待ちに待った授業初日。勉強も友達作りも何もかも全力で頑張ろう！と思ったのは自分は数分後のこの未来を見て、何を思うのだろう。

教室の至る所に散らばる女子グループの群れ。
今年から女子生徒の受け入れが始まったとはいえ、あんな風にグループを作られてしまったら、とてもじゃないけど、入る勇気なんてない。

いや、ここで諦めたら駄目。少しは声をかけてみないと。
なけなしの勇気を振り絞り、声をかけようと試みるが、やっぱり無理。

一人の子のスマホを囲むように、何やら盛り上がっている。会話の内容も全くわからない。流行りの靴がどうのこうのだとか、メイクが云々と聞こえてきたけど、わたしにとっては何がなんだか。

特に靴に至っての知識は皆無に等しい。
海の中では靴を履くことなんて無かったし、そんなもの持っていたら、町中の笑い者だ。


まともに流行を把握していないのにも拘らず、入れてと言わんばかりに飛び込んできたら、どうなる？
そんなの、簡単。余所者はあっち行けと言わんばかりの痛ーい視線で串刺しにされている未来が見えたため、断念。

なら、男子。と目を向けてみるが、魔法で宙から大釜を出したり、それに対抗するかのように風を起こしたり。
「どうだ、参ったか！」と雁字搦めに締め上げたり、降参だと呻き声を上げる生徒。この世の終わりかのように絶望した顔で頭の上に何故かイソギンチャクを生やした生徒。

何というか目も耳もやかましい。情報が多すぎる。

これで何度目か流石、ナイトレイブンカレッジ。
名門なだけあり、みんな、癖が強いというか、キャラが濃いというか。ここで“普通”を求めるほうが間違っているのかもしれない。

これは出遅れた。完全に出遅れた。

たった知り合ってまだ一日だというのに、恰も、昔からの知り合いだと錯覚するほどまでに仲良くなっている(中にはエレメンタリースクールやミドルスクールから一緒の子達もいるかもしれないけど)。
　
特に女子のみなさん。何を一体、どうすれば、そこまで仲良くなれるのでしょうか。女子の私にも伝授していただけないでしょうか。