五月病
「せんせー、病気なんで休ませろ」
「嘘つけ。とっとと教室へ帰れ」
机に向かって振り向きもせずに土方が答えた。
高杉は暇さえあれば保健室へとやってくる。体調不良だとか、勉強が分からないとか適当な事を言って入り浸ろうとする。それが嘘である事を知っている土方は、バッサリと否定して追い返すのがいつもの事である。
高杉と土方は年が離れているが、家が隣だった事もあって兄弟のように育った。土方は進学で他県に引っ越してしいたのだが、地元の学校の保険医に就職が決まった。そうして数年振りに再会した訳だが、あんなに可愛らしかった高杉少年は立派なクソガキに成長していたのである。
「マジでダルイんだって。何にもやる気しねぇし。こりゃあ病気じゃねぇか?」
「そんな病気ある訳ねぇだろ」
「あれだよ、五月病」
「ならテメェは万年五月病だな。分かったら教室へ帰れ」
高杉にやる気がないのは今に始まった事ではない。勉強も部活にもやる気がないクセに、成績は上の方だ。運動神経もいい。だが、壊滅的に本当にはやる気がない。
「ちゃんと調べてくれよ。あんた仮にも医者だろ」
「調べなくてもお前が仮病なのは分かってんだよ」
このやり取りも何度やった事か。よく飽きない物だと土方は感心する。
「仮病も立派な病気だろ」
一方の高杉も慣れているせいでなんとも思わない。そのまま土方の後ろに立つと、胸の前に手を這わせる。
その怪しい手つきに土方の身体は反応した。くすぐったいだけだが、その触りかたに妙な気持ちになりそうなので、辞めろと手を掴んでやめさせた。
「触るくらいいいだろ」
「なんか嫌なんだよお前の触り方は!」
子供の頃から知っている仲だ。身体が触れるようなスキンシップなんていくらでもしてきた。だが、高杉の触りかたには子供にはない明確な意志がある。
「触診が駄目なら、ぶっといお注射してやろうかぁ?」
「……なんだそのセリフ」
「この前、銀時の家で見たAV」
高校生にもなればAVの一本や二本お世話になるのはよくある話だ。年齢の事はあるがそこまでとやかく言うつもりはない。
「そうか」
「なんだ、嫉妬したのか?」
「する訳ねぇだろ」
「安心しろ。勃たなかった」
「………は?」
勃たなかった……?土方は心の中で反復した。まだ若いのにEDなんて可哀想。これから先、かわいい彼女を作っても抱けないなんて、なんと可哀想な事か。
専門医ではないから詳しくはないが、昔のよしみで治療には協力してやりたい。だってこれはあまりに可哀想過ぎる。
「あー……気を落とすな。俺は専門医じゃねぇから分かねぇけど、病院は調べてやっから……」
「あんたにしか勃たねぇ」
「……………………は?」
「あんたにしか勃……」
「やめろ!それ以上言うな!!」
聞きたくない言葉が高杉から出てきた。高杉は下半身ではなく頭の方が病気の可能性がある。どちらにせよ可哀想なの変わらない。早く治療をしてやらなければ、己の尻が危険に晒されている気さえする。
「俺ァな先生。五月病だけじゃなくガキの頃から恋煩いって病気なんだが、治し方知ってるか?」
ニヤリと笑う高杉に思わず自分の尻をガードした土方であった。
「嘘つけ。とっとと教室へ帰れ」
机に向かって振り向きもせずに土方が答えた。
高杉は暇さえあれば保健室へとやってくる。体調不良だとか、勉強が分からないとか適当な事を言って入り浸ろうとする。それが嘘である事を知っている土方は、バッサリと否定して追い返すのがいつもの事である。
高杉と土方は年が離れているが、家が隣だった事もあって兄弟のように育った。土方は進学で他県に引っ越してしいたのだが、地元の学校の保険医に就職が決まった。そうして数年振りに再会した訳だが、あんなに可愛らしかった高杉少年は立派なクソガキに成長していたのである。
「マジでダルイんだって。何にもやる気しねぇし。こりゃあ病気じゃねぇか?」
「そんな病気ある訳ねぇだろ」
「あれだよ、五月病」
「ならテメェは万年五月病だな。分かったら教室へ帰れ」
高杉にやる気がないのは今に始まった事ではない。勉強も部活にもやる気がないクセに、成績は上の方だ。運動神経もいい。だが、壊滅的に本当にはやる気がない。
「ちゃんと調べてくれよ。あんた仮にも医者だろ」
「調べなくてもお前が仮病なのは分かってんだよ」
このやり取りも何度やった事か。よく飽きない物だと土方は感心する。
「仮病も立派な病気だろ」
一方の高杉も慣れているせいでなんとも思わない。そのまま土方の後ろに立つと、胸の前に手を這わせる。
その怪しい手つきに土方の身体は反応した。くすぐったいだけだが、その触りかたに妙な気持ちになりそうなので、辞めろと手を掴んでやめさせた。
「触るくらいいいだろ」
「なんか嫌なんだよお前の触り方は!」
子供の頃から知っている仲だ。身体が触れるようなスキンシップなんていくらでもしてきた。だが、高杉の触りかたには子供にはない明確な意志がある。
「触診が駄目なら、ぶっといお注射してやろうかぁ?」
「……なんだそのセリフ」
「この前、銀時の家で見たAV」
高校生にもなればAVの一本や二本お世話になるのはよくある話だ。年齢の事はあるがそこまでとやかく言うつもりはない。
「そうか」
「なんだ、嫉妬したのか?」
「する訳ねぇだろ」
「安心しろ。勃たなかった」
「………は?」
勃たなかった……?土方は心の中で反復した。まだ若いのにEDなんて可哀想。これから先、かわいい彼女を作っても抱けないなんて、なんと可哀想な事か。
専門医ではないから詳しくはないが、昔のよしみで治療には協力してやりたい。だってこれはあまりに可哀想過ぎる。
「あー……気を落とすな。俺は専門医じゃねぇから分かねぇけど、病院は調べてやっから……」
「あんたにしか勃たねぇ」
「……………………は?」
「あんたにしか勃……」
「やめろ!それ以上言うな!!」
聞きたくない言葉が高杉から出てきた。高杉は下半身ではなく頭の方が病気の可能性がある。どちらにせよ可哀想なの変わらない。早く治療をしてやらなければ、己の尻が危険に晒されている気さえする。
「俺ァな先生。五月病だけじゃなくガキの頃から恋煩いって病気なんだが、治し方知ってるか?」
ニヤリと笑う高杉に思わず自分の尻をガードした土方であった。
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