでしょうか?」
「基本的に君の行動範囲内には、柱を最低2人つかせようと思っている。故に狭まるという解釈は、
そうですかと呟く日向子
やがて考えに考え、きっぱりとこう告げた。
「護衛は結構です。もちろん私は至らないところも多く、力もまだまだ及びません。先程、冨岡様と相対し実感しました。
でも私の目的は、鬼舞辻を倒す事と家族を守る事なのです。
鬼舞辻をおびき寄せるという件については利害も一致しますしご協力します。
お願いがあるとしたら..
家族の事を守ってもらいたい。それだけです。どうか、宜しくお願いします」
日向子は深々と頭を下げた。
鳩が豆鉄砲を食らったような顔をする面々、やがて声を上げて笑い出す者、くすくすと笑う者、気に入ったぞと肩を叩く者。
何にしろ最初の
「あはは、君は面白いね。いいだろう。君の【願い】は叶えよう。これから宜しく頼むよ。竈門日向子さん」
ーーーーー