お酒は二十歳になってから(高土)

「たかすぎぃ~」
「お前さん、まさか酒飲んだのか!?」
「ん~ん、のんれないろ?」

嘘だ。呂律は回ってないし、目はとろけている。顔は赤くなっているし、間違いなくアルコールのせいだ。酒に飲まれている。飲まれて酔っている事にすら気がついていない。
見れば足元にはパステルカラーの空き缶が転がっている。まさかと思いラベルを見れば、度数は低くとも立派な酒である。自宅に帰る前に一緒にスーパーに寄った。その時に土方が飲み物をカゴに入れていたのを覚えている。恐らくその時だ。
果物の描かれた可愛らしいラベルにジュースと間違えたか、それとも売場に混ざっていたのか。会計は一緒に並んでいたから、年齢確認はされなかった。会計している間に土方ぎ袋詰めをしていたから商品は見ていない。レジを通している最中もよそ見をしていたし、レシートはゴミ箱だ。
土方の年齢の頃にはヤンチャをしていたからまあ、それなりに色々やってきている。だが、今は教職だ。バレたらまずい。しかも生徒に手を出しているのだ。清い関係ではあるがそういう問題ではない。確実に懲戒免職ものである。

「ろぉしたのぉ?たかすぎぃ」

そんな気も知らないで土方はすっかり酔っぱらって甘い声を上げている。理性が残っていたなら絶対に「高杉先生」と呼ぶはずだが、今は呼び捨てである。どうせなら名前がよかった。なぜ名字の方なのか。いや、酔っているから上手くやれば名前を呼ばせられるかもしれない。

「ねぇ…ちゅー…しよ。ちゅー…したい…」

潤んだ瞳で見上げられ下半身が反応した。慌てて同僚の銀時の女装を思い出して、無理矢理に鎮める。いつもは恥ずかしがって、自分からねだってなどこないなのに、なぜだ。アルコールか。アルコールこの野郎!アルコール万歳!
なおも土方は甘えた声を上げる。据え膳食わぬは男の恥。だが、食ってしまえば人生が終わる。身体も遠慮なくすりよせてくる。そんなエロい手つきはどこで覚えたんだ。楽しいはずのお家デートは一転、地獄の理性耐久レースへと変貌を遂げた。
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