高X子
バレンタイン別パターン
一人の少年がガラスケースを睨み付けていた。かれこれ一時間以上はそうしているだろうか。微動だにせず、その場にずっと立ち続けている。
バレンタインの催事場にはあまりに似つかわしくない風景。比較的人の少ない時間とはいえ、その異様な様子に関わるまいと足早に周りの人間は去っていく。
この事態にどうした物かと困っているのは店員である。明らかに不審ではあるが、何か被害がある訳ではない。仮にクレームや喧嘩を売りに来られたなら、もう手を出されていてもおかしくはないが、ただその場に立っているだけだ。さらに、この時間の警備員はおじいちゃんで頼りない。営業妨害と言えばそうかもしれないが、まだ集客はまばらな時期である。下見が殆んどで、本格的になるのはもう少し先だ。
しかし、怖いものは怖い。学ランに赤いシャツと眼帯。目付きは悪く、どこからどう見ても不良にしか見えない。下手に声をかけて何かあっても困る、と迂闊に手を出せない。でも、この状況が続くのも困る。周りに目配せしてから一人の店員が意を決して声をかけた。
「あの…お客様、何かお探しでしょうか…?」
少し震えた声に店員たちは固唾を飲んで見守る。武器代わりのほうきを握りしめる者、いつでも人が呼べるように受話器を握りしめる者。全員が少年が動き出すのをじっと待つ。
少年は相変わらずガラスケースを睨み付けている。動く事も返事をする事もない少年に、いよいよほうきを構え受話器を持ち上げようとした時に、ついに動いた。
「………の、…ょに……ちょ……ぁ……た……」
とてつもなく小さな声で少年が喋った。声をかけた店員しか聞こえない声量だった。ひとまず周りの応戦しようとした店員を制して、耳を傾けてみた。
「かの…ょに、ちょこをあ……げた…くて……」
「彼女さんにチョコをあげたい……という事でしょうか…?」
復唱した店員の声に一斉に少年へと視線が向かう。今度は警戒ではなく、期待のような眼差しだ。視線に気付いた少年は躊躇いながらも小さく頷いた。
「その……彼女に、渡してぇんだけど……初めてで、どれがいいかとか、分からなくて……」
催事場に少年の声が響く。少年はカバンからカタログを取り出した。入り口で無料で配られているカタログだ。それには付箋が沢山貼られているのが見えた。カタログの他にもバレンタインの特集を組まれた雑誌まであった。その雑誌にもいくつもの付箋が貼られている。
店員たちは今すぐにでもブースから飛び出したくなった。握り締めていたほうきや受話器を置き、一番オススメのチョコレートを用意する。
目の前に居るのは不良ではなく恋する少年だ。恋する乙女と言っても過言ではない、まごう事なき恋する少年だ。
「うちの新作のトリュフはいかがですか…!」
痺れを切らした一人の店員が声を上げた。
「こっちは四種類のフレーバーが楽しめますよ…!」
「動物モチーフの見た目も可愛いチョコレートもありますよ!」
「マカロンやクッキーはいかがですか!」
一斉に店員たちが少年へと駆け寄った。こんなにトキメク事なんて滅多にない。少女マンガやドラマみたいな出来事に、心が踊らない筈がない。ずっと動かずに居たのは彼女の為に調べてはみたが、いざ実際に目にすると分からなくなってしまったのだろう。あまりにもいじらしい。
今度は少年がたじろぐ番だった。なにせ四方八方から店員がチョコレートを持って飛び出して来たのだ。けれど、すぐに少年は自分の為の行為だと理解して受け入れた。次々に出されたチョコレートを食べては質問を繰り返す。それに店員も応える。チョコレートは新しい物が次から次へとやってきた。
本番はまだ先だがきっと今日が一番盛り上がった日だと、その場に居た誰もがそう思った。
※※※※※
十四子と付き合って二回目のバレンタイン。昨年は、手作りのチョコを貰うという夢のような出来事があった。
あの時はチョコが欲しい、欲しいと朝からずっと言っていたが今年の高杉は一味違った。貰うのを待つのではなく、自分が上げればいいのだと。
絶対に女性から男性に渡さなければならないイベントではない。それに、ヅラによれば海外では男性から女性に贈るのが主流だと言うではないか。
ならば自分からチョコを渡せばいい。そうと決まれば行動は早かった。スマホを取り出して「バレンタイン」と検索する。すると画面いっぱいに「バレンタイン特集」や「チョコレート」の文字でいっぱいになった。そのページを一つ一つ確認していく。どのページも甘そうなチョコが載っている。ただそれだけでお腹がいっぱいになりそうな程だ。
その中からいくつか気になる物をピックアップしてメモに残す。通販でも買えるが、本当にそれが十四子に渡すに相応しい物か自分の目で確かめたい。見た目が良くても味がイマイチだったり、味は良くても見た目がイマイチだったり。半端な物を贈って十四子の天使のよえな笑顔を曇らせる訳にはいかなかった。
そうして何日にも渡る情報収集と十四子との結婚式用に貯めていた貯金をいくらか下ろし、駅前のデパートへと向かった。
が、いざ実物を目にすると迷ってしまった。どのチョコレートも美味しそうできらびやかだった。特集で組まれていたチョコレートは勿論、それ以外のチョコレートも輝いて見えた。
あのチョコレートは美味しそうだし、その隣のチョコレートは見た目が可愛らしい。美味しいチョコなら「美味しい!」と笑ってくれる。見た目が可愛いなら「可愛い!」と笑ってくれる。
あれもよさそう、これもよさそうと思えば思う程に迷い悩んでしまう。そうして気付けばガラスケースの前で一時間近くも立ち尽くしてしまっていた。
結局、両手いっぱいに紙袋を抱えて帰ってくる事になった。本当なら全部と言いたかったが、学生の予算には限りがある。バイトでコツコツ貯めている貯金は十四子との結婚資金だ。多少なら使っても問題ないが、無駄遣いは禁物である。
店員さんの力も借りて、どうにか十個に絞った。選んだ時になんだか異様に盛り上がっていたが、女性は毎回こんな苦労をしながらチョコを選んでいたのかと思うと頭が下がる。
バレンタインまでまだ日にちがあるので、鍵のかかる戸棚に隠した。ちゃんと隠しておかないと、遊びに来た銀時に勝手に食べられかねない。
バレンタインは平日で、学校に行ったら真っ先に十四子に会いに行こうと心に決めた。
※※※※※
当日、あまりにも楽しみずきて朝の五時には目が覚めてしまった。二度寝して寝坊するのも怖いので、このままのんびりと支度をする事にした。いつもより入念に洗顔と髪を整える。朝食まで用意した。十四子と結婚したら家事もやるつもりだ。女性が家事をするという時代はもう古い。男だって家事が出来て当たり前であるし、十四子が望むなら家庭に入ってもいい。とにかく、彼女が幸せになるならなんだってするつもりだ。
結局、いてもたってもいられなくなりかなり早く家を出た。学校に一番乗りしてもおかしくない時間だ。それで、十四子に一番最初に会えるなら問題ないし、少しでも長く一緒に居られるなら嬉しい事はない。
「ばっかじゃねぇの……」
両手いっぱいの紙袋を見た十四子の第一声はそれだった。でも、それは本当にバカにするような声じゃないのはハッキリと分かっている。
会えたのはいつも通りに昼休みになってしまったが、のんびりと中庭で弁当とチョコレートを広げる事が出来たのでよしとする。それに勿論、十四子の手作りクッキーを貰ったので天にも昇る気持ちでる。
「でもさ、これだけ買ってきたなら私の要らないんじゃねぇか?」
ポツリと漏らした言葉。律儀な十四子だから彼女自身でも用意してくる事も当然あり得る筈だ。そこを失念していたのは自身の落ち度。これだけ沢山買われてきては、気を使ったり落ち込んでしまう可能性だってあった。自分がされたら、例えば万が一にでも自分よりも銀時の方が立派なプレゼントを用意していたら殴り倒しているかもしれない。
十四子に喜んで欲しい。その一心だったのに、逆に暗い顔をさせてしまうなどやってはいけない事だ。勿論、十四子の用意したチョコが見劣りするとかそんな事は一切ない。世界中で一番の贈り物である。だが、舞い上がって相手の気持ちを考えられないなど彼氏失格である。
「悪ぃ……舞い上がって結局自分の事しか考えられてなかったみてぇだ……」
「いや…私も余計な事言っちまったし……」
「余計なんかじゃねぇ!おかげで自分の過ちに気付いた。こんな状況で言うのもおかしいかもしれねぇが、こんな俺でも結婚してくれるか…?」
「う…うん?はぁ!?結婚!?」
「それにチョコ買うのに十四子との結婚資金用の貯金を使っちまったんだ…」
「えっ待って話について行けねぇんだけど!?」
相手の気持ちを考えられなかった挙げ句、結婚資金にも手を付けてしまったダメな彼氏。頭を下げたと所で愛想を尽かされても仕方ない。だが、隠し事をしているよりもずっとマシである。
沈黙の後、少し大きな溜め息が聞こえた。
「訳わかんねぇけど、お前の気持ちは……ちゃんと嬉しいよ」
別れると言われる事を覚悟していたのに、予想していなかった言葉が降ってきた。顔を上げればほんのり頬を染めた十四子が目に映った。
「ほら!昼終わっちまうからさっさと弁当食え!そんで、チョコ一緒に食うぞ。こんなに食べきれねぇよ」
「お、おう!十四子、好きだ!!世界で一番可愛い!!」
「うるせぇ!黙って食え!」
殴られた肩は少々痛むがこれも愛。結婚資金だけではなく養育費も見据えて貯金しようと心に決めたのだった。
一人の少年がガラスケースを睨み付けていた。かれこれ一時間以上はそうしているだろうか。微動だにせず、その場にずっと立ち続けている。
バレンタインの催事場にはあまりに似つかわしくない風景。比較的人の少ない時間とはいえ、その異様な様子に関わるまいと足早に周りの人間は去っていく。
この事態にどうした物かと困っているのは店員である。明らかに不審ではあるが、何か被害がある訳ではない。仮にクレームや喧嘩を売りに来られたなら、もう手を出されていてもおかしくはないが、ただその場に立っているだけだ。さらに、この時間の警備員はおじいちゃんで頼りない。営業妨害と言えばそうかもしれないが、まだ集客はまばらな時期である。下見が殆んどで、本格的になるのはもう少し先だ。
しかし、怖いものは怖い。学ランに赤いシャツと眼帯。目付きは悪く、どこからどう見ても不良にしか見えない。下手に声をかけて何かあっても困る、と迂闊に手を出せない。でも、この状況が続くのも困る。周りに目配せしてから一人の店員が意を決して声をかけた。
「あの…お客様、何かお探しでしょうか…?」
少し震えた声に店員たちは固唾を飲んで見守る。武器代わりのほうきを握りしめる者、いつでも人が呼べるように受話器を握りしめる者。全員が少年が動き出すのをじっと待つ。
少年は相変わらずガラスケースを睨み付けている。動く事も返事をする事もない少年に、いよいよほうきを構え受話器を持ち上げようとした時に、ついに動いた。
「………の、…ょに……ちょ……ぁ……た……」
とてつもなく小さな声で少年が喋った。声をかけた店員しか聞こえない声量だった。ひとまず周りの応戦しようとした店員を制して、耳を傾けてみた。
「かの…ょに、ちょこをあ……げた…くて……」
「彼女さんにチョコをあげたい……という事でしょうか…?」
復唱した店員の声に一斉に少年へと視線が向かう。今度は警戒ではなく、期待のような眼差しだ。視線に気付いた少年は躊躇いながらも小さく頷いた。
「その……彼女に、渡してぇんだけど……初めてで、どれがいいかとか、分からなくて……」
催事場に少年の声が響く。少年はカバンからカタログを取り出した。入り口で無料で配られているカタログだ。それには付箋が沢山貼られているのが見えた。カタログの他にもバレンタインの特集を組まれた雑誌まであった。その雑誌にもいくつもの付箋が貼られている。
店員たちは今すぐにでもブースから飛び出したくなった。握り締めていたほうきや受話器を置き、一番オススメのチョコレートを用意する。
目の前に居るのは不良ではなく恋する少年だ。恋する乙女と言っても過言ではない、まごう事なき恋する少年だ。
「うちの新作のトリュフはいかがですか…!」
痺れを切らした一人の店員が声を上げた。
「こっちは四種類のフレーバーが楽しめますよ…!」
「動物モチーフの見た目も可愛いチョコレートもありますよ!」
「マカロンやクッキーはいかがですか!」
一斉に店員たちが少年へと駆け寄った。こんなにトキメク事なんて滅多にない。少女マンガやドラマみたいな出来事に、心が踊らない筈がない。ずっと動かずに居たのは彼女の為に調べてはみたが、いざ実際に目にすると分からなくなってしまったのだろう。あまりにもいじらしい。
今度は少年がたじろぐ番だった。なにせ四方八方から店員がチョコレートを持って飛び出して来たのだ。けれど、すぐに少年は自分の為の行為だと理解して受け入れた。次々に出されたチョコレートを食べては質問を繰り返す。それに店員も応える。チョコレートは新しい物が次から次へとやってきた。
本番はまだ先だがきっと今日が一番盛り上がった日だと、その場に居た誰もがそう思った。
※※※※※
十四子と付き合って二回目のバレンタイン。昨年は、手作りのチョコを貰うという夢のような出来事があった。
あの時はチョコが欲しい、欲しいと朝からずっと言っていたが今年の高杉は一味違った。貰うのを待つのではなく、自分が上げればいいのだと。
絶対に女性から男性に渡さなければならないイベントではない。それに、ヅラによれば海外では男性から女性に贈るのが主流だと言うではないか。
ならば自分からチョコを渡せばいい。そうと決まれば行動は早かった。スマホを取り出して「バレンタイン」と検索する。すると画面いっぱいに「バレンタイン特集」や「チョコレート」の文字でいっぱいになった。そのページを一つ一つ確認していく。どのページも甘そうなチョコが載っている。ただそれだけでお腹がいっぱいになりそうな程だ。
その中からいくつか気になる物をピックアップしてメモに残す。通販でも買えるが、本当にそれが十四子に渡すに相応しい物か自分の目で確かめたい。見た目が良くても味がイマイチだったり、味は良くても見た目がイマイチだったり。半端な物を贈って十四子の天使のよえな笑顔を曇らせる訳にはいかなかった。
そうして何日にも渡る情報収集と十四子との結婚式用に貯めていた貯金をいくらか下ろし、駅前のデパートへと向かった。
が、いざ実物を目にすると迷ってしまった。どのチョコレートも美味しそうできらびやかだった。特集で組まれていたチョコレートは勿論、それ以外のチョコレートも輝いて見えた。
あのチョコレートは美味しそうだし、その隣のチョコレートは見た目が可愛らしい。美味しいチョコなら「美味しい!」と笑ってくれる。見た目が可愛いなら「可愛い!」と笑ってくれる。
あれもよさそう、これもよさそうと思えば思う程に迷い悩んでしまう。そうして気付けばガラスケースの前で一時間近くも立ち尽くしてしまっていた。
結局、両手いっぱいに紙袋を抱えて帰ってくる事になった。本当なら全部と言いたかったが、学生の予算には限りがある。バイトでコツコツ貯めている貯金は十四子との結婚資金だ。多少なら使っても問題ないが、無駄遣いは禁物である。
店員さんの力も借りて、どうにか十個に絞った。選んだ時になんだか異様に盛り上がっていたが、女性は毎回こんな苦労をしながらチョコを選んでいたのかと思うと頭が下がる。
バレンタインまでまだ日にちがあるので、鍵のかかる戸棚に隠した。ちゃんと隠しておかないと、遊びに来た銀時に勝手に食べられかねない。
バレンタインは平日で、学校に行ったら真っ先に十四子に会いに行こうと心に決めた。
※※※※※
当日、あまりにも楽しみずきて朝の五時には目が覚めてしまった。二度寝して寝坊するのも怖いので、このままのんびりと支度をする事にした。いつもより入念に洗顔と髪を整える。朝食まで用意した。十四子と結婚したら家事もやるつもりだ。女性が家事をするという時代はもう古い。男だって家事が出来て当たり前であるし、十四子が望むなら家庭に入ってもいい。とにかく、彼女が幸せになるならなんだってするつもりだ。
結局、いてもたってもいられなくなりかなり早く家を出た。学校に一番乗りしてもおかしくない時間だ。それで、十四子に一番最初に会えるなら問題ないし、少しでも長く一緒に居られるなら嬉しい事はない。
「ばっかじゃねぇの……」
両手いっぱいの紙袋を見た十四子の第一声はそれだった。でも、それは本当にバカにするような声じゃないのはハッキリと分かっている。
会えたのはいつも通りに昼休みになってしまったが、のんびりと中庭で弁当とチョコレートを広げる事が出来たのでよしとする。それに勿論、十四子の手作りクッキーを貰ったので天にも昇る気持ちでる。
「でもさ、これだけ買ってきたなら私の要らないんじゃねぇか?」
ポツリと漏らした言葉。律儀な十四子だから彼女自身でも用意してくる事も当然あり得る筈だ。そこを失念していたのは自身の落ち度。これだけ沢山買われてきては、気を使ったり落ち込んでしまう可能性だってあった。自分がされたら、例えば万が一にでも自分よりも銀時の方が立派なプレゼントを用意していたら殴り倒しているかもしれない。
十四子に喜んで欲しい。その一心だったのに、逆に暗い顔をさせてしまうなどやってはいけない事だ。勿論、十四子の用意したチョコが見劣りするとかそんな事は一切ない。世界中で一番の贈り物である。だが、舞い上がって相手の気持ちを考えられないなど彼氏失格である。
「悪ぃ……舞い上がって結局自分の事しか考えられてなかったみてぇだ……」
「いや…私も余計な事言っちまったし……」
「余計なんかじゃねぇ!おかげで自分の過ちに気付いた。こんな状況で言うのもおかしいかもしれねぇが、こんな俺でも結婚してくれるか…?」
「う…うん?はぁ!?結婚!?」
「それにチョコ買うのに十四子との結婚資金用の貯金を使っちまったんだ…」
「えっ待って話について行けねぇんだけど!?」
相手の気持ちを考えられなかった挙げ句、結婚資金にも手を付けてしまったダメな彼氏。頭を下げたと所で愛想を尽かされても仕方ない。だが、隠し事をしているよりもずっとマシである。
沈黙の後、少し大きな溜め息が聞こえた。
「訳わかんねぇけど、お前の気持ちは……ちゃんと嬉しいよ」
別れると言われる事を覚悟していたのに、予想していなかった言葉が降ってきた。顔を上げればほんのり頬を染めた十四子が目に映った。
「ほら!昼終わっちまうからさっさと弁当食え!そんで、チョコ一緒に食うぞ。こんなに食べきれねぇよ」
「お、おう!十四子、好きだ!!世界で一番可愛い!!」
「うるせぇ!黙って食え!」
殴られた肩は少々痛むがこれも愛。結婚資金だけではなく養育費も見据えて貯金しようと心に決めたのだった。
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