うちの猫
猫というのはとても気まぐれな生き物だ。
うちの猫も例に漏れず、気ままで気紛れ、ちょっと構ってやれば鬱陶しいと言わんばかりに手が出るし、放っておけば擦り寄る。
気付いたら居なくなって、また戻ってくる。
そして気まぐれに愛想を振りまいて、気づいたら俺は目が離せなくなっている。
全く罪な生き物だ。
「何勝手なこと言ってやがる」
猫が戻ってきた。
昨日まで出掛けていた猫は、早速俺に擦り寄りに来たのだ。
「んなことするかバカタレ」
よく見れば足を引き摺っている。
「保健室行ったのかよ。伊作に怒られるぞ」
俺の同室者の名を出せば、悪戯がばれた時のように顔を背けて逃げようとする。
「こら、行くぞ」
弱った姿を隠すところも、全くもって本当に猫のような男だ。
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