6/9 不運は突然に



「お前、阿呆だろう」
「ほっとけ」
足に包帯を巻いた文次郎を見て仙蔵がその状況を鼻で笑う。
怪我の原因は、正に不運としかいいようがないものであった。
「笑わないであげてよ仙蔵、一年生の天井裏に忍ぶテストで天井が一部腐ってたんだから」
その天井裏が腐っていることに気付いた文次郎が落ちてきた一年生を庇って下敷きになったのだ。
それも一年生の中で最も体重のある福富しんベヱの下敷きに。
「それで、委員会の後輩を助けた上に天井裏の修補を見落とした留三郎が足の使えないお前の看病に来ている、と。いらん、帰れ留三郎。庇うにしても方法があっただろうに受け身に失敗したこの馬鹿の自業自得だ」
「俺だってこんな奴の看病なんかしたくねぇに決まってるだろうが」
とはいえ留三郎の可愛い後輩が責任を感じてしょげているのだ。
ならば例え気の合わない犬猿の仲の男であろうとも、委員長として責任をもって看病をしてしんベヱの曇った顔を晴らすのは当然の役目だ。
そう言ってい組部屋に押しかけてきたのだ。
「この馬鹿がいると身体が休まらんから帰れとさっきから散々言っている」
「僕は一応怪我の様子だけ見たら部屋に戻るからね。文次郎はいい機会だから部屋でしっかり寝てその隈が消えるよことを願うよ」
「帰るならこのアヒルを持ち帰れ」
「そうだね、文次郎は留さんがいるときっと寝れないでしょ?」
そう言いながら伊作は留三郎を引きずって言った。
留三郎が何やら叫んでいたのは知らない。
「さて文次郎、足が使えないのならば風呂もいけないだろう?私がその汗臭い身体を拭いてやろう」
「一言余計だ。悪いな。拭くのは自分でやるから水だけ汲んできて貰ってもいいか?それと手ぬぐいも」
いくら忍者馬鹿の文次郎でも無理をすれば長引く事が分かっている以上、杖でも使って歩くやら固定をしてでも歩くなどといくことは言わず、随分としおらしい。
これを機にたまには散々甘やかしてやろうと心に決めて、仙蔵は水を汲みに部屋から出ていった。


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