6/7 金の切れ目と
学園の生徒は各々、きり丸のようにアルバイトをすることで授業料や委員会の予算の予備費、外出時の遊興費などを稼いでいるものがいる。
当然普段きり丸の手伝いをしている潮江文次郎も個人的に稼いでもいるのだ。
「行ってくる」
そう言って出かけて行った私服姿の文次郎を見送る。
あの男のアルバイトがどういったものか、仙蔵は一度も聞いたことが無い。
本人が言いたがらないし、仙蔵とて知りたければ気配を消して後をつければいい。
そうしないのは、アルバイトに出かけた文次郎のが帰ってきてから纏う気だるい空気。
本当は知っていた。
文次郎のアルバイトがどのようなものであるか。
知りたくはなかった。
自分の懸想する男が、誰を想っているのか。
「文次郎、今日はアルバイトか?」
「あぁ、行ってくる」
首筋に花を咲かせて帰ってくる愛しい男を買っているのがあの気に食わない包帯男であることも、アルバイトだと嘯く文次郎がその金に一切手を付けないことだって、私は知りたくはなかった。
「アルバイト、か」
金で繋がる関係である内は、付け入る隙があるかもしれない。
そんなことは無駄なあがきだと知っていても、愛しい男をみすみす逃したくはない。
「そう簡単に渡しはしない」
何も知らないふりをした子供の恐ろしさを、あの狡猾で臆病な大人に教えてやろう。
愛しい男と金で繋がっていると思っている鈍い男を慰める役目は、私にしかできないのだ。
