土総受けワンライ ホラー

『かぶき町動物園では、水浴びする動物たちが見られ』
 適当に付けたテレビはほっこりしたニュースを流していた。人間が暑いになら当然動物たって暑いに決まっている。
 旅行疲れで作る気力はなかった為、スーパーで弁当を買ってきた。味気ないがたまにはこういうのもいいだろう。
「……ぅ……ぅぅ……」
「高杉、お前なんか言った?」
「いいや?」
「ぅ…ぅぅ……」
「……うめき声?」
 どうやら高杉にも聞こえたらしい。男のうめき声が聞こえた。テレビかと思ったが、芸能人の笑い声しかない。とてもじゃないがうめき声を発する状況ではない。
 暫く耳を澄ませてみたが、それ以降うめき声は聞こえてこなかった。なんだか異臭もする。これは冷蔵庫がジャングルと化した名残りかもしれないが。二人の胸には不安が残った。
 翌日、お土産を渡すのも兼ねて二人で隣人を訪ねた。インターフォンを鳴らし、声をかけても反応がない。
 違和感を感じ管理会社へと連絡をしてドアを開けた。

「でもよかったよな、おっさん」
 弁当のパックを開けながら土方が言った。
 ドアを開けると部屋の中で隣人は倒れ、その拍子に頭を打っていた。幸い命に別状はなく、数日すれば退院できるそうだ。
 最初、死んでいるのかとパニックを起こした。そこから救急車を呼び病院にまで付き添う事になった為、もうヘトヘトだ。スーパーに寄って弁当を買う気力しかなかった。
「……」
「どうした、高杉?」
 なぜか高杉は無言である。不機嫌という訳でもなさそうである。弁当も二人で選んで買ったし、嫌いな食べ物は入っていないはずだ。
「……た」
「え?」
「……財布落とした」
「……お前もうマジでこれ以上はやめろよ」
「……スマホも」
「はあああああ!?マジふざけんな!!あれ見られたらもうあのスーパー行けねぇだろ!!」
 財布は高杉の現金やカードしかないから別にいい。問題はスマホの方だ。よりによってロック画面が、土方のハメ撮り写真である。
「あれ見られてたら別れるからな!!」
 すぐさま高杉を一番可能性の高いスーパーに走らせた。無事に両方とも預けられており、高杉は安堵した。スマホは運良く充電切れで画面も見られていなかった。
 本当にこれ以上のホラーはこりごりである。

白ルートEND  少し怖い夏の日常
2/4ページ
スキ