寝顔(銀土)

唐突だが、俺は土方の寝顔が見たい。

付き合い初めて数ヵ月。順風満帆ラブラブです。
付き合い出して初めて知った事も沢山あって、俺だけが知ってるって事も沢山できた。
なのにまだ、寝顔を見た事がない。
土方は忙しくて、ゆっくり会える日は1ヶ月のうちに2,3日あればいい方。忙しい時なんて、巡回中にすれ違うか電話でちょっと会話しておやすみなさい。
まだ日は浅いけど、好きな相手とはイチャイチャ、ベタベタ、ちゅっちゅっしたい。大人だからやっぱりえっちもしたい。
ゆっくり会えるとなると、酒飲んでいい気分になってそういう事に雪崩こむ。土方も拒まないし、なんならあのツンツンがデレデレになる。
沢山愛しあって、黒くてサラサラな髪を透きながら「今日こそは!」と思うんだけど、俺の胸の中でもトロンと瞼がくっつきそうな土方を見ていると「あぁ、幸せだな」って思って、気が付いたら朝になっている。
土方はいつも俺より早起きだから、目を覚ますと当然のように起きていて「おはよう、土方」って言う。
それでまた「あぁ、幸せだな」って思うんだ。

いつも失敗してしまうから、今度は別の方法で寝顔を見る作戦にしよう。
次の休みは万事屋で一緒に飲んで、酔い潰れさせてみよう。そうすれば今度こそ見られるはずだ。
俺より先に起きている土方は俺の寝顔を見ているはずだ。そんなのずるい。だから、俺が土方の寝顔を見てやる。

よし、マヨネーズに合う料理やつまみを作ってやろう。
あぁ、そういえば煙草屋の隣の酒屋の親父が土方の気に入ってる酒が入ったって言ってたから買い行こう。


※※※※※

唐突だが、俺は銀時の寝顔が見たい。

付き合い初めて数ヵ月。順調に行っていると思う。
付き合い出して初めて知った事も沢山あって、俺だけが知ってるって事も沢山できた。
なのにまだ、寝顔を見た事がない。
仕事柄忙しくて、ゆっくり会える日は1ヶ月のうちに2,3日あればいい方。忙しい時なんて、巡回中にすれ違うか電話でちょっと会話しておやすみなさい。
まだ日は浅いけど、好きな相手とは一緒に居たいし、側に居たい。大人だからやっぱり、その、あ、愛し合いたい。
ゆっくり会えるとなると、酒飲んでいい気分になってそういう事に雪崩こむ。悪態付きながらも内心は求められるのが嬉しくて仕方ない。2人きりだから甘えてやらんでもない。
習慣からかいつも決まった時間に目が覚める。銀時の寝息が聞こえて「今日こそは!」と思うけれど、散々愛された事を思い出してしまって、恥ずかしくて顔を上げられない。それと一緒に髪を透く優しい手付きも思い出して「あぁ、幸せだな」って思う。
もぞもぞと躊躇っていると、起き出した銀時と目が合うから「おはよう、銀時」って言う。
それでまた「あぁ、幸せだな」って思うんだ。

いつも失敗してしまうから、今度は別の方法で寝顔を見る作戦にしよう。
次の休みは万事屋で一緒に飲んで、酔い潰れさせてみよう。そうすれば今度こそ見られるはずだ。
俺より後に眠っている銀時は俺の寝顔を見ているはずだ。そんなのずるい。だから、絶対に俺が銀時の寝顔を見てやる。

糖尿が心配だがいちご牛乳と甘味でも土産に持って行って行っているやるか。
あぁ、そういえば煙草屋の隣の酒屋の親父が銀時が気に入ってる酒が入ったって言ってたから買い行こう。


※※※※※

カンカンカンと万事屋に上がる階段を2人で登る。僕の家でいっぱい朝ごはんを食べた神楽ちゃんは、朝からとても元気だ。
銀さんが土方さんが来ると言っていたから、神楽ちゃんはうちに泊まって、いつもより少し遅めに出勤をする。

「ただいまアルー!」
「おはようございます」

返事がない。まだ寝ているのか、ひょっとして朝から依頼でも入って出掛けたのだろうか。
寝ているなら起こさなければだし、出掛けているならその間に掃除しておこう。

「酒臭っっっ!!!」

応接室に入った瞬間に感じる酒臭さと、あちこちに転がった酒瓶と缶。
テーブルには食い散らかした、料理やつまみ、お菓子の袋なんかもそのままになっている。

「新八、ここにマダオが2人転がってるネ」

テーブルとソファの間。なんでそんな所で寝てるんだとツッコミたくなるのを我慢した。
天パがさらに爆発した白いマダオと、端正な顔が台無しの涎が出ている黒いマダオが2人。

「まったく仕方ないなぁ…」

わざとらしくため息をを付いてみせる。これは幸せのため息だ。
神楽ちゃんが用意した布団をかけて、2人の寝顔を覗きこんだ。

「コイツらとっても幸せそうアルな」
「うん。とっても幸せそうだね」

部屋の惨状を見た時、本当は叱ってやろうと思ったがあんな寝顔を見たら叱るどころか、起こすなんて出来ないじゃないか。

「神楽ちゃんどうする?今日も泊まりに来る?」
「う〜ん。そうするネ。感謝しろよマダオども」

起こさないように戸締まりをして、静かに万事屋を後にする。
万年開店休業中な万事屋には無駄かもしれないけれど、玄関に「本日臨時休業」の札をかけた。

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