ふわこ○りんネタ(万土)

「かわいい…」
 まんまるなフォルムにふかふかなボディ。デフォルメされたデザインを見てかわいいと思わない人間はいないだろう。
 目の前には万斉を模した小さなぬいぐるみがある。次のツアーのグッズの試作品だからと持ち帰ったそれを見て一瞬で虜になってしまった。
「なかなかいい出来であろう?」
「これ本当にかわいいです!」
 いつもかけているのサングラスもツンツンした髪型も再現されていてまさに万斉そのものだ。
 前回はアクスタだったがアレはダメだった。本人の写真を使っているからカッコよすぎて最初は直視出来なかった。本人をいつも見ているはずなのになんだか恥ずかしくて、貰ったアクスタは神棚に飾ってある。
 万斉もとい彼の所属するバンドは今や全国区でヒットチャートは常にトップ。連日テレビや雑誌を賑わせていて、今日だって同級生の女子たちがファッション誌を見ながら話に花を咲かせていた。
(これを通学用のカバンに付けて持ち歩きたい!)
 万斉のバンドは男女関係なくファンが多いから、別に自分が付けていた所でおかしな所はない。どちらかと言えば女性をターゲットのしているのかもしれないが、多様性が広まったこの世の中であれば「ファンなんですね!」と認識されるくらいだろう。
 付けたいと思うのだがもしも同級生に
「万斉さんってカッコいいよね!」
 と言われてしまったら
「そりゃあ俺の世界で一番カッコいい彼氏だからね!」
 なんて口走ってしまいそうで怖いのだ。
 というか実際に言いそうになるのを堪えている。同級生たちが話しているのを聞く度に「俺の自慢の彼氏なんだ」と言いふらしたくなる。
 だが彼は芸能人で自分はまだ学生の身。将来的な影響も考えて今はまだ世間に公表せずにいようと決めた。
「随分と気に入ったようでござるな」
「ふふふ、だってかわいいんですもん」
 出来たらもっと大きいサイズが欲しい。例えば30cmくらいで抱き締められそうなサイズが。
「そろそろ拙者も構ってはくれぬか?」
 本物が拗ねてしまいそうだ。ぬいぐるみもかわいいけれど本物が一番カッコ良くてかわいくて大好きなのだ。


 
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