ホワイトデー(万土)
「万斉さんあのこれはいつまで…?」
「充電が終わるまででござるよ」
だだっ広いリビングの大きなソファに万斉の膝の上に座らされかれこれ10分は経っただろうか。
後ろから抱き締めるような体勢で少し動きにくさを感じながらも、冷めてしまったココアを啜った。
年上の恋人である万斉はホストをしている。しかも店の1、2を争う程の人気ぶりで更には幹部として経営にも携わっている。それでなくとも男の土方に対しても気遣いは完璧で、まさに大人の男といった感じである。未だにそんな万斉がまだ高校生で男である土方と付き合っているのか疑問はあるが、万斉の過多とも言える愛情表現により最近はあまり気にならなくなっている。
いつもかけている身体の一部と言ってもいいようなサングラスも外され、こうして甘えてくれるのは正直嬉しい。
女性を甘やかすのが仕事で、接客中だってサングラスすら外さないそうなのだ。それはどうなのかと思ったのだが、そこがクールだとかミステリアスだとかで評判がいいらしい。素顔を見る事が出来るのは万斉が心を開いている人間だけだ、と同僚である高杉に教えて貰った時には舞い上がる程に嬉しかったのを覚えている。
万斉と土方が会うのは久しぶりだった。万斉の方はホワイトデーなどのイベントもあり休む事ができず、土方も期末試験や卒業式の準備などで忙しくしていた。
そうしてやっと会えた頃には2週間近く経っていた。本当ならホワイトデーに渡したかった万斉へのプレゼントはテーブルの上に置かれている。その横には万斉から貰ったプレゼントも。
バレンタインに万斉からプレゼントを貰い、ホワイトデーにそのお返しを用意したのにまた貰ってしまうなんて思いもしなかった。
プレゼントも高級な物ではなく、気負いしない学生でもちょっと頑張れば買えそうな物だった。
万斉ほどの収入であれば高級車くらいポンと買えてしまうのに、気を遣わせないような配慮にまた惚れてしまう。
高杉にもアドバイスを受けながらちょっといい物を買った。そのためにバイトのシフトを増やしたのも、会えなかった理由になったが。万斉の客のお姉さん達にはとても敵いはしないが、プレゼントを渡した時の万斉の反応を見た今ではとても満足している。今日も貰ってしまったのが唯一の誤算だったが「渡したいと思ったから渡したのでござるよ」と微笑まれ、ありがたく受け取る事にした。
万斉に抱き締められているのは嬉しいし、幸せだとも思う。それでも健康な男子高校生にはいささか物足りないと感じる所もある。久しぶりに恋人に会ったというのなら尚更だ。
「なぁ」
「どうしたでござるか?」
「抱き締めるだけか…?」
振り返って素顔の万斉を見つめる。その瞳の中には今土方しか映っていない。自らの瞳にくゆる情欲にもきっと気付かれてしまっている。
「それは、頂いてしまっても?」
「言わせんなバカ!」
どちらともなく口付けて見つめ合うともう一度口付けた。万斉は土方を抱えあげるとリビングを後にした。
「充電が終わるまででござるよ」
だだっ広いリビングの大きなソファに万斉の膝の上に座らされかれこれ10分は経っただろうか。
後ろから抱き締めるような体勢で少し動きにくさを感じながらも、冷めてしまったココアを啜った。
年上の恋人である万斉はホストをしている。しかも店の1、2を争う程の人気ぶりで更には幹部として経営にも携わっている。それでなくとも男の土方に対しても気遣いは完璧で、まさに大人の男といった感じである。未だにそんな万斉がまだ高校生で男である土方と付き合っているのか疑問はあるが、万斉の過多とも言える愛情表現により最近はあまり気にならなくなっている。
いつもかけている身体の一部と言ってもいいようなサングラスも外され、こうして甘えてくれるのは正直嬉しい。
女性を甘やかすのが仕事で、接客中だってサングラスすら外さないそうなのだ。それはどうなのかと思ったのだが、そこがクールだとかミステリアスだとかで評判がいいらしい。素顔を見る事が出来るのは万斉が心を開いている人間だけだ、と同僚である高杉に教えて貰った時には舞い上がる程に嬉しかったのを覚えている。
万斉と土方が会うのは久しぶりだった。万斉の方はホワイトデーなどのイベントもあり休む事ができず、土方も期末試験や卒業式の準備などで忙しくしていた。
そうしてやっと会えた頃には2週間近く経っていた。本当ならホワイトデーに渡したかった万斉へのプレゼントはテーブルの上に置かれている。その横には万斉から貰ったプレゼントも。
バレンタインに万斉からプレゼントを貰い、ホワイトデーにそのお返しを用意したのにまた貰ってしまうなんて思いもしなかった。
プレゼントも高級な物ではなく、気負いしない学生でもちょっと頑張れば買えそうな物だった。
万斉ほどの収入であれば高級車くらいポンと買えてしまうのに、気を遣わせないような配慮にまた惚れてしまう。
高杉にもアドバイスを受けながらちょっといい物を買った。そのためにバイトのシフトを増やしたのも、会えなかった理由になったが。万斉の客のお姉さん達にはとても敵いはしないが、プレゼントを渡した時の万斉の反応を見た今ではとても満足している。今日も貰ってしまったのが唯一の誤算だったが「渡したいと思ったから渡したのでござるよ」と微笑まれ、ありがたく受け取る事にした。
万斉に抱き締められているのは嬉しいし、幸せだとも思う。それでも健康な男子高校生にはいささか物足りないと感じる所もある。久しぶりに恋人に会ったというのなら尚更だ。
「なぁ」
「どうしたでござるか?」
「抱き締めるだけか…?」
振り返って素顔の万斉を見つめる。その瞳の中には今土方しか映っていない。自らの瞳にくゆる情欲にもきっと気付かれてしまっている。
「それは、頂いてしまっても?」
「言わせんなバカ!」
どちらともなく口付けて見つめ合うともう一度口付けた。万斉は土方を抱えあげるとリビングを後にした。
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