秘密(高土)

「せーんせ、これなーんだ」
「あ?土方なん…これは…!?」
 高杉先生の目の前にスマホを見せれば、クールな表情が崩れた。感情を見せない先生でもこんな表情をするんだなと少し感動した。
「頼む…それは秘密にしておいてくれ…!」
 プライドがエベレストよりも高い(銀八談)高杉先生が頼みごとをしてくる程にこれは隠しておきたいらしい。
「いやーまさか、先生が動物ふれあいコーナーで鼻の下伸ばしてるとは思いませんでした」
 先生に見せたスマホにはまん丸でフワフワしたワンコを抱いてデレデレした写真が表示されている。普段の冷血硬派な先生とは最早別人である。「望みはなんだ」
「マヨパンデラックス一週間分で」
「あんなのがいいのか?」
「あんなのってどういう意味ですか?先生がまさかワンコに『可愛いでちゅね~』なんて言うとはおも…」
「わかった!!一週間でも二週間でも買ってやらぁ!!」
「よっしゃあー!」
 ガッツポーズする俺とガックリと項垂れた先生。高杉先生の弱みを握れる日がくるなんて思わなかった。
「画像は消してくれるよな…?」
「勿論ですよ」
「この事は秘密にしておいてくれよ」
「わかってますよ。(先生が可愛い物が好きで、マンションは五階の門部屋で、物はあんまりないけど最近間接照明を買って、シャンプーとリンスはサロンの高いやつを使ってて、冷蔵庫にはお酒とミネラルウォーターしかなくて、寝室には目覚まし時計が二個あって、プライベート用のスマホの番号も)全部秘密にしますから」

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