朝(高土)
「寝坊した……」
がっちりとホールドされていた為、どうにか腕を伸ばして枕元の携帯を取った。
数件の着信とメール。時計の表示は朝礼がとっくに終わっている事を示している。開いたメールには"今日有給にしておくな!"と書かれていた。
最悪だ……と頭を抱え、未だに気持ち良さそうに眠る男を睨み付ける。どう考えてもコイツがしつこいせいだ。何度も無理だと言ったのにもう一回だとか言って押し倒してきたせいだ。
おまけにホールドされて抜け出す事も出来ない。起こす以外に自由になる方法がない。不自由な腕では十分なダメージを与えられないと踏んで、その鼻を摘まんでやった。
「……!?」
息が出来ずに飛び起きた。コイツもこんな顔するんだなと思ったら、少しだけスッキリした。
「テメェ何しやがる」
「よぉ、目ェ覚めたか」
不満気な顔をされたが、不満なのはこちらの方だ。コイツのせいで寝坊して有給になったのだ。絶対明日、根掘り葉掘り聞かれるに決まっている。
「テメェのせいで寝坊したんだから仕返しして当然だろう」
「そんな事で怒ってんのか」
「それ以外でも怒ってるけど」
尻の違和感と身体が痛い。目線を下に向けるだけで、無数の赤い跡が散りばめられている。求められるのは悪い気がしないが、限度という物はある。
「寝ろ。寝たら忘れる」
そう言うとまた高杉は寝る体制に入った。せっかく解放されたというのに、また抱き寄せるから身動きがとりずらい。
「寝んな!起きろ!!」
「うるせぇな。もう仕事も始まってんだろ。今更、起きた所で意味ねぇよ」
だから諦めて寝ろ、と高杉は言う。確かに有給になってしまって、起きた所で出勤する意味はない。
「テメェ、昼までには戻るとか言ってたろ!?」
「あー………ま、万斉がどうにかすんだろ」
敵ながら同情してしまいそうになる。上や下に振り回されがちな似たような立場。もしかしたら意外と意気投合できるかもしれない。
「俺が今戻ったら襲撃の計画の話が進むぞ」
「は!?」
「だから、寝ろ」
ここで大人しく眠れば一件のテロを未然に防いだ事になる……のか?
高杉は本気で寝るつもりのようで目を閉じてしまった。やがて穏やかにな寝息が聞こえてきて本当に眠ってしまったらしい。
穏やかで凶悪な面もしていない高杉の顔は、とてもテロリストなんかには見えなかった。警察の前でそんな隙だらけでいいのか、と言いたくなるがそれはこちらも同じ。
襲撃の計画については、また後でじっくりと聞き出す事にしよう。再び目が覚めるまでは、まだ恋人同士でいられるから。
がっちりとホールドされていた為、どうにか腕を伸ばして枕元の携帯を取った。
数件の着信とメール。時計の表示は朝礼がとっくに終わっている事を示している。開いたメールには"今日有給にしておくな!"と書かれていた。
最悪だ……と頭を抱え、未だに気持ち良さそうに眠る男を睨み付ける。どう考えてもコイツがしつこいせいだ。何度も無理だと言ったのにもう一回だとか言って押し倒してきたせいだ。
おまけにホールドされて抜け出す事も出来ない。起こす以外に自由になる方法がない。不自由な腕では十分なダメージを与えられないと踏んで、その鼻を摘まんでやった。
「……!?」
息が出来ずに飛び起きた。コイツもこんな顔するんだなと思ったら、少しだけスッキリした。
「テメェ何しやがる」
「よぉ、目ェ覚めたか」
不満気な顔をされたが、不満なのはこちらの方だ。コイツのせいで寝坊して有給になったのだ。絶対明日、根掘り葉掘り聞かれるに決まっている。
「テメェのせいで寝坊したんだから仕返しして当然だろう」
「そんな事で怒ってんのか」
「それ以外でも怒ってるけど」
尻の違和感と身体が痛い。目線を下に向けるだけで、無数の赤い跡が散りばめられている。求められるのは悪い気がしないが、限度という物はある。
「寝ろ。寝たら忘れる」
そう言うとまた高杉は寝る体制に入った。せっかく解放されたというのに、また抱き寄せるから身動きがとりずらい。
「寝んな!起きろ!!」
「うるせぇな。もう仕事も始まってんだろ。今更、起きた所で意味ねぇよ」
だから諦めて寝ろ、と高杉は言う。確かに有給になってしまって、起きた所で出勤する意味はない。
「テメェ、昼までには戻るとか言ってたろ!?」
「あー………ま、万斉がどうにかすんだろ」
敵ながら同情してしまいそうになる。上や下に振り回されがちな似たような立場。もしかしたら意外と意気投合できるかもしれない。
「俺が今戻ったら襲撃の計画の話が進むぞ」
「は!?」
「だから、寝ろ」
ここで大人しく眠れば一件のテロを未然に防いだ事になる……のか?
高杉は本気で寝るつもりのようで目を閉じてしまった。やがて穏やかにな寝息が聞こえてきて本当に眠ってしまったらしい。
穏やかで凶悪な面もしていない高杉の顔は、とてもテロリストなんかには見えなかった。警察の前でそんな隙だらけでいいのか、と言いたくなるがそれはこちらも同じ。
襲撃の計画については、また後でじっくりと聞き出す事にしよう。再び目が覚めるまでは、まだ恋人同士でいられるから。
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