はしゃぐ(銀土)

食の準備。
3人で食卓を囲って食べる。
珍しく神楽がおかわりしなかったのは、食後のデザートが楽しみで仕方ないからだろう。土方もどこかそわそわしている。

2人が冷蔵庫からプリンを持ってくる間に、テーブルにレジャーシートを引いておく。
万が一の事もあるし、神楽が興奮してプリンをあちこちに飛ばしかねない。

少し緊張した面持ちで2人がバケツに大皿をあてる。

「「せーの…!」」


結果は、というと失敗だった。
冷やし時間が足りなかったのか、分量に無理があったのか、プリンは崩れてしまった。
全く固まっていないわけではなかったが、自立するまでには到らなかった。
目に見えてシュン…とする2人を横目にスプーンでプリンを掬う。

「うん!美味い!!今まで食べたプリンで1番美味い!!」

2人はキョトンとした後に、

「当たり前だろ!」
「当たり前アル!」

と誇らしそうに笑った。
プリンは殆どが神楽の腹に治まって、カラメル部分は土方が気に入りって食べてしまったおかげで、俺は黄色い部分をひたすら食べる、という事になった。

「それじゃあ、私は姉御の所に行ってくるヨ!」
「えっ聞いてないよ!?」
「言ってないからアル。はしゃぎすぎて、ハメすぎるなヨ」

そう言うと神楽は押し入れから荷物を取り出して、さっさと万事屋を出て行ってしまった。

「気ぃ使われちまったな」
「今度、神楽の好きな物を土産に買って来てやらねぇとな」
「ま、今日はお言葉に甘えて…土方くんいい?」
「ああ」

1ヶ月ぶりのキス。
軽いものが、舌を絡める深い物になっていく。

「なぁ、ファーストキスはレモンの味って言うけど、今どんな味がした?」
「たぶん一緒だな」

「「プリン」」
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