背中合わせの体温



背中合わせで本を読む。
この時間が、何よりも愛おしい。

かたん

小さな物音と共に背中の体温が消えた。
トイレか、飲み物か、なんにせよ背中が寂しい。

「ほら、これ」

数分後、差し出されたのは暖かい緑茶と、この間文次郎が買ってきたわらび餅。
爪楊枝が2本刺さったそれは、背中合わせでは食べにくいだろう。

「せっかく2人でいるんだ、顔つき合わせても悪くねぇだろ」

向かい合って2人でわらび餅をつつく。
背中の体温よりも、愛おしい時間を知った。

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