このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

人気者



「もんじろーーー!!」
「潮江先輩!!」
「くぉらぁ!文次郎ーー!!」

今日も彼は人気者だ。
文次郎自身にその自覚はない。
むしろ彼自身は嫌われていると思っているのだ。
「⋯文次郎、今夜は、大丈夫だろうか」
「すまん、小平太の鍛錬に付き合う約束をしていて⋯というか長次も誘われてるだろう?」
「⋯いや⋯⋯」
小平太が文次郎だけに声をかけるのは珍しいことではない。
いつもそれに気づいた私が小平太に声をかけているのだ。
小平太と文次郎を二人きりにしないために。

「文次郎、今日は⋯⋯」
「⋯⋯すまん、留三郎の馬鹿がまだ予算書を出さねぇんだ。あいつは俺が取り立てねぇとまともな予算書を出さん」
留三郎の予算書が適当なのは、文次郎に来させるためだ。
本来留三郎は馬鹿ではない。文次郎の気を引くために、あえて予算書を再提出するのだ。

「仙蔵が落ち込んでてな⋯」
あぁ、まただ。
仙蔵は文次郎を自分の所有物だと思っているのだ。
文次郎自身も、仙蔵に一番甘い。
同室というものはそういうものだと言われればそうだが、文次郎と仙蔵はまるで恋人や、夫婦だと揶揄するものもいるほどだ。

「なぁ、文次郎。今日は⋯」
「その、長次⋯⋯いつもすまん。今日こそは大丈夫だ」
「⋯そうか。なら、今夜は、私に独り占めさせてくれないだろうか」
「⋯おう」

赤い顔をした可愛い文次郎が見れたのだ、それだけで我慢をした甲斐があったというもの。


人気者の恋人を持つと、大変なのだ。

1/1ページ
    スキ