煙草(高土)
「ガキにゃあまだ早ぇ」
「ガキ扱いすんじゃねぇ!元服も済んでんだ!」
吸おうとしていた煙草をひょいと取り上げたのは、黒い洋装に身を包んだ男。天人の文化が入ってきたとはいえ、戦争の最中となればその出立ちは目立ってしまう。
ある日フラりと目の前に現れて、自分も加えろと言ってきた。誰もその男を知らなかったし、この出立ちだ。試験だと言ってひとまず実力を見る為に模擬試合をさせたのだが、男の圧勝であった。
若い者もいるが、それなりに皆戦場の経験がある。それが手も足も出なかった。あの銀時でさえ苦戦を強いられて、半ば運のような形で辛くも勝利したという所だった。
始めは天人のスパイかと警戒していたが、いつの間にかスルリと懐に入りこみ、あっという間に馴染んでしまった。
まだ地球に入ってきて浅い紙巻き煙草を吸う姿は様になっている。まるで、何年も吸ってきたかのような仕草だ。煙管が主流故になかなか手に入る代物でもない。
「総督」
その姿に見惚れていると声をかけられた。それは、突然だったからかそれともこの男に抱いている感情のせいか。
「ゲホッ…!てめぇ何しやがる!?」
「はははっ!むせてるようじゃまだまだガキだな」
顔に煙を吹き掛けられれば、誰だってむせるものだ。ひとしきり笑った後、妖艶に微笑んだ。
「俺の事、好きだろ?」
「……!!」
見透かされたような物言いに息を飲んだ。
「コレがかっこ良く吸えるようになったら、その時には抱かれてやるよ」
そうして男は煙草を咥えると背を向けて歩いて行ってしまった。
「あの野郎……」
今に見ていろ、と拳を握りしめた。
「ガキ扱いすんじゃねぇ!元服も済んでんだ!」
吸おうとしていた煙草をひょいと取り上げたのは、黒い洋装に身を包んだ男。天人の文化が入ってきたとはいえ、戦争の最中となればその出立ちは目立ってしまう。
ある日フラりと目の前に現れて、自分も加えろと言ってきた。誰もその男を知らなかったし、この出立ちだ。試験だと言ってひとまず実力を見る為に模擬試合をさせたのだが、男の圧勝であった。
若い者もいるが、それなりに皆戦場の経験がある。それが手も足も出なかった。あの銀時でさえ苦戦を強いられて、半ば運のような形で辛くも勝利したという所だった。
始めは天人のスパイかと警戒していたが、いつの間にかスルリと懐に入りこみ、あっという間に馴染んでしまった。
まだ地球に入ってきて浅い紙巻き煙草を吸う姿は様になっている。まるで、何年も吸ってきたかのような仕草だ。煙管が主流故になかなか手に入る代物でもない。
「総督」
その姿に見惚れていると声をかけられた。それは、突然だったからかそれともこの男に抱いている感情のせいか。
「ゲホッ…!てめぇ何しやがる!?」
「はははっ!むせてるようじゃまだまだガキだな」
顔に煙を吹き掛けられれば、誰だってむせるものだ。ひとしきり笑った後、妖艶に微笑んだ。
「俺の事、好きだろ?」
「……!!」
見透かされたような物言いに息を飲んだ。
「コレがかっこ良く吸えるようになったら、その時には抱かれてやるよ」
そうして男は煙草を咥えると背を向けて歩いて行ってしまった。
「あの野郎……」
今に見ていろ、と拳を握りしめた。
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