いつかこんな未来も-来るかもしれない運転-
「さっみぃーー!無理無理!もう帰ろうぜ!人多いし」
「バカ言うな来たばっかりだろうが!そもそもお前が『初詣行こうぜ!』って言い出したんだろうが!!」
「えーその時のノリッていうか」
「テメェの言葉には責任を持て」
年が明け神社の境内は賑わっている。
いつもなら「人が多いし面倒臭ぇから三が日は避けようぜ」と言って1週間程経ってから初詣に向かう。ところが「元日に初詣に行こうぜ!」と急に銀時が言い出した。それも大晦日の夜にである。
今回も落ち着いた頃に行くのだと思っていた土方は当然何も準備していない。銀時も思い付きなので同様である。あと少しで年も明けるというのに、テレビの除夜の鐘をBGMに正座で土方の説教を聞く事になった。
で、来てみれば寒さと人の多さに帰ると言い出す始末である。「正月だからまだ寝かせろ」言う銀時を叩き起こしさらに2人分の準備までした土方が怒るのも仕方がない。これでは完全に子供の我が儘に振り回される母親のようである。
「土方さん!明けましておめでとうございます!」
「おめでとう。今年もよろしく」
「はい!よろしくお願いします!」
「新年から土方さんに会えるなんて、配置ここでよかったー!」
「俺も!皆に自慢してやろ!」
「お前ら俺に会ったくらいで大袈裟だなぁ」
警備中の真選組の隊士が2人、土方に声をかける。よくこの人混みで見付けられたものだと感心した。余程嬉しかったのか一方が無線で一報を入れると「ずるい!」だとか「俺も今から挨拶に行きます!」と返事が入る。
「屯所には後で挨拶に行くからそれまで待ってろと伝えてくれ」
「了解しました!」
このままでは隊士たちが警備そっちのけで駆けつけてしまうと感じ、後から行く事を伝えた。自分よりもまず、神様か局長に挨拶する方が先だと思うのだが。
「ねぇ、俺もいるんだけど」
「あ、旦那明けましておめでとうございます」
「いらしたんですか。明けましておめでとうございます」
「おい!最初から目が合ってたろ!ふざけんな!」
「あれ、お前も来てたの?寝てればよかったのに」
「十四郎まで!?」
正式に届けを出し結婚したという報告をしてからというもの、少し銀時への当たりが強くなっていた。2人の関係は元から知られていたが、婚姻が受理された事と薬指の指輪のせいかもしれない。指輪を見てその場に崩れ落ちて暫く使い物にならなかった隊士たちが居たとか居なかったとか。
挨拶を適当な所で切り上げ人混みのなか本殿に向かう。三が日の境内は多くの人で賑わっている。商売繁盛のご利益で有名な神社だから、一般の人だけでなく商売をしている人も多く訪れる。屋台もズラリと並んでいて正月からよく働く物だと思う。
本殿にたどり着く事ですら一苦労だ。人が多いから歩みはゆっくりだし、知り合いにやたらと遭遇するから挨拶をしては立ち止まり、歩き出したと思ったらまた立ち止まる。
ようやく着いたと思えば長蛇の列。参拝するまでにどれだけ待てばいいのだろうか。遊園地のアトラクションにでも並んでいるような気分だ。
ようやく順番が回って手を合わせる。やたらと銀時が長い間念じているようだったが、終わりそになかったので首根っこを掴み強制終了させた。
それから本殿の奥に向かい、警備本部に挨拶をした。何か差し入れでもすればよかったと思ったが、それは屯所に行く時に改めてする事にしよう。
「あ、銀ちゃんにトシ!」
「あら、明けましておめでとうございます」
来た道を戻っていると神楽とお妙に会った。新八も来ていたようだが、はぐれてしまったという。
「そうだ銀ちゃん!今から新年会するアル!」
「いいわね、皆呼びましょう」
「今からぁ!?まさか俺んとこでするんじゃねぇよな…?」
「銀ちゃんの所でする以外にどこでするアルか?」
「いいんじゃねぇの?俺は手伝わねぇけど」
「土方さんがいいって言ってるなら決定ですね」
「いやうちは7日まで休業って決めてるんだけど!?というか十四郎やっぱ怒ってる?怒ってるよね!?」
「別にぃ。急に初詣行くと言い出したり、正月だから寝かせろとか言われた事になんて怒ってませんけど?」
「ごごこごめんなさい!!許しください!!」
「どーしよーかなー。とりあえず、美味い飯が食えれば機嫌が良くなるかもなー」
「腕によりをかけて作らせて頂きます!!」
「美味い酒も飲みてぇなー」
「隠してる秘蔵の酒をお出しします!!」
「皆呼ぶアルよ!つっきーもさっちゃんもそよちゃんも呼んでいいアルか!?」
「新ちゃんにも声をかけないとね。ゴリラは放っておきましょ」
「好きなだけ呼べばいいだろコノヤロオオオー!!!」
「いらっしゃい!空いてる所に適当に座ってくれ」
「日替わり2、唐揚げ1、野菜炒め1だ」
「はいよっ。十四郎、カツ丼できたから持って行ってくれ」
「おう」
お登勢の店内は今日も賑わっている。開くのは気まぐれ不定期だというのに、一度開店するば、どこからか聞き付けて皆が集まってくる。
「銀さーん!来たよー!」
「ありがとよ!カウンターでもいい?」
「土方さんお疲れ様です!」
「よぉ、悪ぃけどちょっと待っててくれるか?」
何でもない日常を今日もまた歩いていく。
1人が2人、3人と一緒に歩く人たちが生きていく時間の中で増えていく。
迷って、立ち止まって、走って、転んで。
この道には壁も穴もあって、分かれ道も行き止まりもあって決して真っ直ぐで平坦な道ではなかったけれど。
闇雲に走って、泥だらけになった。歩いても小さな石に躓いて転んでばかり。そのうち走るのも歩くのも嫌になった。けれど、その道の途中で君と出会った。
「いらっしゃいませ。ああ、好きな所に座ってくれ」
「よぉ!兄ちゃんたちもすっかり常連だな」
「今日の日替わりはエビマヨだ。オススメは天津飯だ。ん?…それにするのか?それを選ぶとは流石だな!!そっちはマズイけどいいか?………銀時!土方スペシャル1、宇治銀時丼1だ!!」
「聞こえてんだよ!マズイとはなんだ!宇治銀時丼を選ぶとは分かってんじゃねぇか!」
「兄ちゃんたちそれを選ぶのかい!?」
「宇治銀時丼と土方スペシャルが出たぞー!!」
「よっしゃ!俺は完食出来ないに賭ける!」
「俺も!」
「私も!」
「「テメェらどういうつもりだコラァ!!」」
泥だらけになりながら、涙を流しながら。
道の途中で会えなくなった人もいる。
時間は有限だ。命は永遠じゃない。
けれど、魂は消える事はない。
例え死が2人を別つとも。
繋がれた想いが道になり未来になって、これから先も続いているであろうこの道を進んで行けば。
「よっしゃあー!」
「やった…!」
「お前も合格?おめでとう!そんでよろしくな!」
「ありがとう。お前も、おめでとう。えっと…」
「あ、俺は坂田銀時!」
「土方十四郎だ。よろしく坂田」
「なぁその持ってるお守りって手作りか?」
「ああ、よくわかったな。義姉さんが作ってくれたんだ」
「いい柄だな!土方に似合ってる気がする」
「そうか…?そんな事初めて言われたな…」
「なんつーの?想いが込められてる、みたいな?」
「じじくせぇな」
「誰がジジイだ!白髪じゃなくて銀髪だからねっ!?」
「誰も髪の事なんて言ってねぇよ、天パ」
「今、言った!今確実に天パって言いましたああああああ!!」
いつかまた肩を並べてこの道を歩く日が来るだろう。
「バカ言うな来たばっかりだろうが!そもそもお前が『初詣行こうぜ!』って言い出したんだろうが!!」
「えーその時のノリッていうか」
「テメェの言葉には責任を持て」
年が明け神社の境内は賑わっている。
いつもなら「人が多いし面倒臭ぇから三が日は避けようぜ」と言って1週間程経ってから初詣に向かう。ところが「元日に初詣に行こうぜ!」と急に銀時が言い出した。それも大晦日の夜にである。
今回も落ち着いた頃に行くのだと思っていた土方は当然何も準備していない。銀時も思い付きなので同様である。あと少しで年も明けるというのに、テレビの除夜の鐘をBGMに正座で土方の説教を聞く事になった。
で、来てみれば寒さと人の多さに帰ると言い出す始末である。「正月だからまだ寝かせろ」言う銀時を叩き起こしさらに2人分の準備までした土方が怒るのも仕方がない。これでは完全に子供の我が儘に振り回される母親のようである。
「土方さん!明けましておめでとうございます!」
「おめでとう。今年もよろしく」
「はい!よろしくお願いします!」
「新年から土方さんに会えるなんて、配置ここでよかったー!」
「俺も!皆に自慢してやろ!」
「お前ら俺に会ったくらいで大袈裟だなぁ」
警備中の真選組の隊士が2人、土方に声をかける。よくこの人混みで見付けられたものだと感心した。余程嬉しかったのか一方が無線で一報を入れると「ずるい!」だとか「俺も今から挨拶に行きます!」と返事が入る。
「屯所には後で挨拶に行くからそれまで待ってろと伝えてくれ」
「了解しました!」
このままでは隊士たちが警備そっちのけで駆けつけてしまうと感じ、後から行く事を伝えた。自分よりもまず、神様か局長に挨拶する方が先だと思うのだが。
「ねぇ、俺もいるんだけど」
「あ、旦那明けましておめでとうございます」
「いらしたんですか。明けましておめでとうございます」
「おい!最初から目が合ってたろ!ふざけんな!」
「あれ、お前も来てたの?寝てればよかったのに」
「十四郎まで!?」
正式に届けを出し結婚したという報告をしてからというもの、少し銀時への当たりが強くなっていた。2人の関係は元から知られていたが、婚姻が受理された事と薬指の指輪のせいかもしれない。指輪を見てその場に崩れ落ちて暫く使い物にならなかった隊士たちが居たとか居なかったとか。
挨拶を適当な所で切り上げ人混みのなか本殿に向かう。三が日の境内は多くの人で賑わっている。商売繁盛のご利益で有名な神社だから、一般の人だけでなく商売をしている人も多く訪れる。屋台もズラリと並んでいて正月からよく働く物だと思う。
本殿にたどり着く事ですら一苦労だ。人が多いから歩みはゆっくりだし、知り合いにやたらと遭遇するから挨拶をしては立ち止まり、歩き出したと思ったらまた立ち止まる。
ようやく着いたと思えば長蛇の列。参拝するまでにどれだけ待てばいいのだろうか。遊園地のアトラクションにでも並んでいるような気分だ。
ようやく順番が回って手を合わせる。やたらと銀時が長い間念じているようだったが、終わりそになかったので首根っこを掴み強制終了させた。
それから本殿の奥に向かい、警備本部に挨拶をした。何か差し入れでもすればよかったと思ったが、それは屯所に行く時に改めてする事にしよう。
「あ、銀ちゃんにトシ!」
「あら、明けましておめでとうございます」
来た道を戻っていると神楽とお妙に会った。新八も来ていたようだが、はぐれてしまったという。
「そうだ銀ちゃん!今から新年会するアル!」
「いいわね、皆呼びましょう」
「今からぁ!?まさか俺んとこでするんじゃねぇよな…?」
「銀ちゃんの所でする以外にどこでするアルか?」
「いいんじゃねぇの?俺は手伝わねぇけど」
「土方さんがいいって言ってるなら決定ですね」
「いやうちは7日まで休業って決めてるんだけど!?というか十四郎やっぱ怒ってる?怒ってるよね!?」
「別にぃ。急に初詣行くと言い出したり、正月だから寝かせろとか言われた事になんて怒ってませんけど?」
「ごごこごめんなさい!!許しください!!」
「どーしよーかなー。とりあえず、美味い飯が食えれば機嫌が良くなるかもなー」
「腕によりをかけて作らせて頂きます!!」
「美味い酒も飲みてぇなー」
「隠してる秘蔵の酒をお出しします!!」
「皆呼ぶアルよ!つっきーもさっちゃんもそよちゃんも呼んでいいアルか!?」
「新ちゃんにも声をかけないとね。ゴリラは放っておきましょ」
「好きなだけ呼べばいいだろコノヤロオオオー!!!」
「いらっしゃい!空いてる所に適当に座ってくれ」
「日替わり2、唐揚げ1、野菜炒め1だ」
「はいよっ。十四郎、カツ丼できたから持って行ってくれ」
「おう」
お登勢の店内は今日も賑わっている。開くのは気まぐれ不定期だというのに、一度開店するば、どこからか聞き付けて皆が集まってくる。
「銀さーん!来たよー!」
「ありがとよ!カウンターでもいい?」
「土方さんお疲れ様です!」
「よぉ、悪ぃけどちょっと待っててくれるか?」
何でもない日常を今日もまた歩いていく。
1人が2人、3人と一緒に歩く人たちが生きていく時間の中で増えていく。
迷って、立ち止まって、走って、転んで。
この道には壁も穴もあって、分かれ道も行き止まりもあって決して真っ直ぐで平坦な道ではなかったけれど。
闇雲に走って、泥だらけになった。歩いても小さな石に躓いて転んでばかり。そのうち走るのも歩くのも嫌になった。けれど、その道の途中で君と出会った。
「いらっしゃいませ。ああ、好きな所に座ってくれ」
「よぉ!兄ちゃんたちもすっかり常連だな」
「今日の日替わりはエビマヨだ。オススメは天津飯だ。ん?…それにするのか?それを選ぶとは流石だな!!そっちはマズイけどいいか?………銀時!土方スペシャル1、宇治銀時丼1だ!!」
「聞こえてんだよ!マズイとはなんだ!宇治銀時丼を選ぶとは分かってんじゃねぇか!」
「兄ちゃんたちそれを選ぶのかい!?」
「宇治銀時丼と土方スペシャルが出たぞー!!」
「よっしゃ!俺は完食出来ないに賭ける!」
「俺も!」
「私も!」
「「テメェらどういうつもりだコラァ!!」」
泥だらけになりながら、涙を流しながら。
道の途中で会えなくなった人もいる。
時間は有限だ。命は永遠じゃない。
けれど、魂は消える事はない。
例え死が2人を別つとも。
繋がれた想いが道になり未来になって、これから先も続いているであろうこの道を進んで行けば。
「よっしゃあー!」
「やった…!」
「お前も合格?おめでとう!そんでよろしくな!」
「ありがとう。お前も、おめでとう。えっと…」
「あ、俺は坂田銀時!」
「土方十四郎だ。よろしく坂田」
「なぁその持ってるお守りって手作りか?」
「ああ、よくわかったな。義姉さんが作ってくれたんだ」
「いい柄だな!土方に似合ってる気がする」
「そうか…?そんな事初めて言われたな…」
「なんつーの?想いが込められてる、みたいな?」
「じじくせぇな」
「誰がジジイだ!白髪じゃなくて銀髪だからねっ!?」
「誰も髪の事なんて言ってねぇよ、天パ」
「今、言った!今確実に天パって言いましたああああああ!!」
いつかまた肩を並べてこの道を歩く日が来るだろう。
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